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MarkeZine Day 2022 Spring

デジタルを駆使した間口と奥行の最大化を実現 エバラ食品の「デジタル×リテールマーケティング」最新事例

エバラ食品が取り組んだ、デジタル×リテールの取り組みとは?

 先述の4つの環境変化に対応する取り組みの1つとして始めたのが、Retail AIと共同で行った実証実験だ。

 同実験ではデジタルを駆使した販促の影響度を測定することを目的に、Retail AIが提供するリテールAIカメラ、タブレットとバーコードリーダーを搭載したセルフ機能付きのスマートショッピングカート、デジタルサイネージなどのデジタルツールを活用。どうすれば売上を最大化できるか検証した。

エバラ食品工業株式会社 マーケティング部 マーケティング課 藤原 亮太氏
エバラ食品工業株式会社 マーケティング部 マーケティング課 藤原 亮太氏

 この売上の最大化で欠かせないポイントとして藤原氏は「間口と奥行の最大化の実現」を挙げた。焼肉のたれは非購入者が約4割、かつ年間1~2本の購入者が大半を占めるため、その間口並びに奥行の拡大が必要だった。

 そして、両方を拡大するために藤原氏は「店頭での情報を集中することで非購入者の購買を促し、家庭内在庫の消費を促すことで奥行の拡大を図った」と話した。

 実証実験が行われたのは2021年8月1日~31日の1ヵ月間で、内容は以下だ。

1.「BBQ店内放送」をトライアル全店で実施

2.サイネージエンド動画を8店舗で放映

3.ログイン時にスマートショッピングカートで案内表示

4.購入者に汎用メニューに関するDM告知&アンケート調査

 このうち店内放送、デジタルサイネージ、スマートショッピングカートでは、おうち焼肉を訴求することでトライアル喚起を狙い、汎用メニューの情報を伝えることでリピート喚起を狙っていった。

 「その結果わかったのは、間口の拡大には王道のBBQ・家庭内訴求が効果的だということです。一方で汎用メニューは購買には寄与しませんでしたが、商品がお家に余っている状態で訴求すると継続意向が高いということもわかりました」(藤原氏)

トライアル喚起施策の結果は?

 より詳細に結果を見てみると、焼肉のたれカテゴリー全体の前年比が97%で推移したのに対し、実験店舗での「黄金の味」群は前年比129%(2021年8月の実績)で推移していることが明らかに。狙っていた間口の拡大に関しても、前年同期間と比較してプラス5%の新規獲得に成功した。

 この結果について藤原氏は、「のぼりやPOPと比較して、サイネージは若年層への影響度が高いこともわかっているので、新規が増えたのには若年層が大きく寄与したのでは」と理由を分析。「ロングセラーブランド全般の特徴として、若年層へのアプローチに悩みを抱いているケースが多い中、デジタルの販促に大きな可能性を感じられた」と期待をうかがわせた。

 これについては、スマートショッピングカート利用客の「黄金の味」購入者属性を見ても明らか。10~30代の年代別新規率が40~80代と比べ高くなっていることから「若年層への影響度が高い」と説明した。

 また藤原氏は結果につながったもう1つの要因として、高い視認性を出せる仕掛けになっている点を挙げた。

 「たとえば、動画を放映したデジタルサイネージは、お客様の導線上に複数台のモニターが並べられていますし、スマートショッピングカートについてもほぼ確実に見てもらえる作りになっていました。ここが一般的な小売店様との大きな違いだと認識しています。特に今回はBBQとおうち焼肉訴求という、一見当たり前の販促ですが、お客様の印象に残る形で訴求できた点が実績につながったのではと分析しています」(藤原氏)

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リピート喚起施策として行ったアンケート付きDM

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/03 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39058

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