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第107号(2024年11月号)
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広告収入で収益4割増に成功したLINE ポイントゲーム AppLovinの支援で広告運用を全体最適化

 2021年9月に、ユーザーがゲームを通じてLINEポイントを貯められる「ポイ活」を取り入れた「LINE ポイントゲーム」事業を開始したLINE。同事業では、ユーザーからの課金ではなく、広告収入を収益源としている。集客や広告マネタイズの最適化を図るため、LINEはAppLovin(アップラビン)に支援を依頼した。その結果、全体の収益が40%アップし、社内で表彰されるまでになったという。本稿では、LINEとAppLovinの両社にLINE ポイントゲーム事業の成功要因を聞いた。

ゲーミングとポイ活を融合させたハイブリッドゲーム

MarkeZine編集部(以下、MZ):皆さんの自己紹介と、現在の業務内容について教えてください。

増田(LINE):ゲーム事業部 開発チームのマネージャーをしています。LINEの強みであるカジュアルゲーム(※)のプロデューサーを務めていたこともあります。最近ではマネージャーとして、ゲーム領域における新規事業部の全体統括をしています。2021年9月に開始した、ゲーミングとポイ活を融合させたLINE ポイントゲーム事業も新規事業の1つです。デジタルマーケティング担当の布施と連携しながら全体の意思決定や事業戦略を担っています

※コアなゲームファンのみならず誰でも簡単にプレイすることができ、直感的に遊べるスマートフォン向けゲームアプリの総称
LINE ゲーム事業本部 ゲーム事業開発チーム マネージャー 増田智也氏

布施(LINE):ゲーム事業企画室のゲームデジタルマーケティングチームに所属しています。LINEが提供するゲームの中でも、特にカジュアルゲームの広告運用のインハウス化を推進しています。LINE ポイントゲームに関しては専任のマーケターとしてジョインしており、LINEが提供するゲームの全タイトルを横断して施策提案や分析を行っています。

LINE ゲーム事業本部 ゲーム事業企画室 ゲームデジタルマーケティングチーム 布施圭悟氏

高木(AppLovin):私は、米国に本社を置くAppLovinで日本をベースにモバイルアプリの新規ユーザー獲得や広告収益最大化の支援をしています。日々の業務では、当社が提供するプロダクトの提案や導入・活用支援に際し、広告主様やパブリッシャー様、代理店様と日々やり取りをしています。

AppLovin Business Development 高木利奈氏

AppLovinに依頼した決め手はゲーム業界内の口コミ

MZ:LINE ポイントゲーム事業において「ユーザーからの課金」という収益モデルではなく、広告を収益源の柱に据えた経緯を教えてください。

増田(LINE):当社が提供するゲームの人気タイトルの多くは、ステージが進むと同時に難易度も上がる設計です。しかし、お客様の中には難易度が上がることでよりエキサイトできるゲーム好きな方のみならず、すき間時間に暇つぶしでプレイされる方も多くいらっしゃいます。

 そこで、ゲーム内容をよりカジュアルに寄せ、かつポイ活要素を取り入れたゲームにすることで、普段ゲームをしないお客様のニーズに応えようと考えました。それがこのLINE ポイントゲームです。ゲームの趣旨やターゲット層を鑑みた結果、無課金で広告収入を得るビジネスモデルが適切だと考えたのです。

MZ:2022年から広告マネタイズの最大化を図る目的で、支援パートナーにAppLovinを選ばれたと伺いました。選んだ決め手を教えてください。

増田(LINE):ゲーム業界におけるAppLovinさんの評判が非常に高かったからです。LINE ポイントゲーム事業を開始する前に、ハイパーカジュアルゲーム市場の動向を調べようと、収益を上げられている企業の方に直接話を伺ったり、ウェビナーに参加したりしました。そこで皆さんが共通して「AppLovinのツールは集客でもマネタイズでも高いパフォーマンスを出す」と評価していたんです。

