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ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは

「この寝心地は、事件だ。」コアラスリープのユニークなコミュニケーションが売上につながる理由

 ノバセルの田部正樹さんが有識者・第一線で活躍するマーケターとともに、事業成長に“真に”貢献するマーケティングとは何かを探っていく本連載。第8回のゲストは、オーストラリア発の寝具メーカー・コアラスリープジャパンでマーケティング最高責任者を務める尾澤恭子さんです。

CMO就任から1年で前年比25%の売上を創出

田部:この連載は、事業成長に真に貢献するマーケティングのあり方や、それを展開していくためにはどうすれば良いのかを考えていくものです。今回は、コアラスリープジャパンの尾澤さんをゲストにお迎えしました。まず尾澤さんのご経歴から紹介していただけますか。

ラクスル 上級執行役員 グループCMO ノバセル 代表取締役社長 田部正樹氏
ラクスル 上級執行役員 グループCMO 兼 ノバセル 代表取締役社長 田部正樹氏

尾澤:内資メーカーの広告宣伝部を経て、2000年前後にシリコンバレーでオンライン決済事業の立ち上げを経験しました。帰国後は複数の会社を経て、コアラスリープジャパンにマーケティングディレクターとして参画し、2023年5月より最高マーケティング責任者を務めています。

コアラスリープジャパン マーケティング最高責任者 尾澤恭子氏
コアラスリープジャパン マーケティング最高責任者 尾澤恭子氏

尾澤:コアラスリープはD2Cのビジネスモデルを採用する寝具・家具ブランドとして、2015年にオーストラリアで創業しました。日本には2017年に上陸しています。寝具事業の主力となるマットレスは振動吸収性が高く、パートナーやお子様など隣で寝ている方の動きの影響を受けにくい点が特徴です。ゆったりと身を委ねていただければ、翌朝まで熟睡していただけます。

田部:様々なご経験を経て、コアラスリープジャパンへの転職を決めた理由はどこにありますか?

尾澤:会社が抱える課題の解決に、自分が培ってきたスキルや経験を活かせると考えたからです。私が入社した当時は、コロナ禍による寝具需要の高まりが落ち着き始めた頃でしたから、マーケティングというタイトルにとらわれることなく、効果的と思われる施策は何でも実行してきました。

 社内の意見やお客様の声を聞きながら、組織内の課題を特定して戦略を立案し、最初の3ヵ月でそれまでのマイナス成長をプラス成長に転換しました。最初の1年で前年比25%の成長を達成し、過去2年半で38%の総売上成長を達成しています。

組織の成熟度に応じたマネジメントが成長の鍵

田部:尾澤さんの入社当時、コアラスリープジャパンが抱えていた課題はどのようなものだったのですか?

尾澤:組織上の課題が大きかったと思います。たとえば、着任後に参加した最初の会議で、日々の売上目標や達成状況について誰も言及しないことに気付いたんです。売上向上のためというより、動画制作の方向性など、周辺の話題に留まっていました。

 そこでモデル式を導入し「各施策が売上のどの部分に影響するか」を明確にしました。同時にKPIを厳密に管理し、それに基づいて評価を行うことで、各施策の有効性をはっきりと示すようにしたんです。これにより、組織全体が売上向上に焦点を当てた行動を取るようになったと思います。

田部:商品自体の良さは見えていたから、組織上の課題さえクリアすれば売上につながる自信があったと。

尾澤:おっしゃるとおりです。競合の寝具メーカーで働いた経験を持つ私から見ても、コアラスリープの商品は価格と品質のバランスが非常に優れていると感じます。メンバーにも商品の良さを再認識してもらうため、ショールームなどでお客様の声を直接聞く機会を設けました。このような取り組みにより、メンバーが自信を持って商品を届けることができるようになったと思います。

田部:組織をマネジメントする上で、ほかに意識されていることはありますか?

尾澤:組織の成熟度に応じたマネジメントを行うことと、優先順位を明確にすることでしょうか。一般的に、売上が低迷すると組織全体の士気が下がり、チームの結束力も弱まりがちです。その場合はまずチームビルディングを行い、信頼関係を構築してから徐々に目標達成へと向かうようにします。

 一方で、売上を確保しなければ翌日の事業維持さえ困難なケースもあります。自社がどちらの状況にあるかを確認し、どのようなモードで組織を運営すべきか判断することが重要です。私がコアラスリープジャパンに入社した日から約1年半は、後者のサバイバルモードで臨みました。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46143

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