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ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは

摩擦を減らして成長を創る。パイオニア石戸氏×ノバセル田部氏がBtoBマーケティングの体制構築を議論


石戸さんが「足を運んで一次情報を取りに行くこと」を続ける理由

田部:マーケター、経営者として仕事をするうえで大事にしていることを教えて下さい。

石戸:ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)という言葉を最近よく耳にしますが、日々の生活でいろいろな人と会い、さまざまな考え方や価値観、世の中の動きを知っていると、結果的に経営に活きてきます。いろいろなアイデンティティがあり、それは常日頃から変わっていく時代です。法人企業の層も毎年変わっていきます。同じ人でも、また会うと違う。そこは楽しんでアンテナを張っていますね。

 たとえば、先日運送会社のビジネスについて理解を深めなければいけない機会があって。どうしたかというと、運送会社を回ってトラックに乗せてもらったり運送会社の経営者やトラックドライバーのお話を聞いたりしました。実際にトラックドライバー、運送会社の視点を持って数多くの現場に入り込むと、業界の解像度が各段に上がります。そのようなことを普段からやっていると、結果的に仕事に活きてきます。ちなみに私の叔父が千葉、埼玉、茨城で運送会社を営んでおり、その現場にも何度も話を聞きにいったりしていました。

田部:顧客や周囲の人たちとかかわることが重要とお話がありましたが、一次情報を取りに行くことは、マーケターとしての成長にも、結果を出すためにも欠かせないですね。

石戸:ネットの記事やデスクリサーチの内容だけで話している新規事業、経営企画はたくさんありますが、生々しさがなく、リアリティも感じません。工場や営業現場に出かけていくのも大事で、そこではどういう言葉が使われているのか、どんな商習慣が定着しているのか、相手の顔を見て話をしないとわからないことがたくさんあります

マーケティング“だけ”をやるのはもったいない

田部:私もBtoBマーケティングに関わる一人なので、この連載で深く議論できてよかったです。日本におけるBtoBマーケティングはBtoCと比べると従事者も少なく、キャリアの作り方が難しいと相談を受けることもありますが、石戸さんは業界をどのように見ていらっしゃいますか?

石戸: BtoBマーケティングは、もっと盛り上がってほしいですね。おっしゃる通り、関わる人が相対的に少なく、大企業ではそもそもマーケティング部門がないこともあります。

 一方で、営業部門の人数は多く、近接領域には経営企画や営業企画もあります。この方々はマーケターを名乗っていなくても、仕事の2~3割はマーケティングのようなことをしており、BtoBマーケターよりも顧客解像度が高い場合もあります。そういう方々がもっとマーケティングという視点も意識しながらチャレンジしていくと、業界もまた違った発展の仕方をしていくのではないでしょうか。

 逆にBtoBマーケターも、いわゆるパイプラインモデルの中の一部のリード増加や商談創出だけをしているのはもったいない。会社によってはLead、MQLからSQLまでしか仕事がないことになってしまいます。営業、購買、採用など、マーケティングは幅広い領域に活かせるもので、BtoBの場合はさらに顕著です。マーケティングをしていた人が、今度は経営者や営業責任者になるというのも良いでしょう。

※ MQL:「Marketing Qualified Lead」の略で、「マーケティング担当が創出する温度の高い見込客」
SQL:「Sales Qualified Lead」の略称で、「営業活動で獲得した見込み顧客のこと」

田部:パイオニアさんは採用も積極的ですね。

石戸:実はここにも関わりました。デジタル人材を中心に、エンジニア、非エンジニアを両方を 積極的に採用しています。ところが、採用方法や採用マーケティングで機会損失が生まれていたため、私がその領域にも入りました。結果的に、勿論私だけの影響ではありませんが、この2年で60人ほどデジタル企業やベンチャー出身の人が入社しています。

 同様の悩みを抱えている大手企業や老舗企業も、採用部門にデジタル企業出身のBtoBマーケターが入っていったら突破口が開けるかもしれません。デジタル人材の居場所も想いもキャリアの考え方もわかっていますし、どんな訴求をすれば魅力的なのか、その人が一番良く知っているからです。

田部:マーケティングの概念整理から実践のヒントまで、幅広くお話をいただきました。石戸さん、本日はありがとうございました。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/19 15:11 https://markezine.jp/article/detail/39283

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