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1年で友だち登録数を約2倍、「写真のお部屋」経由の注文を約122%に伸長!キタムラのLINE活用施策

 「カメラのキタムラ」の実店舗やECサイトなどを通じ、プリントサービスやカメラの中古販売などを展開するキタムラ。同社では2017年よりLINEを使ったコミュニケーション施策を複数、走らせている。そのひとつが、キタムラのLINE公式アカウントのトーク画面上に画像を送ると簡単にプリント注文ができるサービス、通称「写真のお部屋」だ。この施策はLINE公認の技術支援パートナー(Technology Partner)のミロゴスが支援している。本稿では、キタムラとミロゴスの取り組みを通じてLINEを活用したマーケティング手法の最適解を探る。

顧客とより良い関係を築くため、LINE施策を強化

──キタムラの事業内容と、山内さんの現在の業務内容についてうかがえますか。

 キタムラでは「カメラのキタムラ」や「スタジオマリオ」などの実店舗やECサイトを展開しています。主な事業内容はカメラの販売や写真のプリントサービス、フォトブックの販売です。最近ではカメラや時計、スマートフォンの買い取りなど、リユース事業にも力を入れ始めています。

キタムラ デジタルマーケティング 山内一篤氏

 私はLINEを使ったサービスの運用・管理から新規サービスの開発を担当しています。当社の場合、広告費を支払って友だちの数を増やすのではなく、カメラのキタムラの店舗スタッフに協力していただき友だち登録を促進しています。そのため、LINEを今後の販促に活用する意義を店舗スタッフへ啓蒙することも業務の一つです。

──キタムラでは2017年よりマーケティングにLINEを活用していらっしゃいますが、なぜLINEに着目されたのでしょうか。

 2017年以前のデジタルマーケティングの主な接点はメルマガでした。しかし「お客様が今後もより良く当社とつながっていくには、お客様にとってより身近なコミュニケーションツールを活用すべき」と考えたところ、LINEに行き着いたのです。

顧客体験を劇的に向上した「写真のお部屋」

──キタムラは、実店舗やECサイト、自社アプリなど様々な顧客とのタッチポイントをお持ちですが、その中でもLINEはどのような位置づけなのでしょうか?

 LINEはオフライン接客のアシストツールという位置づけです。たとえば、カメラのキタムラの店舗にいらっしゃったお客様に対し、退店された後も引き続きコミュニケーションをとり続けるにはデジタルツールが欠かせません。そこで、店舗においてお客様に友だち登録していただき、退店後にLINEでアプローチしています。具体的には、再来店いただけるようお客様のご利用状況に合わせた商品・キャンペーン情報を送ったり、ご来店時にご利用いただけるクーポンを配信していたりします。

 また、LINE活用施策のうち、特に成果を上げられているのが「写真のお部屋」です。公式アカウントのメニューから「写真のお部屋」をタップすると、サイズを選択する画面が表示されます。サイズ選択後にプリントしたい画像をトーク画面に送信すれば、注文は完了。写真ができあがるとLINEに通知が届き、来店して写真を受け取る流れです。

注文ボットを活用したプリントサービス利用のイメージ。選択式でユーザーは迷うことなく注文することが可能だ

 従来は、USBなどに写真データを移した上で店舗に足を運んでいただく必要がありましたが、注文ボットによってそうした手間を省くことができています。お客様からも「スマートフォンの中にある写真を選ぶだけで良いので非常に便利」などの声を頂戴しています。また、LINEの注文ボットではLINE上でプロセスが完結するため、UI/UXの改善にもつながったと思います。

ミロゴスの支援により、注文数は前年度比約122%に

──注文ボットをはじめ、LINEを活用した施策を推進するにあたり、ミロゴスに支援を依頼されたとうかがいました。ミロゴスから受けた支援の内容を教えてください。

 支援を依頼した2019年時点で、注文ボットのシステムは既に完成していました。ミロゴスさんにはお客様が利用された際に発生したエラーの原因を割り出し、改修するところをサポートいただきました。

 LINEの操作手順は人によってまちまちです。たとえば写真のお部屋の場合、メニューから「写真のお部屋」をタップし、ご案内に沿って操作をすれば問題なく注文できますが、お客様によっては過去のメッセージをさかのぼって操作される方もいらっしゃいます。つまり、こちらが想定していない注文フローが存在していたのです。

 そこで、ミロゴスさんから「不要なサービスをそぎ落とし、注文動線を簡略化することでUI/UXを向上できるのではないか」と提案いただき、改修に着手。その結果、2021年度の注文ボットを経由した注文数は前年度比で約122%に向上しました。

 また、メニューのカスタマイズもミロゴスさんから提案いただきました。キタムラでは複数のサービスを展開しているのですが、LINE上に表示できるメニュー数には限りがあります。「もっとたくさんのコンテンツがあるのに、お客様に伝えられていない」と感じていたところ、リッチメニューAPIの活用を提案いただきました。

タブを切り分け、UXをさらに改善

──リッチメニューAPIとは具体的にはどのような施策でしょうか?

