目指すは「ちょっと相談できる身近なお姉さん」の距離感
磯山:実店舗とオンラインの掛け合わせも事業の拡大に寄与しているのではないかと見ていて思います。手応えはどうですか?
尾﨑:店舗を構えているだけではお客様は来てくれないので、ブランドの知名度やSNSで話題になったことが来店要因になっています。オーガニック流入やUGCが増えれば増えるほど実店舗の売上も伸びるというのは、わかりやすくデータに出ています。
磯山:DINETTEさんのUGCを見ていると、世界観が統一されているなと感じます。ユーザーの方も近い世界観を持っているだと思うんですが、何か工夫や仕掛けがあるんですか?
尾﨑:特に仕掛けはしていないんです。ただ、誰でも真似できるようにメディアのコンテンツやSNS投稿を作っていることが大きいと思います。
どの角度で、どの小物を一緒に入れて撮影するかなど、お手本となる投稿をすることで、それをかわいいと思ってくれた人が真似してくれるんです。
磯山:「真似できる」というのは重要な要素になりそうですね。自分でも「ちょっと頑張ったらできるんじゃないか」という手の届きそうな距離感があるんでしょうね。
尾﨑:たとえば海外の一流雑誌はかっこよくて憧れるけど、「なかなか真似できない」と思ってしまう人も多いはず。憧れだけで終わらず、いかに自分ゴト化してもらえるかを大切にしています。DINETTEのメディアやPHOEBE BEAUTY UPのプロダクトを通してそれを体験していただけているので、UGCにも統一感が生まれているのではないでしょうか。
DINETTEは「ちょっと美容の相談ができるお姉さん」ぐらいの立ち位置で、ユーザーと近すぎず遠すぎず、適度な距離感を意識しています。
女性の活躍を応援する会社・ブランドに
磯山:今後目指していることや、やりたいことがあれば教えてください。
尾﨑:会社としてやりたいのは、女性の活躍を応援することです。仕事でも子育てでも、もっと自分のことを好きになって、自分を肯定できて、女性が本当に自分らしく輝くのをお手伝いできるブランドでありたいですね。
それこそ私が女性起業家として起業したときにすごく苦労した経験があるので、起業しやすいエコシステムを作りたいとも思っています。女性だから大変だったことが、実体験として結構あるので。
磯山:やはりまだまだ女性起業家への風当たりって強いですか?
尾﨑:資金調達のときに「“いつ(何歳)まで”やれるの?」と聞かれたことはありました。
磯山:それって失礼ですよね。男性である僕は「本当にやれるのか」を聞かれることはあっても、「いつまで」とは聞かれたことがないです。
尾﨑:でも、私が自分らしく好きなことを極めた結果、成功できるというロールモデルになることで、希望を持って私も頑張ってみようと思ってくれる方は少なからずいると思うんです。そういう人が増えれば増えるほど、女性の働き方やマインドは変わってくると思うので、まずは私自身が結果を出すというのが今やりたいこと、やるべきことです。

編集後記
今、大注目されているDINETTEの尾﨑さんに、現在手がけられているビジネス、その中でも特にブランド作りに踏み込んで話をうかがいました。
煌びやかなイメージそのもののピンクを基調にしたオフィスでお話をうかがう中で、商品やサービスへの思い、また煌びやかさとは対比にあるユーザーファーストでの取り組みや地道に泥臭くブランドの世界を作り上げられてきたエピソードを聞いて、とても情熱的でわくわくしました。
ユーザーとの接点の1つひとつにこだわりを持ち、それぞれの特徴に応じて最適化し、一貫性のある世界観を築き上げることが、BX(ブランド体験)を実現させている取り組みであると感じました。DINETTEさん、尾﨑さんの今後の活躍に引き続き注目していきます!