インドの公的機関が定義した「中間層」は、世帯年収が20万ルピー(約56万円)から100万ルピー(約280万円)の人たち。その割合は2005年時点で人口の5%にすぎなかったが、2015年には20%にまで増えるとの予測もある。博報堂はその中間層のうち、デリー、ムンバイに住む世帯月収2万ルピー(約5.6万円)以上、年収換算で67.2万円の25~54歳の男女を「インドパワー生活者」として定義してデータをまとめた。
発表された資料によると、インドパワー生活者のうち、使用人を雇っている世帯は50.7%、クルマ保有世帯のうちお抱え運転手がいる世帯が9.4%と、日本でいう「中流家庭」よりも、かなり優雅な生活環境であることがわかった。しかし、クレジットカードの保有率は37.0%と、中国のパワー生活者の約半分。このように、インドのアッパーミドルの生活の細部に注目してみると、意外なデータが多い。
日本では「暑い国」や「IT立国」というイメージのあるインドだが、エアコンの普及率は32.1%、家庭でのパソコンの保有率は48.1%にとどまっているという。お金をかけている領域は、「貯金」「医療」「子どものための教養・勉強」がトップ3。行事を大切にするためか「冠婚葬祭」にもお金をかけている。
人気のスポーツは、英国の支配下にあった影響か「クリケット」(83.7%)圧倒的人気。2位の「テニス」(9.3%)を大幅に引き離している。また、公用語はヒンディー語だが、家庭内で英語で会話する割合も2割。ペットについては保有率は4.8%で、動物をペットとして飼う習慣が根付いていないようだ。
広大な国土に10億人が生活し、多様な言語や宗教が共存する国インド。劣悪な環境で生活する人も多く社会問題となっているが、その経済力が増すにつれて中間層のライフスタイルは国全体に広がっていきそうだ。
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