入社1年目の若手でも、データ・ドリブンな環境で鍛えれば大きく成長が可能
講演の中で立田氏は、新卒1年目・黒田氏のケースを紹介した。下図は、黒田氏が入社して1年間で担当した案件と、それに対して使ったデータ、そしてアウトプットの具体的なドキュメントを一部抜粋してまとめたものだ。
「作成したドキュメントは、入社1年目とは思えないレベルで、グラフィカルな分析がされており、打ち合わせなどでもしっかり提案ができています」と立田氏。データと人の考察を加え、案件に参加を繰り返すことで、1年目でもこれほどのレベルに到達できるのだ。
加えて、若手を育成する上で、立田氏自身がマネジメントの観点で意識的に取り組んでいることも紹介された。組織内での価値基準・マインドの醸成、ルール化を進めることで、個々人の成長に繋がっていくよう工夫してきたという。たとえば、分析業務においては、“何かと何かを比べて考える”ことを1丁目1番地として徹底させた。また、「安易に正解を調べるのではなく、正解に行き着くまでの過程こそが大事である」というチーム内での価値基準を作っているほか、「会議では必ず1回は発言するように。難しい場合は質問をするように」というルールも設けている。こうした工夫もあり、先述の黒田氏のような若手人材の成長があったというわけだ。
デジタルという新しい資源を取り入れるには、広い視野が必要
立田氏は、今回の事例はあくまで読売広告社で行ったものであるとした上で、「皆さんに共通するような形で抽象的に言えば、デジタルやデータといった新しい資源や新しい人材を円滑に業務に取り込むには、プロセスや価値基準の見直しにまで視野を広げてアプローチすることが大事だと思います」と話した。
プロセスとはワークフローであり、価値基準とは今まで正解としてきた基準を指す。つまり、データやデジタルの力を最大限に活用するには、従来のワークフローを崩すくらいの取り組みが必要ということだ。
講演の最後には、Dockpitを提供するヴァリューズ データマーケティング局 アライアンスG ゼネラルマネジャー 山本渚氏が、立田氏へ2つの質問を投げかけた。
1つ目は、「Dockpitのようなコストのかかるツールを導入する際、経営層にどのように意思決定を促したか?」という質問。これに対し立田氏は、「Dockpitのデータを使うことで、何がわかるのか、どんな価値が生まれるのか。それによって、どれほど自社のビジネスにプラスの影響があるのかを明確に示すことで、『なるほど、それは有効だね』と合意を得られる状態を目指しました」と回答した。
もう1つの質問は、「新しいデータソースが加わると、逆に分析業務の負荷が増えるという懸念があるが、実際に導入してどうだったか?」というもの。これについては、直感的に使えるDockpitのUIを評価し、「短い時間でクイックに仮説を出すことができているので、あまり負担が増えたという印象はありません」と答えた。
Dockpitのようなデータ分析ツールを、組織改革・人材育成に用いるという読売広告社のこの取り組みは、これまでにあまり見なかった斬新な事例である。これからツールの導入を検討している企業においても、すでにツールを導入している企業においても、新たな視点でデータやデジタルの力を見出すことができるのではないだろうか。
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