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【特集】消費者インサイトから探る「創造・成長のカギ」

進むデジタル化、リタイアなき社会での生き方…変化に直面するシニアのインサイトを探る

 進むデジタル化や、リタイアのない社会への変化。シニアを取り巻く環境は変化している。彼らのインサイトや行動を知った上で、企業はどのようなコミュニケーションをとり信頼関係を形成するべきか。電通シニアラボ 斉藤徹氏に聞いた。

必ずしも「65歳以上」という定義でシニアを捉えない

──はじめに、簡単に自己紹介と電通シニアラボのご紹介をお願いいたします。

 株式会社電通のソリューションクリエーションセンター 未来インサイト部の斉藤徹と申します。電通は2000年に電通シニアプロジェクトを立ち上げ、シニア領域における知見・データの蓄積と企業支援を行ってきました。2022年にアップデートし、電通シニアラボとして、超高齢社会における社会課題解決をテーマに、様々なインサイト分析やソリューション開発を行っています。私は2007年からプロジェクトに関わり、電通シニアラボの研究主幹を務めています。

株式会社電通 電通シニアラボ 研究主幹 斉藤徹氏
株式会社電通 電通シニアラボ 研究主幹 斉藤徹氏

──一口に「シニア」と言っても、人によって想定する年齢が異なるかと思います。御社ではシニアをどのように定義していますか?

 現在の高齢化率の基準で言えば、65歳が分岐点となっていますが、そもそもこの定義には医学的、生物学的根拠はありません。 今本当に65歳以降が高齢者と言えるかというと、全然そんなことはないと思っています。

 特に、昨今の高齢者は元気になってきました。体力年齢の平均値はずっと伸びています。その中で高齢者という定義を75歳以上にしたほうがいいのではないかといった提言が、日本老年医学会からも出てきています。

 一方で、加齢にともなう身体変化、心理的変化、あるいは定年退職などのライフステージの変化があります。ですから電通シニアラボでは、細かな定義をしているというよりは、人生後半期において様々に変化してくるライフステージや心理変容を焦点にあてた市場を対象にしている形です。

60代~70代前半にとってスマホはデファクト・スタンダード

──現在、マーケティングではオンラインでの施策やコミュニケーションは必須です。シニアはデジタルをどのように活用しているか伺えますか。

 昔から使われるキーワードとして「スマートシニア」があります。実はスマートさを意味する行動も、この20年くらいで変わっています。20年前のデジタル環境を思い浮かべてみてください。2003年にはもうインターネットがありましたし、その頃から一般企業にパソコン1人1台時代が浸透していきました。当時の「スマートシニア」とは、パソコンを使いこなせて、自分でインターネット検索できる人たちのことを指していました。しかし今、パソコンは70代でも使えて当然の時代になっています。インターネット調査でも、70代前半くらいまではある程度サンプル数が揃えられる状況になりました。

 そして現在、60代70代のスマートフォン(以下、スマホ)の利用率も非常に高くなっています。総務省の調査でも60代の約8割がスマホを利用している結果が出ています。シニアにとってもスマホがデファクト・スタンダードになったのです。

電通シニアラボの調査でも、スマホが生活に必要だと思っているシニアが(「絶対に必要だと思う」「必要だと思う」の合計)85.0%にのぼる 出典:「シニアのスマホライフ実態調査」(株式会社電通)
電通シニアラボの調査でも、スマホが生活に必要だと思っているシニアが(「絶対に必要だと思う」「必要だと思う」の合計)85.0%にのぼる 出典:「シニアのスマホライフ実態調査」(株式会社電通)

 日本では早い人で2010年代前半にスマホを持ち始めました。彼らが10年程度使いこなし、そのまま年を取っているという傾向もあります。会社からスマホが支給されたり、仕事上のコミュニケーションツールとして利用する必要があった人も多いでしょう。

 ですが、70代後半や80代になると話が変わります。今の70代前半は団塊世代。彼らが60歳になったのが2007~2010年くらい。企業の中で定年を迎えていく中で、徐々にスマホが普及していったので利用に個人差が出ています。そのため、60代や70代前半の人々はスマホを十分使いこなせる一方で、70代後半や80代の人たちはなかなか難しいという分断傾向があります。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/07 14:56 https://markezine.jp/article/detail/41220

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