“情報ノイズ”を起こし、拡散の原動力に
──ビアボールは発売前から発売開始までどのように話題化を図っていったのでしょうか。プロモーション施策の全体像について教えてください。
訴求においては「ビールがある体験をシェアして、共感して、共有してもらうこと」を狙っています。メインターゲットであるMZ世代は、メーカーからの一方向の情報発信だけでは情報が届きにくいということが当社の調査からわかっていました。そのため、様々なメディアでざわめきを作り、声の総量を増やすことが彼らの拡散の原動力になると考えたのです。

そこで、まず最初にメディア向けの発表会を2022年6月に実施。同年7月からは、一部業務店様での先行販売や下北ミカン・渋谷b8taのポップアップ店を展開するなど、家庭用発売前に体験接点を作り、体験者の声をSNSなどで自発的に生成させるような施策を開始しました。
その結果「新しい!」「楽しそう!」「美味しい!」といった声が拡がり「ビアボールがこれから流行りそう」といった時流感を醸成できたと実感しています。また、MZ世代が興味を持ちそうな様々なカルチャーに入り込むことにより、トライブ(※)を起点に断続的に情報の“うねり”を作ることで、ビアボールの世界観がターゲットにダイレクトに伝わるよう工夫しました。
※共通の興味・関心やライフスタイルを持った集団のこと
プロモーションの軸にTikTok、その狙いとは
──TikTokを軸にされたとのことですが、なぜでしょうか。
情報ノイズを広げていく上で、カルチャーの発信源になっているデジタルなプラットフォームをハブにすることで、時流感を醸成できると考えたからです。中でも、日常の中で気軽に見られるTikTokは情報を伝えるプラットフォームとして自然にブランド価値を訴求しやすく、その世界に入り込むことで、ビアボールの魅力をMZ世代にダイレクトに伝達できると考えました。
TikTokでは総フォロワー数5,200万人のTikTokクリエイターたちに協力いただき、プロモーションを実施しました。ブランドのコンセプトである「自由な世界観」を映像化していく上でグルメやスポーツ、コメディ、音楽など幅広いジャンルの個性豊かなメンバー6人を起用しました。髪の色や洋服の色、人種を含めて今の時代を生きる人の多様性をビアボールブランドが肯定するといったメッセージも込められています。様々な個性の色を表現しながら「ビアボーラーズ」という言葉でまとめることで、お酒の場の“仲間感”のようなものも同時に伝わればと考えました。

という著名TikTokクリエイターらで構成されるビアボーラーズ