A/Bテストで広告運用プロセスを改善し収益40%増

MZ:AppLovinではLINE ポイントゲームの広告マネタイズを最大化するにあたり、具体的にどのような支援をされたのでしょうか。

高木(AppLovin):広告マネタイズと集客、2つの切り口から支援させていただきました。まず広告マネタイズに関しては、メディエーションツールの「MAX」を導入いただきました。メディエーションツールとは、各アプリに実装した複数のアドネットワークを1つのアプリ上で管理し、広告の出し入れをするためのツールです。

MAXのサービス内容の概要図

高木(AppLovin):MAXには収益最大化につながる様々な機能が実装されていますが、特に優れているのがレポート機能です。アプリがインストールされた日を基準に、その日に獲得したユーザーあたりの広告収益と継続率、広告表示回数、プレイ時間などの平均値の推移をレポーティングします。LINE ポイントゲームでは広告運用の改善やユーザーの離脱ポイントの特定などに活用いただいています。

 また、MAXにはA/Bテスト機能もあります。この機能を活用し、広告収益最大化のためにウォーターフォール(※)の最適化も支援しています。その結果、収益を約40%上げることができました。

※アドサーバー内において、媒体社側が事前に決めておいたCPM価格の高い順から広告リクエストを行い、最低落札価格以上の入札の中で一番収益性が高い広告を決定し表示する方式

MZ:次に、集客の面ではどのような支援をされたのですか?

高木(AppLovin):集客面では広告プラットフォーム「AppDiscovery(アップディスカバリー)」を導入いただき、新規ユーザー獲得のKPI指標に合わせて広告配信の最適化を支援しました。

 AppDiscoveryの機能の中でも費用対効果がひときわ高いのが「Ad ROASキャンペーン」というメニューです。特徴は、集客の広告費に対する収益割合を指す"Ad ROAS"の目標値に基づいてユーザーレベルで最適化をする点にあります。ROAS目標の達成に向け、MAXを活用して集めたユーザーの広告収益データに基づきCPI入札を自動調整します。これにより、DAU(※)のうち収益額の平均が比較的高いユーザーを中長期で効率的に獲得できます。LINE ポイントゲームでは、MAX導入直後からほぼすべてのタイトルでAd ROASキャンペーンを継続利用いただいています。

※Daily Active Usersの略。自社のWebサイトやサービスの訪問者、利用者数を指す

プレイアブル広告で獲得ボリューム1.7倍

MZ:AppLovinでは、広告運用のほかにもクリエイティブの制作支援を行っていると伺いました。

高木(AppLovin):当社には、インハウスのクリエイティブスタジオ「SparkLabs」があります。SparkLabsを通じて、ユーザーに広告内でゲーム体験を提供できる「プレイアブル広告」をはじめとする広告クリエイティブを、全体構成や広告内の文言、エフェクトの追加など、膨大なデータと経験による知見に基づいて制作しています。

 たとえば、LINE ポイントゲームの1つ「LINE:マージジェリー」のプレイアブル広告をSparkLabsで制作しました。制作に際しては、LINE ポイントゲームの最大の魅力である「ゲームを楽しみながらLINEポイントをゲットできる点」をしっかり訴求できるよう意識し、LINE様と協議しながら細かい部分の変更を重ねました。具体的には、同じジェリーをマージさせて消すことに成功すると、ジェリーが上のゲージバーに吸収されるアニメーションを追加しました。これにより、ユーザーはポイントが徐々に溜まっていることを一目で認識できます。

LINE ポイントゲームの1つ「LINE:マージジェリー」のプレイアブル広告。
「制限時間内に一定数のジェリーを消すこと」など、クリア目標がわかりやすいのも特徴だ