 具体的には、メニューの上に「カメラのキタムラ」「スタジオマリオ」と2種類のタブを設置しました。LINE社が元々提供しているメニューにはタブがないのですが、APIを連携させることによりタブを追加したのです。

「カメラのキタムラ」「スタジオマリオ」の2つのタブに切り分けられたリッチメニュー

 カメラのキタムラのお客様の中には、当社がスタジオマリオも運営していることをご存じない方もいらっしゃいます。しかし、タブを分ける仕様にしたことで、一目で我々の事業内容をご理解いただけるようになりました。副次的なPR効果も得られています

──ミロゴスのサポートはどのような点が優れていたと思いますか。

 注文ボットやメニューのUI/UX改善で、提案力の高さを強く実感しました。また、施策を進める上で密なコミュニケーションがとれた点も非常にありがたかったです。ミロゴスさんとは月に1回、定例会を開催していますが、当社側で疑問点があれば電話やSlackなどで適宜質問することができました。そのおかげで、施策のスピーディーな改善につなげられたと思います。

友だち登録数が前年比約2倍を達成

──キタムラのLINE公式アカウントは2017年のスタート以来、多くのユーザーに利用されています。利用者を増やす上で意識されているポイントを教えてください。

 店舗で友だち登録を直接促すことです。たとえば、注文ボットを使わずにプリントサービスを利用されたお客様に対して、スタッフが接客トークの合間に「LINEでも簡単にお写真のご注文ができますよ」とお声がけしています。

 地道にご紹介を続けた結果、2021年4月時点で約80万だった友だち登録数が、2022年4月には約160万と2倍に拡大しました。また、店舗スタッフとお客様の間で既に一定の関係性を築けているため、広告経由で友だち登録していただく場合よりもブロック率を低く抑えられているのではないかと推察します。

──友だち登録数が大きく伸びた背景には、ミロゴスからの支援もあったのでしょうか。

 ミロゴスさんには「どの店舗が友だち登録増にどれだけ貢献しているか、可視化することはできないか」と相談させていただき、LOOPASSを使ったLINEログイン機能をご紹介いただきました。店舗ごとの友だち登録数を集計。その結果を全店へ共有し、月に1回のエリア長会議でも、各店舗における推移状況を伝えるようにしました。スタッフのモチベーションを高めることで、友だち登録を2倍まで伸ばせたのだと考えます。

既存の会員IDとの連携率も高い

 LINEの友だちとは別に、カメラのキタムラのネット会員システムもあるのですが、両者のID連携に関しても一定の成果を上げられています。ミロゴスさん曰く、ID連携にあたってはパスワードを入力してフォームに入り直す手間が発生するため、連携率は低くなりがちなのだそうです。しかし、当社のID連携率は一般的な連携率よりも高いとのことです。その理由もまた、店舗スタッフの接客にあると考えています。たとえば、シニア層のお客様に対して店舗スタッフが「ご一緒にお手伝いさせていただきますので、今ご登録しませんか?」とお声掛けをしているのです。手間のかかるID連携であっても「スタッフの方が一緒に操作してくれるのであれば」という心理が働きやすいのだと思います。

──最後に今後の展望についてお聞かせください。

 コミュニケーションの目的は、お客様と長期の関係を築くことです。メルマガや自社アプリなど、様々な接点でお客様とコミュニケーションをとっていますが、お客様がより身近に感じるツールとしてLINEのサービスがある、という認識です。その認識の上で、当社の幅広いサービスの認知や再来店につながるような新たな施策を今後もLINE上で展開していきたいと思います。

 注文ボットはおかげさまで高い認知を得ましたが、LINE上で提供しているそのほかのサービスの中には、提供を開始したばかりで店舗スタッフに十分周知できていないものもあります。お客様だけでなく、店舗スタッフへの啓蒙もあわせて行っていきたいです。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/13 10:00 https://markezine.jp/article/detail/40638