なぜ今アーンドメディアに注目すべきか?
マーケティングにおけるメディアは、ペイド(paid)、オウンド(owned)、アーンド(earned)の大きく3つに分類できる。このうち現在企業の投資配分の95%を占めると言われているのがペイドメディアだ。テレビCM、雑誌/新聞広告、インターネット広告などで、未顧客の認知向上に用いられることが多い。オウンドメディアはブランドや企業のサイトでのコンテンツ、メルマガ、自社アプリなどで、主として既存顧客向けとなる。投資配分は4%程度だ。
これらに対し、アーンドメディアはLINE、Instagram、TikTokなどSNSやブログを用いる。未顧客の顧客育成、既存顧客に向けたマーケティングに適しているが、現状では企業のアーンドメディアへの投資は限定的で、活用しきれていない企業がほとんどであると八重樫氏は述べる。
「アーンドメディアへの投資配分は1%未満。ペイドメディアに割いているマーケティング投資を少しでもアーンドメディアに回せば、マーケティング全体のROIはもっと効率化できるはずですので、非常にもったいないと言える状況です」(八重樫氏)
アーンドメディアを重視すべき背景として、八重樫氏は、紙→Web→ソーシャルと顧客接点が変化していることを挙げる。顧客の可処分時間・接点がソーシャルに移行する中で、BtoC企業にとっては、顧客から選ばれるためにソーシャルでの接点構築が必然となる。
また、この状況に追い討ちをかけるのが、昨今のサードパーティCookie廃止の動きだ。「データを使ってお客様と繋がったり、出し分けたり、より適切なコミュニケーションをすることが広告媒体では難しくなる」と八重樫氏。「サードパーティCookieの代替手段として明確な答えはないが」と前置きしながら、「ファーストパーティデータの効果的活用、ソーシャルメディアの活用がマーケターの課題になっている」と説明する。
代替手段としてはアプリやメルマガも考えられるが、アプリはダウンロードをしてもらう必要がありハードルが高い。リテンション率も、3ヵ月後には18%になると言われている。メルマガも開封率は15%、本文のリンクをクリックする比率になると、わずか2%にまで下がる。
合わせて、顧客育成とフォローの領域において、BtoBではMarketo、HubSpot、Salesforce、Zendeskなどのソリューションがあるのに対し、BtoCでは明確なソリューションがない点も指摘する。
「顧客接点がソーシャルに流れていっているのに対し、LINE、Instagram、TikTokなどを使って顧客育成をすることができていない。ここを活用する余地は大いにあります」(八重樫氏)