【特集】消費者インサイトから探る「創造・成長のカギ」
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コロナ禍の3年でも成長を続けた一休.com
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに自己紹介をお願いします。
花房:宿泊予約やレストラン予約、スパ予約などの事業を展開している一休.comで、私は宿泊事業のマーケティングを担当しています。マーケティング担当の役割は大きく3つで、1つ目はサイトのUX/UIの改善に向けたディレクション、2つ目はメルマガとLINEを筆頭としたCRMコミュニケーション、3つ目は全国旅行支援をはじめとする国や地方自治体から予算をもらって実施する施策の企画・実行です。一休.comに加えて、2019年より弊社で運営を開始したYahoo!トラベルのマーケティングも担当しています。
平澤:私は、2012年に営業職で一休に入社しました。ホテルスパや宿泊事業の営業職を経験した後、一休.comのスパ予約サイトのリニューアル時からスパ事業を統括しています。
MZ:コロナ禍で大きな打撃を受けた旅行市場ですが、一休.comは継続して業績を伸ばしてきたと聞いています。「こころに贅沢させよう。」というコンセプトのもと、ハイクラスなサービスを展開してきた一休.comですが、近年の事業概況をお聞かせいただけますか?
花房:旅行市場全体としては、コロナ禍を振り返ると厳しい時期が続きました。「コロナってなんだ?」「旅行してよい? 外食してよい?」と世の中全体が探り探りの状態だった時は、一休.comでも需要の落ち込みを感じた時期がありました。ですが、家族や親しい間柄での旅行に対する需要が復活するにつれて、サイトの利用はすぐに復活した印象です。一休.comは元々、大人数の旅行よりも親しい間柄でのご利用が多くを占めているので、コロナ禍の状況に上手くマッチしたのかもしれません。さらに、Go To トラベルなど行政発の施策もこの数年は多かったため、既存ユーザーのリピート、新規ユーザーの利用ともに、今まで以上に大きく成長した3年でした。
MZ:旅行業界でコロナ禍でも業績を伸ばした事業主というのは、特異な存在なのではないでしょうか。
花房:そうですよね。一休.comには、“高級”“贅沢消費”に特化しているという特殊な側面があると認識しています。コロナ禍におけるニーズと行政発の施策、そしてサービスの相性がぴったり合ったために、非常に盛り上がった2~3年になりました。
もちろん、感染状況や時期によっては「旅行をしましょう!」と広く伝えるようなプロモーションを行っても良いものか、深く考えたり、控える場面は多々ありました。一方で、コロナ禍においても一休.comから継続してご送客ができたことについては、宿泊事業者様から一定のご評価をいただけたのではないかと思います。弊社の営業からも「ありがとう!」というお宿の方からの声を共有してもらうことが多くありました。