活躍の条件は、クライアントのイメージに合致すること
高橋飛翔(以下、高橋):石井さんはモデルとしてご活躍されていますが、今のポジションに到達するためにどのような戦略があったのかお聞きしたいです。
石井亜美さん(以下、石井):モデルという職業は、クライアントが行うオーディションを受けて仕事を獲得していくのが一般的なのですが、それがすごく狭き門なんですね。
そもそもオーディションを受けるのも簡単ではなくて、事務所内で案件に合う方が選ばれてやっとオーディションを受けられる。仕事のチャンス自体がなかなか回ってこないというのが現実です。私の場合、21歳からモデルの仕事を始めて、モデルだけで生計を立てられるようになったのは28歳になってからです。
石井 亜美(いしい・あみ)
1989年生まれ。東京都出身。サトルジャパン所属モデル。
「日本一親しみやすいモデル」として雑誌やCMで活躍するかたわら、美容関連の動画クリエイターとしてYouTubeチャンネルも開設。チャンネル登録者数は49万人以上。2020年に上梓した初の著書『日本一親しみやすいモデルが教える 太らない体のつくり方』(KADOKAWA)は、発売から1週間足らずで重版が決まったほど話題となった。
高橋:想像以上に厳しい世界なんですね。モデルになるための切符を手に入れるのも大変な中で、どのようにして生計を立てられるほどの状況を作ってきたのでしょうか?
石井:モデルのオーディションに受かるには、クライアントさんが求めるイメージにマッチしていることが絶対条件です。たとえば「背が高いとスタイルが良すぎて、自社商品のイメージに合わないから」落ちるオーディションもあります。さらに商品の広告の場合、飲料ならおいしそうに飲めるなど、購買層にアピールできる表現力も大切になります。
そのため、オーディション後は毎回「振り返りノート」で結果と併せて分析して、次のオーディションに活かしていました。
「振り返りノート」でオーディションの傾向を把握
高橋:分析は大切ですね。「振り返りノート」にはどのようなことを書いていたのでしょうか?
石井:日時と天候、クライアントさんの企業名、商品といった基本情報の他、当日の服装や参加者の人数、会場の設営やオーディションの内容、質疑応答でどのような回答をしたかなども細かく書いていました。その上で、企業が何を求めていたのか、モデルとしてはどうすればよかったのかという反省をメモに残していました。
そのおかげで、情報が積み重なるにつれ、オーディションの前に見返すことで傾向がつかめたり、オーディションの状況がイメージしやすくなったりしたのはよかったですね。
あと、私が受かるオーディションは10分以上話す機会があったものが多くて、自分のキャラクターを出せるオーディションが合っていることもわかりました。それからは、突然質問されてうっかり素が出てもポジティブな意見が言えるように、日常の思考から意識して変えていきました。
マーケあり!ポイント
・石井さんはオーディションを受ける中で、クライアントがどのようにしてモデルを選ぶのか、クライアントは何を求めているのかを分析し、自分の強みを鑑みてどのようにアピールすれば選ばれるのか試行錯誤を繰り返すオーディション対策をしてきました。