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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2023 Autumn

「店舗のワクワク」をどう活かすのか──PLAZAとアットコスメが考える、これからのリアル店舗のあり方

 アフターコロナの時期が到来し、人々の外出機会が増加し、リアル店舗への来店も回復している。このような状況の中で、店舗体験はいかに差別化し、向上させるべきだろうか。MarkeZine Day 2023では、PLAZAを運営する株式会社スタイリングライフ・ホールディングスの向原勝也氏、とアットコスメの店舗を運営する株式会社アイスタイルリテールの田中賢吾氏が登壇。今リアル店舗が担うべき役割と具体的な施策について議論を交わし、未来のリアル店舗のあり方を探求した。

リアル店舗での体験の充実なしに、OMOは成しえない

 PLAZAは1966年開始した中核事業で、現在はフランチャイズのMINiPLA、アウトレット、ECサイトも運営している。「たのしさ 探そう 手渡そう。Always News」をスローガンに掲げ、新しい商品の提供を目指し、国内向けキャラクターライセンスを活用したビジネスも展開している。

 アフターコロナの時代が迫る中で、リアル店舗の魅力は一層重視されている。PLAZAを運営するスタイリングライフ・ホールディングス向原氏は、コロナ禍以前・コロナ禍・アフターコロナで店頭戦略の変化について説明した。

 コロナ禍直後の外出自粛と感染防止措置の強化によって、店舗は休業や時短営業を余儀なくされ、ECの売上が拡大。感染拡大期には、アウトレットや郊外店が好調を保つ一方で、都心の店舗は苦境に立たされた。ECでは限定の販売やイベントが実施され、店頭での限定品も扱うようになった。

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス<br />プラザスタイルカンパニー マーケティング本部<br />販促宣伝部 販促宣伝課 課長 向原 勝也氏
株式会社スタイリングライフ・ホールディングス
プラザスタイルカンパニー マーケティング本部
販促宣伝部 販促宣伝課 課長 向原 勝也氏

 現在はインバウンドを含め、売上が回復基調にあり、都心の店舗も好調だ。したがって営業時間の見直しや人員配置の調整が重要視されるようになったという。加えて店頭とECの連携にも注力。オンラインの活性化のためにも店頭の充実が必要であることから、デジタルを利用して店頭でのイベントや販売を拡張している。

コロナ以前と現在の違いは、ECも含めて売り場となったことです。しかしPLAZAの基本的な体験は、現在も圧倒的に店頭にあります。オフラインの体験や商品が充実していないと、オンラインとオフラインの融合(OMO: Online Merges with Offline)は実現不可能だと考えています。私たちの店頭で実施しているリアルイベントを拡充するデジタル技術や、店頭で行われている活動のスケールを拡大するためのデジタル技術が存在していると考えています」(向原氏)

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コロナ禍でも数々の工夫で店頭体験を促進

 アイスタイルは「生活者中心の市場創造」というビジョンのもと、ネットとリアルの融合ビジネスを展開。運営するアットコスメでは美容総合メディアとECサイト・店舗を手掛けている。Webサイトと店舗は、スマホアプリを通じて会員のポイント管理などを通じて連携している。

 アットコスメストアでも、コロナ禍によって変化が起きた。特にインバウンドの客数減少や店内体験の変化が化粧品市場全体に影響を及ぼし、「販売モデルが変化した」とアイスタイルリテールの田中氏は話す。商品を直接触れる、パッケージに惹かれるなどの要素はデジタル上では補えず、これらの要素は店舗ならではの価値として必要だと指摘した。

株式会社アイスタイルリテール
店舗カンパニー 店舗マーケティング部 部長 田中 賢吾氏

 現在では変化する生活者のニーズに応えるため、様々な施策を推進中だ。OMOを通じて、ECとの併売が進み、店頭ではアプリの新規登録の案内が徹底。加えて、ライブショッピングやオンラインイベントなどデジタルでの店頭体験が強化している。

 加えて従来の施策から重要なものを選定し、接客体験の重要性を保ちつつ、新たな施策や安全にテスターを利用する環境の整備が進んでいる。来店客数が少ない中での買い上げ率や買い上げ点数の維持、密を避けた独自イベントの進行は、変化の中での店頭体験の強化策だ。

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これまで行ってきた活動から選別し、特定の点に徹底的に焦点を当てて進めてきました。たとえば接客体験やタッチアップが実施できない場合、それに対応する別の方法を模索し、アメニティを一層充実させテスター(試供品)が利用できる環境を整えました。来店客数が減少しているならば、買い上げ率などをKPIと設定し、それに焦点を当てました。また密を避ける独自のイベントも実施し、店頭体験も推進していきました」(田中氏)

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・翻訳ツールなど...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/31 08:30 https://markezine.jp/article/detail/39081

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