SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは

「この寝心地は、事件だ。」コアラスリープのユニークなコミュニケーションが売上につながる理由

競合他社と似た主張を避けた名コピー

田部:寝具業界のマーケティングは「商材の買い替えが頻繁に発生しない」「競合が多い」などの観点から、難易度が非常に高いと言えます。そのような市場環境において、尾澤さんは顧客に自社製品の独自性や価値をどのように伝えていますか?

尾澤:言語的要素と視覚的要素を組み合わせた広告やコミュニケーションを展開しています。言語的要素の一例が、約1年前から用いているコピー「この寝心地は、事件だ。」です。

コアラスリープジャパンのサイトより
コアラスリープジャパンのサイトより

尾澤:自社商品のテクノロジーには自信がありますが、機能性の高さをどれほど謳っても、競合との差別化を図るのは難しいものです。「体圧分散」という文字だけでは、多くの消費者に効果が伝わりづらいかもしれません。「競合と似た主張をするのではなく、インパクトが大きい別の表現ができないか」と考えた結果、生まれたのがこのコピーでした。

田部:なるほど。他とは違うコピーは、認知としての差別化につながると思います。とはいえ、マットレスは実際に体験してみないと良さがわかりにくい商品でもありますよね。その点、コアラマットレスの「ワイングラスチャレンジ(※)」は、商品の魅力を非常にわかりやすく伝えていると思います。

※ワインの入ったワイングラスを真っ白なコアラマットレスの上に置き、人がマットレス上でダイブしたり飛び跳ねたりしてもワインがこぼれない様子を通じて、商品の速振動吸収性を伝えるもの。公式のチャレンジ動画がSNSを中心に話題を集め、UGCの創出につながった

尾澤:ありがとうございます。それがまさに視覚的要素の部分です。ワイングラスチャレンジの動画は2018年頃から展開しています。最初は資金が限られていたため、iPhoneを使用して創業者の二人が飛び跳ねる様子を撮影しました。この動画が話題を集め、一時的なブームが起こったんです。その後、コロナ禍にともなう需要高が追い風となり、事業は成長を遂げました。

施策の新しさよりも目を向けるべき資産

尾澤:事業成長の勢いが落ち着き始めると、「ワイングラスチャレンジの動画は飽きられたから、新しい動画をつくる必要がある」という雰囲気が社内に生まれました。ただ、マーケティングのカンファレンスで業界の方々と名刺交換をすると、半数以上の方から「コアラマットレスといえば、ワイングラスの動画ですね」と言っていただけて。つまり、ワイングラスチャレンジがお客様の記憶に強く残るブランド・エクイティとなっているわけです。私は会社に戻り、ワイングラスチャレンジの復活を宣言しました。

ワイングラスチャレンジ動画のキャプチャ
ワイングラスチャレンジ動画のキャプチャ

尾澤:最初は単に珍しさから反応があっただけだと考えていましたが、お客様の声を詳しく聞いてみると、言語化は難しいものの、映像を見た瞬間に「このマットレスはすごい」と感じていただけていたことがわかりました。激しい動きでもワイングラスが揺れないことから、直感的に「優れた商品だ」と認識してもらえたようです。現在はワイングラスチャレンジの登録商標を取得し、アイコン化して商品やWebサイトに使用する取り組みを進めています。

 動画を制作する際は、競合にはないコアラスリープらしさ、つまり“クスッと笑ってしまうようなユニークな印象”を残しつつ、商品の優れた点を伝えるよう心がけています。

次のページ
突飛な企画を生み出すことが目的になっていないか?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/08/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46143

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング