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ノバセル田部正樹の事業を成長させる“商売視点でのマーケティング”とは

摩擦を減らして成長を創る。パイオニア石戸氏×ノバセル田部氏がBtoBマーケティングの体制構築を議論


 ノバセルの田部正樹さんが有識者・第一線のマーケターとともに、事業成長に“真に”貢献 するマーケティングとは何かを探っていく本連載。第3回のゲストには、パイオニア モビリティサービスカンパニー CCO兼CMOの石戸亮さんをお招きしました。サイバーエージェントやGoogleなど、デジタル系企業を経て、伝統あるメーカーのBtoBマーケティングを統括する石戸さんと、経営や組織変革の視点も交えて議論しました。

マーケティングの役割は資産の最大化

田部:この連載は、事業成長に真に貢献するマーケティングのあり方や、それを展開していくためにはどうすればよいのかを考えていくものです。第3回のゲストには、パイオニアの石戸亮さんをお招きしました。最初にこれまでのキャリアや現在のミッションをご紹介いただけますか?

石戸: 約20年、一貫してテクノロジー・マーケティング・経営に携わっています。新卒でサイバーエージェントに入社し、子会社の立ち上げや経営をさせていただきました。その後Googleで4年ほど広告やマーケティングの仕事をして、Datoramaというイスラエル企業の日本支社立ち上げに参画。その後DatoramaはSalesforceに買収され、PMI(Post Merger Integration:買収後の経営統合プロセス)を経て、2020年の4月からパイオニアで働いています。

 最初はモビリティサービスカンパニーのCDOとして入社し、会社全体を見ながら、自分が一番成果を出せそうな領域はどこかを探しました。昨年8月、見ていくべき領域は「BtoBマーケティング」全体だと結論を出し、カスタマーサポートやサクセスのポストセールスとマーケティングをマネジメントするCCOとCMOを拝命し、今に至ります。

パイオニア株式会社 モビリティ サービスカンパニー Chief Customer Officer & Chief Marketing Officer 石戸亮氏
パイオニア株式会社 モビリティ サービスカンパニー Chief Customer Officer & Chief Marketing Officer 石戸亮氏

田部:ありがとうございます。早速ですが、石戸さんにとってマーケティングとは何か、教えて下さい。

石戸:よく聞かれますが、難しい質問のひとつですよね。私にとってマーケティングとは、「資産をどのように活かしていくか」ということです。資産には有形無形のものがありますが、企業が有する資産にも商品や歴史など、いろいろなものが含まれます。しかし、その資産を活用しようとすると時に摩擦が生じます。私は経営活動における一つの機能としてマーケティング全体を見ながらその摩擦を軽減しつつ、資産を最大化していくために動いています。顧客理解を進めたり、システムを導入したりといったアクションも、すべてそのために行うものです。

ノバセル株式会社代表取締役社長 兼 ラクスル株式会社取締役CMO 田部 正樹氏
ノバセル株式会社代表取締役社長 兼 ラクスル株式会社取締役CMO 田部 正樹氏

フライホイール(弾み車)モデルでサイロ化を防ぎ、スケールさせる

田部:では、パイオニアさんでのBtoBマーケティング強化の取り組みについて教えてください。

石戸:私がマーケティングを管掌するまで、マーケティング機能は営業部門の中にありました。そこで、展示会出展やカタログ印刷などを主な役割としていたマーケティング部を独立させ、商談を渡すまでの領域全般に貢献していく、顧客の声を的確に捉え事業やサービスに貢献するような体制を構築しているところです。

 具体的には、プロダクトマーケティングとデマンドジェネレーション、リードクオリフィケーションの体制を整えました。マーケティングチームで問い合わせ対応をするプリセールスや、カタログをダウンロードしたお客様やイベントに来場いただいたお客様を問い合わせが来る前にフォローしていくことなどで、2020年から2021年にかけて商談の数が260%ほど伸びました

田部:BtoBでもWHO/WHATは大前提になりますが、これに加えて、組織の仕組み作りや適切な目標設定がポイントになります。

石戸: はい。パイオニアでは「フライホイール」のモデルを基に全体最適を図っています。日本語では「弾み車」という意味で、回り出すと回転速度がどんどん速くなっていくものです。Hubspot社なども提唱している考え方の1つです。

石戸氏はフライホイール(弾み車)の図を紹介してくれた
石戸氏はフライホイール(弾み車)の図を紹介してくれた

 このモデルについて改めて説明すると、顧客像は図で示すようにStrangers(未認知顧客)とProspects(見込み顧客)、Customers(既存顧客)、そしてPromotors(推奨者)に分けられます。そこに対してお客さまをAttract(興味喚起)して、Engage(関心)して、Delight(顧客感動)する。その真ん中にGrowth(成長)があります。各領域をマーケティング、インサイドセールス、営業、オンボード、カスタマーサクセスなどが担当して回していくというモデルです。ちなみにマーケティングは、StrangersとAttractの領域を担うことが多いですね。

 これを社内に浸透させる理由は2つあります。1つはサイロ化の防止です。マーケティング、営業、ポストセールスの全員が全体を見ながら動かさないと、スケールはできません。四半期に1度は組織全体でこの絵を見ながら会話をしています。もう1つは、プロモーターの醸成です。現在の購買者は、企業に問い合わせたり接触する前にB2Bの購買プロセスの57%を終えています。そして、購入の意思決定時に参考にするのは、企業側が用意したマーケティング資料ではありません。第三者のレビューサイトや利用企業からの推薦、口コミが従来よりも意思決定に大きく影響するようになりました、プロモーターのお客様をいかに増やすかがポイントです。極論を言うと、プロモーターが増え、自社サービスを様々なところでお勧めしてくれると、わざわざ自社が投資をして広告をする必要も減り、広告宣伝費が不要になる可能性さえあります。そういった世界観で投資やリソースアロケーションを考える必要があると思ってます。

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/19 15:11 https://markezine.jp/article/detail/39283

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