「The Experience Maker of the Year」を受賞した東京海上日動
Experience Maker──それは「Adobe Experience Cloud」のソリューションを活用して、顧客中心主義志向を貫き、これまでの常識にとらわれることなく、創意工夫と大胆な行動力で素晴らしい顧客体験をお客様に届け、企業と顧客との関係性というものを変革し、企業の事業成長を牽引する人々のことを指している。
本イベントには、日本の「Experience Maker Award」受賞者や「Adobe Marketo Engage Champion」受賞者らも出席し、各企業・チームの成功体験を発表した。開催場所は東京・南青山にあるジャズ・クラブ「ブルーノート東京」。ムーディな雰囲気の中、生バンドが各講演の合間にジャズミュージックを演奏し、その場を盛り上げる。
冒頭のセッションにはAdobe Experience Maker Awardsの一つである「The Experience Maker of the Year」を受賞した東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)の吉村歩美氏が登壇する。
吉村氏が所属するデジタルイノベーション部は2019年に立ち上がった。主なミッションは、国内の市場に多大な影響を持つプラットフォーマーやマーケットホルダーと協力して新たな保険の提供モデルを立ち上げたり、新たなソリューションを開発・導入して保険の提供チャネルを改善し、効率化を促したりすることにある。これらのミッションの一環として、吉村氏は損害保険におけるデジタルマーケティングの活用に着手した。
従来型の損害保険事業では、東京海上日動とエンドユーザーを保険代理店(以下、代理店)が仲介するBtoBtoCのビジネスモデルが中心となっている。
「このビジネスモデルを前提に考えると、東京海上日動におけるデジタルマーケティングとはすなわち『代理店のデジタルマーケティングを支援すること』というシンプルな結論に至りました」(吉村氏)
難解な保険商品の解説コンテンツを制作
吉村氏は、代理店の業務支援の切り口として「保険の難解さ」に目を付けた。損害保険は種類が豊富なため「医療保険とがん保険の違いは?」「個人賠償責任保険って何?」などエンドユーザーの疑問は尽きない。一方で、難解な保険の内容をわかりやすく、かつ正しく説明したオンラインコンテンツは「意外と少ない」という。そこで吉村氏は、東京海上日動側で記事や動画コンテンツを作り、代理店のWebページなどに掲載してもらう施策を考えついた。
「どの保険に入ることで、どういったリスクヘッジが可能なのかをWeb上で簡単に調べられれば、エンドユーザーがより合理的に意思決定ができると考えました」(吉村氏)
また、エンドユーザーの利益につながるのはもちろん、代理店にとってもメリットがあると考えた。コンテンツの制作を東京海上日動が請け負うことで、代理店の負担にはならない。「コンテンツが増えれば代理店におけるCVRを高められる」との発想だ。
効率的にコンテンツ制作を行っていくためにはCMSが欠かせない。そこで、外部の制作会社にシステム導入を依頼。提案されたのがアドビの「Adobe Experience Manager as a Cloud Services」だった。吉村氏はAdobe Experience Manager as a Cloud Servicesについて「GUI(Graphical User Interface)によって直感的な操作が可能であり、HTMLやCSSといった言語に不慣れなメンバーでもWebページを簡単に構築できる」と高く評価する。