MZ:AppLovinの支援により、マーケティングの面でどのような成果が得られましたか。

布施(LINE):まず、SparkLabsの皆さんに作成いただいたプレイアブル広告は、非常に高いパフォーマンスを出せています。ユーザー獲得が芳しくなかったタイトルでプレイアブル広告を採用してみたところ、獲得ボリュームは1.7倍にV字回復しました。現在は他のタイトルへの導入も進めています。

布施(LINE):また、プレイアブル広告以外のところでも、他の広告プラットフォーマーさんよりもAppLovinさんを介した方がボリューム・パフォーマンスともに圧倒的に高い成果を出せています。実は、LINE ポイントゲーム事業を開始した直後は他のプラットフォームにも並行して広告出稿していた時期があったのですが、AppLovinさん経由で獲得できた新規ユーザー数は他のプラットフォームの約80倍でした

丁寧なサポートが収益最大化の成功要因に

MZ:LINE ポイントゲームの広告マネタイズを支援する際に意識していたことはありますか。

高木(AppLovin):当社のソリューションを使って支援するのみならず、LINE様と同じ目線に立って、LINE ポイントゲームの先にいるアプリ利用者様のことも考えた上での施策提案を心がけています。LINE ポイントゲームは前述の通り、ゲーミングとポイ活を融合させたハイブリッド型のゲームです。つまり「ゲームユーザー」と「ポイ活ユーザー」双方のインサイトやモバイル上での行動パターンを意識した提案が重要となります。

高木(AppLovin):カジュアルゲームのビジネス支援実績を多数持つ当社ですが、それ以外にもポイ活アプリをはじめとした非ゲームアプリの実績も大きく伸ばしているところです。よって今後は、これまでの経験で培った様々な成功ノウハウや知見を基に、ゲームジャンル・非ゲームジャンル双方において支援ができると自負しています。

MZ:数多くのアプリサービスを展開されているLINEから見て、今回のポイントゲーム事業の広告マネタイズが成功した要因はどこにあるとお考えですか。

増田(LINE):広告マネタイズに関する初歩的な知識からAppLovinさんに教えていただけた点が要因だと思います。A/Bテストの設計方法から数値の捉え方などを非常に丁寧に教えていただけたのは大変ありがたかったです。

広告自体を楽しんでもらえる訴求方法を

MZ:今後のポイントゲーム事業のマネタイズに関する展望を教えてください。

増田(LINE):LINEポイント以外の実利報酬も積極的に検討していきたいと考えています。当社ではゲーム以外にも多数の事業を展開しており、ポイント以外にもアプリ利用者様が求める実利報酬がいくつかあると思うので、それらの事業とのコラボも日々模索中です。アプリ利用者様に、よりお得で楽しい体験を提供できるプラットフォームを目指していきます。

布施(LINE):LINE ポイントゲームを回遊してもらえるような仕組みをマーケティング目線で作っていきたいですね。たとえば「プレイアブル広告をクリアしたら、次のタイトルのプレイアブル広告ができるようになる」などのイメージです。アプリタイトルのファンはもちろんのこと「この広告は見ていて楽しいな」と広告自体を楽しんでもらえるような訴求方法を考えていきたいと思います。

MZ:モバイルアプリを提供する企業の担当者に向けてメッセージをお願いします。

高木(AppLovin):当社はマーケット全体における傾向や、国別・アプリ別のユーザー動向を含めて、様々なアプリの集客や広告マネタイズ支援をグローバルで展開しています。アプリ利用者様にとっては「楽しい」「便利」「お得」につながり、アプリデベロッパー様にとってはアプリの成長につながるよう、今後も引き続き支援に力を入れていく所存です。ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

AppLovinソリューションに関するご相談は
jp@applovin.comまでお気軽にお問い合わせください。

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この記事の著者

堤 美佳子(ツツミ ミカコ)

ライター・編集者・記者。1993年愛媛県生まれ。横浜国立大学卒業後、新聞社、出版社を経てフリーランスとして独立。現在はビジネス誌を中心にインタビュー記事などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/12 11:00 https://markezine.jp/article/detail/40789