SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

【特集】消費者インサイトから探る「創造・成長のカギ」

Z世代が好む「くすみ系カラー」を因数分解すると?Z世代の“買いたい”気持ちを作るカラーパレットを公開

Z世代が好む「くすみ系カラー」を因数分解すると?

 少し専門的になりますが、色は「彩度」「明度」「色相」の3軸で構成されています。その中で、Z世代らしい特徴が最も出ているのが「彩度」です。彩度は鮮やかさであり、同時に淡さでもあります。海外ではファッションなどでビビッドなカラーが流行ってきていますが、日本のZ世代のメジャーカラーの方向性は、彩度が低い、いわゆる「淡い色」です。彩度を下げると、色としては「色名を特定しにくい」色となり、王道のカラーブランディングとは真逆の色味になります。

 次に特徴があるのが、明るさと暗さにつながる「明度」です。明度も高めが好まれる傾向にありますが、ペール系ほど明るくなく、若干のグレイッシュの混じったペール、というようなバランスです。ちなみに、Y世代やX世代などの上の世代では、明度が低めのグレイッシュな色味も好まれる傾向があります。

 少し補足すると、ペールやグレイッシュという言葉は「トーン」と言われるものの一つです。彩度と明度の掛け合わせで生まれるものがトーンなのですが、たとえば「トーン別色相カラーチャート」と検索すると、色々なトーンが出てきます。左上には淡さが特徴のペール系のトーンがあり、右下にはグレイッシュやダークトーン、右にはビビッド系トーンがあります。Z世代の好みをチャート上で表現すると、ベリーペールとペールの間くらいの彩度、ベリーペールよりも低めの明度からミドルグレイッシュくらいまでの明度あたりと言えると思います(MERYではこれをGen-Z Toneと仮に名付けています【図表2】)。

【図表2】Gen-Z Tone
【図表2】Gen-Z Tone

 最後に「色相」ですが、これは赤・青・緑などのいわゆる「色」を指します。前述のとおり、Z世代は何とも表現しにくい「中間色」を好みますが、中でも「黄色みは好まれない」傾向のようです。「くすんだ黄色」や「黄色みのベージュ」「黄色みのグレー」などは、調査上、好感度の反応が低く出ています。どちらかと言えば「赤み」か「青み」に色ブレさせた色が好まれる傾向が見られました。

 しばしば「くすみ系カラー」という言い方をしますが、これを因数分解すると、彩度を限りなく下げ、明度は基本上げつつも一定の暗さが残る上げ過ぎないバランスにし、色相を赤みか青みにブレさせる、ということになります。つまり、Z世代向けの商品開発やリブランディングを実際に行う際、ベースの色(色相)は、カテゴリー内のブランドの立ち位置として“得する”色選びをしつつ(例:カテゴリー内の競合が近しい色選びに寄っていて、似せたほうが得な場合もありますし、他方ブランドとしてイメージが蓄積した色があればその近くがよいなど)、上記の方向性での調整で、ブランドカラーを規定していくのがよいでしょう。

 調査での反応を踏まえ、以上の考え方をもとに、MERYクリエイティブディレクター佐藤二輝さんとアンズデザインのグラフィックデザイナー中西貴子さんとともに、Gen-Z Color Palette(図表3)」を制作しました。

【図表2】MERY開発「Gen-Z Color Palette」
【図表3】MERY開発「Gen-Z Color Palette」

 Z世代に対する新商品開発やユーザーの若返りを図るリブランディングプロジェクトなども増えてきているかと思います。その際の参考にしていただければ嬉しいですし、ぜひこうした議論や探索をみなさまと一緒に行っていければと思います。また、Z世代男性では? 他の世代では? といった疑問についてもぜひ議論させてください。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
【特集】消費者インサイトから探る「創造・成長のカギ」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

斉田 裕之(サイダ ヒロユキ)

株式会社MERY 執行役員 CBO(チーフブランドオフィサー)/クリエイティブディレクター 斉田裕之

2007年に博報堂入社。2021年4月から現職。MERYの事業イノベーションとリブランディングを行いながら、同時に様々な企業のマーケティング/クリエイティブにも携わっている。新聞広告賞大賞、JAAA広告...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/04/07 14:55 https://markezine.jp/article/detail/41432

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング