登録者数50万人を突破させた、独学のマーケティングとは?
石井:健康美や人間としてのシンプルな生き方を発信していたのがよかったのかもしれませんね。
あとは、動画のテーマを決めるにあたり、登録者の方にアンケートをとったり、Googleトレンドで世の中の動向を見て一足先に配信したり、視聴者の方が見ている他のチャンネルを自分も見たりしていました。何が求められているのか、みんながどんなことで喜んでくれるのかを常にリサーチしているのは今も活きているかなと。
独学ではありますが、アナリティクスを見て途中で離脱する方が多い場面があれば、見返して原因を探り、次の動画からは改善するようにしています。そういったことを繰り返して、作品の質を上げていくということは意識していますね。
高橋:私たちも事業を展開する中で、市場規模やマーケット情報を徹底的に調べたり、消費者インタビューでリアルな声を集めたりして、業界のインサイトや消費者心理を探り、マーケットの解像度を上げていくということを行っています。その上で勝つための道筋を考えていくといったプロセスが多いのですが、石井さんは興味主体で触っていく中で実践されていたということですね。

高橋 飛翔(たかはし・ひしょう)
1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイル株式会社を創業。
ナイルにて、累計1,500以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。
石井:私は数字に弱いので、ただ画面のグラフを眺めて感覚でつかんでいるだけです(笑)。
大事なのは、消費者が喜んでくれることを突き詰めること
高橋:いえいえ、立派なマーケティングですよ! 視聴者の離脱ポイントを見て改善していくところなんて、商品購入の申込みフォームで離脱率が高いときに、原因を突き止めて修正し、数字を上げていくのと同じような考え方です。
私たちのようなマーケティング会社は、市場規模やアクセス解析など数字を信じる傾向が強いのですが、根源には「どうすれば消費者が喜んでくれるのか」という点があります。これは事業でもモデルのお仕事でもきっと一番大切な部分で、そこを外したら、どんなに数値を調べても意味がないんですよね。
感覚的にやっている方も多い中、石井さんはその王道を定量データも見ながらバランスよくやられたからこそ、登録者数やモデルのお仕事にしっかり反映されたんだと思います。全然数字に弱くないと思いますよ(笑)。
石井:ありがとうございます(笑)。視聴者やお客様が何を求めているのか。調査や分析の方法はそれぞれでも、そこが大切ですよね。おかげさまで、オーディションを受けなくてもモデルのお仕事をいただけるようになったので、手探りながらも正しい方向性で進められたんだなってほっとしました。
マーケあり!ポイント
・石井さんの根源には「どうすればファンや視聴者が喜んでくれるのか」というマーケティング活動の本質とも言える考え方があります。ファンに役立つコンテンツをしっかり作り込みますし、動画でわかりづらいところは改善しようという思想になります。結果、本質を突いた改善ができ、石井さんのコンテンツがファンや視聴者からも受け入れられるという成果につながっているのでしょう。