オンオフ統合は3つのフェーズで考える
では「5Cモデル」とはどのようなものか? まずはオンオフ統合のハードルを下げるために、「チャネル統合」「マスデジ連携」「統合マーケティング」の3つのフェーズに分けて考えるべきだと、神蔵氏は説明する。
フェーズ1の「チャネル統合」は、オンラインとオフライン双方を試し、成果の実感を持つ段階だ。なるべく最小の力で行うために、たとえばコネクテッドテレビでの広告配信などでチャネルの統合を実践する。
その手ごたえをもとに、フェーズ2の「マスデジ連携」へ進む。マスとデジタルのプランニングを連携させるなど、プロモーション効果の最大化を狙う。そして、プランニングを拡大し、フェーズ3の「統合マーケティング」へと向かっていく。
「フェーズを分けることで、高く見えたオンオフ統合の壁が低く感じるのではないでしょうか。また、自社の実情に応じてどの段階から取り組むべきか意思決定が可能になります」(神蔵氏)
統合の要素「5C」を各フェーズで定義し、アクションに移す
しかし、このように段階を分けても各フェーズで注力すべきことは曖昧なままだ。そこで、「5Cモデル」が登場する。
5Cとは「Core(コア)」「Co Creation(コクリエーション)」「Communication(コミュニケーション)」「Cost Control(コストコントロール)」「Connect(コネクト)」の頭文字をとったもの。
コアとは、戦略・配信・指標の連携や統合。コクリエーションはオンオフで分断しがちな社内組織や代理店同士で共創体制を作っていくこと。コミュニケーションはオンオフ全体で成果を出すためのコミュニケーション戦略やクリエイティブ。コストコントロールは最適な予算配分を目指すもの。そしてコネクトは、オンオフにおけるデータの連携・統合を指す。この5Cを各フェーズで意識することで、統合マーケティングが前進していく。
しかし、要素がわかっても具体的に何をすればいいのか、まだイメージが難しい。そこで、用意されたものが「5Cモデルチェックリスト」だ。
「オンオフ統合のフェーズごとに5Cをどのように実現していくべきか、アクションを紐付けるといいのではないかと考えました」(神蔵氏)
チェックリストを通して施策の可能性を探ったり、現状の進捗を確認したりできる。実際に同社のクライアント企業では、同じフェーズ内でもチェックリストの達成度が高い企業のほうが、より高い成果を出しているという。
以上をまとめると、5Cモデルとはオンオフ統合を3つのフェーズに分解し、統合の5要素を定義し、その実現に必要なアクションを項目化することでオンオフ統合を実践しやすい状況を作るためのものだ。また、広告主と代理店双方の担当者が5Cモデルを活用することで、共通認識を持ちながら統合マーケティングを進めていける。