メリットは「提供できる情報の幅広さ」 メディアアカウントの長所と短所とは
次に、メディアアカウントの長所と短所について考えていきましょう。
まず大きなメリットとして挙げられるのは、提供できる情報の幅が広いことです。自社のサービスだけではなく、それにまつわる周辺知識や情報なども同時に提供できる点は特徴と言えるでしょう。
たとえば投資サービスの紹介をしたい場合、いきなりサービスについて発信するのではなく、金融リテラシーへの興味関心を喚起するようなコンテンツからスタートします。節約のコツや育児支援金などの制度に関する情報を発信し、家計のやりくりに興味のあるユーザーがアカウントに集まってくるような内容にします。そこで一定のユーザーにアカウントを知ってもらったあとに、投資のメリットや商品の選びかたを発信し、ユーザーに理解してもらう。そして知識を得たユーザーにサービスの魅力を説明するというように、段階的に発信する情報を変えていくことが可能なのです。

一方デメリットは企業の課題感に合った最適な運用をすることが難しいことです。
メディアアカウントは、たくさんの表現や軸から選ぶことができる分、プロダクトやサービスが抱える課題や目的を正しく設定し、それをどのように投稿に落としこんでいくかを考えることが非常に難しいです。実際私たちも、「何をどうすれば良いかわからない」といったご相談をいただくことがたくさんあります。
そういったときに大切なのが、まずは「なぜSNSを運用するのか?」といった目的を整理すること。その上で、ユーザーのクチコミ投稿を活用するのか、デザインをゼロから制作するのか、どの情報をどれくらい入れるのか、などを適宜調整していく必要があります。
しかし多くの場合、そこまで運用にリソースを割くことが難しいのが現状です。またユーザーが求める情報は早いスパンで変化するため、常に最新のトレンドをインプットし続ける体力も必要になることも、短所のひとつと言えるでしょう。
メディアアカウントの運用方法
このようにメディアアカウントでは、最初の運用設計が重要です。そのため運用する前にまずはSNSでの方針を決め、その上でターゲットを明確にしなければなりません。
たとえばターゲットが30代女性の場合、そのターゲットがSNSで求めている情報や普段視聴しているコンテンツ・エンタメなどを調査し、それがSNSによってどのように拡散されているのかを確認します。
同じ30代女性でも、バリバリと仕事をしている会社員か、ふたりの子どもを育てる主婦とでは閲覧しているアカウントも異なるかもしれません。前者は美容やコスメ、ファッションなどのアカウントを、後者は節約系や育児ノウハウを発信するコンテンツをチェックしているケースもあるでしょう。そのため、ターゲットとしているユーザーがSNSでどのような情報を求めているか(逆に言えば、どのようなアカウントが存在しているのか)を特定したうえでコンテンツ内容を策定。そしてデザイナーと連携し、投稿素材を作成していきます。

このように考えてみると、メディアアカウントの運用は、運用目的の設定とそれに沿ったコンテンツ作成がカギを握っていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
SNSには、細かく観察していかなければ気づかないようなユニークなコミュニティが無限に存在しています。コスメや主婦系は比較的規模も大きく傾向がつかみやすいのですが、コミュニティごとで用いられる特有のハッシュタグも存在するため、コミュニティの属性ごとに人気の投稿や情報を、どのように自社が訴求したい内容に盛り込むかが重要なのです。この運用目的の設定からコンテンツ作成については、次回で詳しくお伝えできればと思います。
まとめ
今回はメディア型アカウントの概要をお伝えしてきました。今回のポイントは次の3つです。
- メディア型アカウントとは、画像やイラストに文字を入れて情報価値を高める運用方法である。
- 企業のビジネスモデルや課題感をもとに、SNS運用で達成したい目的を設定する必要がある。その課題や運用目的を正しくつかむことが重要。
- SNS上のトレンドを盛り込みながら、企業が発信したいこととターゲットのユーザーが知りたいことのバランスを取ることが大切。
次回は早速、メディア型運用のキモとなる運用目的の設定についてお届けします。お楽しみに。