note CEOの加藤貞顕氏はメディアプラットフォーム「note」を街と表現する。今回の事業発表会では街の様子が様々な角度から紹介された。
「noteの街の住人」たちとは誰か
「だれもが創作をはじめ続けられるようにする」をミッションに掲げ、創作を続ける仕組み作りとクリエイターエコノミーの確立に取り組んできたnote。2022年4月現在、noteのIDを持つ会員登録数500万人を超え、前年と比較して30%増加しているという。
noteで公開されているコンテンツ自体は登録無しで閲覧ができるため、利用者数自体はこれをさらに上回る。しかしながら、会員が重要な指標だと加藤氏は語る。ネット上の活動拠点としてnoteを選ぶクリエイター数を増やしていきたい考えだ。
加藤氏が言うクリエイターとは、創作する人だけを指すわけではない。noteの記事に対して好意を示す「スキ」というアクションをする(ハートボタンを押す)人もクリエイターだ。自分の作品に好意が示されると、次の創作意欲につながる。創作と好意の表現の循環が、創作を続けるためには大切なのだ。現在、スキ数は累計2.6億。noteには約2,400万記事があるため、平均1記事当たり10スキほどがつく計算になる。
「創作する人、好意を表現する人がnoteの街の住人だと我々は考えています」(加藤氏)
創作を通してチャンスが得られる街
noteの街では創作を通して、様々なチャンスを掴む住人たちがいる。例えば樹木の面白さについて発信していた高校生は、noteをきっかけに青森に移住し樹木ガイドツアーとして働くようになった。
また、noteからの書籍化は同社が把握している範囲でも160冊以上。「noteで話題!」といったワードが書籍の帯につけられるなどキーワード化している。
さらにnoteでは様々なクリエイター発掘コンテストを実施。783名が入賞している。
2021年にはnoteで初めての創作大賞を開催。角川幻冬舎、ダイヤモンド社、テレビ東京の協力を得て、受賞作品は書籍化や映像化を目指していく。なお、同大賞には16,000件を超える応募があった。
また、機能面でも創作活動を支援するために2021年には大きな開発から、細やかな修正を含めて4,000件以上の開発改善を実施。
PayPayなどの決済機能拡充や、記事内での数式などの表現が可能になるなど試作を重ねている。2021年にベータ版をリリースしていたエディタ投稿画面も2022年4月に正式版がリリースされた。
進む、自治体・学校での活用
街には学校や文化施設、自治体機能も欠かせない。noteは2020年より学校、自治体、文化施設、などが高機能サービスnote proを無償で利用できる特別プログラムを提供している。
2022年3月末時点で累計247団体がnoteを利用し、2022年4月からは教育委員会向け一括導入プランも提供を開始している。
自治体でのnoteの利用例としては、島根県海士町では住民による記事をnoteに掲載し、それをLINEでも配信するストック型の利用方法が挙げられる。また、移住・定住者の勧誘を目的に利用を開始した新潟県三条市では、地域おこし協力隊38名が記事を執筆。noteに来れば様々な切り口で三条市での暮らしを想像できるようになっている。