大企業での経験により取捨選択の精度が向上
天野(Liftoff):大きな組織に所属している時に培った経験やスキルのうち、スタートアップにおいて役立ったものはありますか。
道下(パラレル):大企業には人的/資金的リソースがあるからこそ可能な検証や勝負が数多くあると思っています。小さな組織の場合、数あるリソースの中から何かをピックアップして、そこだけに集中してやり切るような戦略で挑まなければ大企業には勝てません。大企業で様々な施策と検証を経験できたからこそ、現職でも有効な打ち手を取捨選択できているような気がします。
大西(トリビュー):スタートアップ企業では、フェーズに応じて求められる人材が変わってくるんです。マーケティングと一口にいっても、業務は多岐に亘ります。事業のフェーズごとに必要なスキルセットや能力も変わるため、私は現職でゼネラリストを目指しました。その結果、今の環境に適応できていると思います。
道下さんのお話とも関係しますが、失敗できる環境でたくさん失敗しておいた方が良いと思います。小さな組織の場合、失敗の許されないシビアなタイミングがあります。過去に失敗の経験があれば、そんな場面においても適切な取捨選択ができるのではないでしょうか。
国内DLが伸び悩む一方、海外市場の期待値は高い
パネリスト
MOTTO 佐藤基氏
オーテ 目黒悠氏
天野(Liftoff):最近アプリマーケティング界隈で気になっているトピックはありますか。
佐藤(MOTTO):アプリゲーム業界では「ダウンロードが取れなくなった」という話を最近よく耳にします。せっかくリリースしたゲームが、下手をすれば3~4年前の半分程度しかダウンロードされないケースもあります。
佐藤(MOTTO):一方、先日韓国でリリースされた「ウマ娘」は、セールスランキングで1位を獲得。アメリカでは「僕のヒーローアカデミア」のゲームが、ブラジルでは「聖闘士星矢」のゲームが、それぞれトップ30にランクインしています。つまり、海外では日本産のコンテンツにかつてないチャンスが訪れているというわけです。
天野(Liftoff):確かに、先日仕事で韓国を訪れた際は街や駅などそこら中がウマ娘一色でした。韓国ではゲーム会社やエンタメ会社が莫大な予算を使い、OOHを席巻するような戦略を取ることが多いため「その時何にお金が使われているか」がわかりやすい国だと思います。その対象が、ウマ娘だったことに私も驚きました。
目黒(オーテ):iOS14.5の影響もあり、国内でのダウンロード数が伸び悩んでいるアプリマーケターは多いのではないでしょうか。その中で弊社が現在注力しているのは認知・未使用、未認知層へのアプローチです。
目黒(オーテ):当社ではこの2~3年、主にデジタル広告の最適化によってインストール数を伸ばしてきました。インストール数が頭打ちとなった時、さらにグロースさせるためには認知・未利用、未認知層へのアプローチでパイを広げる必要があったのです。現在はどのアプローチの仕方が最適かを判断するために、ターゲットとなる顧客ピラミッドの作成や、対象ターゲットの人数推測を行っています。
未認知層のリーチが広く取れるVODメディアやテレビCMでの出稿も、最近ではインストール数の計測ができるようになっています。「効果がわかりにくい」「PDCAが回しにくい」などの懸念も薄れてきているのではないでしょうか。
もちろん、今使っている媒体の最適化を続ける必要はありますが、アプリマーケターとしてサービスをさらに広げていくためにどんな手段を選択すべきか、判断するにあたっての材料を集めることが大切だと実感しています。
天野(Liftoff):「ダウンロード数の減少」というテーマだけで別のセミナーが開けそうですね。海外進出も1つの手段でしょうし、ファネルの変更やトラフィックエクスチェンジなど、様々なアプローチが考えられそうです。
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