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【特集】消費者インサイトから探る「創造・成長のカギ」

Z世代が好む「くすみ系カラー」を因数分解すると?Z世代の“買いたい”気持ちを作るカラーパレットを公開

 Z世代と近い関係の中で「Z世代ってこうだよね」とひとくくりに捉えず、目の前で見て聴いて、肌感覚で探るというスタンスを大切に活動しているMERYZ世代研究所。同研究所の斉田裕之さんに、Z世代を対象にしたカラーブランディングについて解説いただきます。

※本記事は、2023年2月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)86号に掲載したものです。

Z世代女性をターゲットにしたブランディングでの「色」の重要性

 企業のマーケティング支援やMERY自社でのD2Cブランド開発などに関わる中で、「Z世代はとにかく“色”に対する感度が高く、ブランディングにおいては色を“綿密に計算する”ことが重要だ」という仮説を持つようになりました。そんなとき、生活者起点のマーケティング支援を行っているネオマーケティングの吉原慶さんと共同で「Z世代カラー調査」を、2022年12月に実施することができました。同社とは、これまでにもZ世代男子のメンズコスメ利用の実態を調査するなど、Z世代のインサイトに迫るパートナーとして協働しており、今回Z世代の色感覚に関する探索プロジェクトへとつながった次第です。

 調査では、Z世代/Y世代/X世代の3世代・男女1,200サンプルに対して、270の色を提示し、好きな色や色の購入への関与を聴取しました。本稿では同調査をもとに、特に活用度が高いと思われるZ世代女性の調査結果と、それをもとにしたカラーパレットをご紹介したいと思います。

 最初に、色の購買への影響に関してですが、コスメやヘアケア、家電といったある程度高関与なカテゴリーでは50%程度の人が購入の際に色を意識しており、また手に取るきっかけになると回答しています(図表1)

【図表1】「Z世代カラー調査」からZ世代女性の調査結果を抽出
【図表1】「Z世代カラー調査」からZ世代女性の調査結果を抽出

 菓子・アイス、飲料・アルコール、洗剤・歯磨き粉といった比較的低関与な日用消費財のカテゴリーでも30〜40%の値で出ており、Z世代女性ターゲットのブランド作りにおける「色の重要性」がわかります。

Z世代は、わかりやすく直接的な表現を好まない

 さて、ここから本題に入っていきますが、そもそもカラーブランディングとはブランディングの手法の一つです。伝えたい「ブランドの価値」と「パーソナリティ」を表現するために、色をよりシンプルに規定し、VI(ビジュアル・アイデンティティ)などに落としていく作業のことを言います。たとえば、赤は元気さや明るさ、王道の象徴として。緑は穏やかさや優しさの象徴として。複雑な色味やバイカラーなど複数色を選ぶケースもありますが、基本はビビッドでシンプルなカラーを選択するケースが多く、世の中を見渡してもカテゴリーごとに「赤・青・緑・黒」あたりを取り合っていることが多いと思います(例:コカ・コーラvsペプシ/アドビvsセールスフォース)。あるいは、新しいブランドであれば、革新性や挑戦心の象徴として「ピンク」なんかを選択することもあると思います。

 ところが、Z世代はそうした「ブランドらしいブランド」の表現を忌避する傾向にあります。企業が計算して生み出した効率的なカラーブランディングではなく、何色とも言いにくい、何にもカテゴライズされない、今この瞬間しか出合わないような色に心を動かします。改めて、次ページのカラーパレットをご覧いただければ、こうしたニュアンスが一目瞭然で伝わるかと思います。

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この記事の著者

斉田 裕之(サイダ ヒロユキ)

株式会社MERY 執行役員 CBO(チーフブランドオフィサー)/クリエイティブディレクター 斉田裕之

2007年に博報堂入社。2021年4月から現職。MERYの事業イノベーションとリブランディングを行いながら、同時に様々な企業のマーケティング/クリエイティブにも携わっている。新聞広告賞大賞、JAAA広告...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/07 14:55 https://markezine.jp/article/detail/41432

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