商品コンセプトは「自由」
──宮田さんのご経歴と現在担当されている業務について教えてください。
2011年に入社後、酒類企画部・デジタルマーケティング部に在籍して、業務店向けのBtoBサービス開発や国内外のECマーケティング手法開発などに長く取り組んできました。2020年からはサントリービールのマーケティング部に異動し「オールフリー」を担当し、2021年には現在の宣伝部に移り「ザ・プレミアム・モルツ」そして今回の「ビアボール」の担当をしています。
──2022年11月に全国発売したビアボールの特徴を教えてください。
ビアボールの商品コンセプトは「自由」です。「多様性が尊重される時代だからこそ、もっと気軽に自分らしく、自由に楽しめるビールを」との発想から本商品は生まれました。そのため、自分好みにカスタマイズできるところが最大の特徴です。
氷を入れたグラスに炭酸水、ビアボールの順で注いで飲むのが基本的な召し上がり方ですが、飲んでみて「少し濃いな」と思ったら、さらに炭酸水を入れて味わいを自由に変えられるのはもちろんのこと、割り材を変えたりカットフルーツを入れたりと、お客様が楽しみたいままにアレンジができます。
未来の酒類市場・飲み人をつくる
──ビアボールの訴求に際しては、メインターゲットをミレニアル・Z世代(以下、MZ世代)に絞られたと伺いました。その理由を教えてください。
実は、企画段階では特にMZ世代にターゲットを絞っていたわけではありません。今回のビアボール誕生をきっかけに、年々縮小傾向にあるビール市場をもう一度再活性化させたいという想いがまずありました。そのためにも「未来の飲み人である若い方にも飲んでいただけるビールを世の中に提案していきたい」それがビアボールの原点です。
未来の酒類市場・飲み人を作るためには、今の時代の消費者インサイトを商品価値に転換しながらマーケティング活動をしていく必要があります。しかし、互いの価値観を認め合う昨今の潮流に反して従来のビールは自由度が低く、ゆっくり楽しめないなどの課題がありました。そこで、自由に自分らしく楽しめるビアボールの発案に至ったわけです。
ビアボールの開発に際してはMZ世代、その中でも特にZ世代の気持ちを知るために、生の声を重視し、学生の方々や社外の新入社員の方々などと向き合いながら商品化を進めたりもしました。
また、MZ世代を狙った背景として「自身で手の加えられる“余白のある”プロダクトを好む」という若年層の消費における価値観とビアボールの提供価値がうまく合致してくれそうだと考えた点も挙げられます。さらに、MZ世代はSNS上で声をあげてくれやすい。その点を踏まえ、他の世代の方々にも口コミを通じて伝播する流れを狙ったのです。これらの理由から、コミュニケーションにおいてはMZ世代に対象を絞って施策を展開しました。