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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

事例で学ぶ、Z世代・ミレニアル世代へのアプローチ

イメージ調査の結果に危機感。損保ジャパンが若年層との距離を縮めるために制作したWeb動画とは?

社名だけでなく、事業内容も知ってもらえるクリエイティブを制作

久保:続いて、「恋する、ふたりドライブ」の施策について教えてください。

加藤:若年層との接点を作り、将来保険を契約する際の純粋想起率を向上させることが狙いでした。以前、損保ジャパンにどんなイメージをもっているか調査したことがあったのですが、「イメージがない」という回答が、特に若い世代に多いことがわかりました。この結果から将来への課題意識が生まれ、今回の企画につながりました。

 そのため認知を高めるだけでなく、自動車保険という事業内容を知ってもらえるクリエイティブを作る必要があると考えていました。

損害保険ジャパン株式会社 広報部 メディアグループ 加藤笑子氏
損害保険ジャパン株式会社 広報部 メディアグループ 加藤笑子氏

久我:当社はブランド認知を一気に高めるためのテレビCM放映を柱にYouTubeをはじめとしたデジタル広告も実施していますが、特にZ世代のメディア接触は多様化しているので、それだけでは接点が持てない方も多くいると認識しています。そういった方々にも接点を作り、将来の保険契約の際に当社を思い浮かべてもらえるよう、今回の施策を行いました。

 メインターゲットは企業イメージ調査で「当社のイメージがない」と回答した方の多い20~30代の女性とし、興味関心の低い損害保険会社の広告でも自分ゴトとして捉えていただけるよう、ドライブデートをテーマに選びました。日常も、もしものときもお客さまの安心・安全なドライブを守りたいと願う当社の想いが伝わり、「安心の自動車保険は損保ジャパン」というイメージを形成できればいいなと考えていましたね。

損害保険ジャパン株式会社 広報部 メディアグループ 課長代理 久我貴大氏
損害保険ジャパン株式会社 広報部 メディアグループ 課長代理 久我貴大氏

クリエイティブでは“対立構造”を意識

久保:続いて、クリエイティブ制作の様子も教えてください。

加藤:テーマは「胸キュン」とし、運転時のさりげない気づかいや安全運転を通じて、「安心・安全」と「胸キュン」の両方を感じられるような内容にしました。

樋口:今回のクリエイティブは、事前に「ドライブデートに関する意識調査」を実施し、その結果を基に制作しました。平成・令和世代と昭和世代では、ドライブデートに関する経験や感覚に差があるのではないかと仮説をもっていたのですが、実際に集計したところ、ギャップが出ている部分、出ていない部分が浮き彫りとなりました。これをクリエイティブに反映したところ、狙い通り、対立構造が面白かったと言っていただくことができました。

調査結果の一例(プレスリリースより)
調査結果の一例(プレスリリースより)

久保:制作した動画は、どのような形で発信したのでしょうか。

樋口:今回は7話分のストーリーを作り、メディアで何回か見てもらった後にSNS上でも接触してもらうことを想定しました。そのためプレスリリースを通じてメディアに取り上げていただくことを狙うとともに、InstagramやLP、YouTubeといった受け皿も用意しました。

再生回数は約260万回、メディア掲載は168媒体に

久保:実施後の成果について教えてください。

樋口:目標としていた20代女性へ届いていたことがわかる数字が出てきました。まずWeb動画視聴後のブランド好意度のアンケートについて「損保ジャパンへの親近感が増した」と回答した人が、回答者全体では42%に対し、20代女性は60%という結果に。ブランド理解度についても、20代女性のうち70%の方に「増した」と回答をいただけており、しっかりとアプローチできていたことがわかっています。全プラットフォームを合わせた再生数は約260万回、メディア掲載は168媒体にのぼりました。

久我:実は今回の企画に関連して、プレスリリースを3回発信しています。ドライブデートに関する調査結果、神尾さんを起用し動画を制作したというお知らせ、さらにメイキングと再生回数に関する話題です。それぞれについて反響があり、多くのメディアで取り上げていただくことにつながりました。これまで接点があまりなかった女性誌に取り上げていただくことができたのも、今回の企画の特徴的な成果でしたね。

 こういったプレスリリースの使い方は、当社ではあまり行ってきませんでした。クリエイティブも含め、前例とは異なるやり方をすることが多い施策でした。しかし企画の段階で「若年層との接点を作り、将来保険を契約する際の純粋想起率を向上させる」という目的を企画の柱に据えたことで、ターゲットを明確にし、とことんターゲットに「おもしろい」と思っていただけるものを追求できていたので、社内のメンバーも迷うことなく議論ができました。視聴者の方々にも、意外性を感じていただけたのではないかと思います。

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社外・社内からの反応は?

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/02 08:30 https://markezine.jp/article/detail/38947

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