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WGSNが予知する1年後

【前編】もっともっと“都合のいい”世界へ。業界の住人として知っておきたい、トークンが変える未来

【参照】NFTによるストーリーへの関与の例

 NFTを用いて行われている様々なアプローチの例を付録としてご紹介します。まずは、NFTによるストーリーへの関与の例です。

Web3.0プラットフォーム「Shibuya」

 「Shibuya」は、NFTアーティストPplpleasrが立ち上げたWeb3.0プラットフォーム。主にエンターテインメントの領域でのクラウドファンディングを行っている。「プロデューサーパス」と名付けたNFTを販売し、ファンたちが投票権を行使することで制作に関する決定に携わり、ストーリーの道筋を立てることができるようにするなどの展開が行われている。

次回のエピソードをNFT投票で決めるアニメ番組

 俳優のMila Kunisが設立した制作会社では、「South ParkとWWEを融合させたような、レスリングがテーマのアニメ番組」に出資することを決定。各エピソードの終わりにストーリーに関する投票ができる権利を付与したNFTを販売している。

Bunim/Murrayも台本のないプロジェクトを進行中、NFTで資金を調達

 制作会社のBunim/Murrayは、NFTで資金を調達する台本のないプロジェクト、Wonderfuelを設立。NFTはリワードシステムの一部に組み込まれ、視聴者が番組のストーリーを舵取りできるようになっている。

NYの恋愛リアリティ番組は、結末の意思決定を視聴者へ

 ニューヨークに拠点を置く双方向型の恋愛リアリティ番組Mad Realitiesは、視聴者が暗号資産で投票権を購入することで、番組の結末に関する意思決定に携われるようにしている。

ストーリー参加以外のリワード例

 FOXは、2023年に放送予定の新アニメシリーズKrapopolisの公開に先駆けて、2022年8月にNFTコレクションを発売。トークン購入者限定コンテンツへのアクセスやキャストとの交流会、番組内容について投票できる権利、番組のエキストラとして出演できる特典などをリワードとして提供している。このようにストーリー参加以外のリワードもある。

【参照】知的財産権(IP)×NFTの例

 オーナーシップによって得られる権利には「IP=知的財産権」もあります。この権利を引っかかりとして、ユニークなアイデアが次々と繰り広げられています。NFTやソーシャルトークンを使うことで、エンターテインメントに関わり、楽しみたいと願うファンや視聴者が直接的に利益を享受できるようになるのです。

この世を去ったスターのコンテンツが新たな形で蘇る?

 IPの登場により、ファンや視聴者は好きなコンテンツや著名人のデータの一部を所有することができるようになる。亡くなった後もデジタル上で存在し続けるデジタルイモータリティというオプションが出てきているが、これを利用して、既にこの世を物理的に去ったセレブたちをブロックチェーン上で蘇らせ、新たな命を吹き込むというプロジェクトが登場。スターたちの知的財産へのアクセスや所有権をファンたちに新しい形で提供する企画が進行中。

ストリーミングのロイヤルティをNFT所有者に分配

 デジタル資産を作成、発行する企業Rollは音楽アーティストたちが楽曲の所有権構造を変えることで作品を多くの人に広められるようサポートしている。たとえば、ポップデュオのThe Chainsmokersは、新アルバムSo Far So Goodの発売に合わせて5,000個のNFTを配布。アルバムのストリーミングロイヤルティの1%がこのNFT所有者に分配される仕組みで、NFTへのアクセス権を得たファンあっちは生涯にわたって投資利益を得ることができる。

キャラクターのIPをリワードとして付与

 アカデミーとゴールデングローブ授業歴のあるVFXアーティストたちが制作する子供向け番組「Cactus World」でもNFTを活用。Cactus WorldのNFTを購入した視聴者はリワードを受け取り、Discordのサーバーへアクセスし、キャラクターのIPを得ることができる。

【参照】NFTなどデジタル資産を商業目的で利用した例

 最後に、デジタル資産を商業目的に利用する例もご紹介しておきます。

NFTの商業利用を促進するマーケットプレイスが出現

 最もよく知られているNFTコミュニティのひとつ、Bored Ape Yacht Club (BAYC)は、所有者がデジタル資産を商業目的に利用できるようにしている。2022年6月には、BAYCのNFT所有者とキャラクターを起用したいと考えるブランドを結び付けることを目的に「BoredJobs」と呼ばれるライセンシングマーケットプレイスも出現した。BAYCを運営するYuga Labsは、CryptoPunksのIPを取得。NFT所有者がキャラクターを商業目的に使用できるようにし、ライセンス契約を通じてNFTの肖像権をマーケティングやエンターテインメントに積極的に活用するよう所有者に促している。

NFTを活用したコミュニティづくり

 Universal Music Groupは2021年11月にBAYCのキャラクターによるバンドKINGSHIPを結成。2022年8月にはM&Msと初の企業パートナーシップを結び、期間限定パッケージにKINGSHIPのキャラクターが採用された。バーチャルインフルエンサーの新時代を切り拓いた例と言える。

NFTキャラクターとアーティストのコラボ

 2022年のMTVビデオミュージックアワードでは、(BAYCのNFTを所有する)ラッパーのSnoop DoggとEminemがステージで共演した際にキャラクターを利用。パフォーマンスはYuga Labsの新しいメタバースゲーム「Otherside」の広告としての役割も果たした。

NFTで連鎖的な展開を見せる企画も

 Gene Nublaは、NFTストーリーテリングプロジェクト「Jenkins the Valet」で彼の所有するキャラクターを使用することを認めるライセンス契約を結び、作家のNeil Straussがそれをインスピレーションにした書籍を執筆する、という連鎖的展開も見せている。

<WGSNと伊藤忠ファッションシステムについて>

 Ascential (アセンシャル) グループ傘下のWGSN (ダブリュージーエスエヌ)は、カンヌライオンズでおなじみのLionsの姉妹企業です。現在、北米/ヨーロッパ/中東/アフリカ/アジア太平洋地域/ラテンアメリカに20以上の拠点を持っています。情報領域として、インサイト(消費者動向)、家電、ファッション、ビューティ、インテリア、フード&ドリンクがあり、2~10年後に重要視される製品や体験、サービスの具体例やキーワードを提示しています。弊社、伊藤忠ファッションシステムはその日本代理店を務めています。

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この記事の著者

浅沼 小優(アサヌマ コユウ)

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ifs未来研究所 上席研究員 大手住宅メーカー、米国でのインテリアディスプレイデザイナー、バイヤー業務を経て、帰国後LVMHグループ、ロエベ他にてマーケティング、マーチャンダイジングを担当。デザイン予測を提供する英国WGSN日本統括を経て、2019年より現職。W...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/13 15:01 https://markezine.jp/article/detail/40717

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