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今後は「アシスタントがたくさんいる世界」に デザイナー・富浦さん流、ChatGPTや生成AI活用の心得

実務で使えそうなのは「ダミーテキストや画像の生成」 ただ進化の早さには細心の注意を

――「ChatGPTと会話をしながらワインのECサイトをデザインしてみる」という実験をなさっていましたが、実際に取り組んでみてどのように感じましたか?

その時点での結論で言うと、正直実務で使えるところはないと思いました。ただ、その実験をしてからまだ2週間ほどしか経っていませんが、マイクロソフトが発表したChatGPTと検索エンジンをかけ合わせた「Bing AI」など、その間にAI関連プロダクトが数多く登場しました。2週間前にできなかったことができるようになっていたり、それが完全に正解ではないケースもありますが、より最新の情報を得ることが可能になったことで、精度や質が日々上がっていると感じています。そのため、今改めて同じようにECサイトを制作してみたら、その結果はまったく違うものになると思います。

その前提でお話すると、2週間前の時点で個人的に実務でも使えそうだと感じていたのは、ダミーテキストやダミー画像の生成です。実務でも適当なテキストを入れるより、実際のウェブサイトにあるような画像・テキストを入れたほうがクライアントさんや社内メンバーのイメージも湧きやすいのですが、これらを考えるのには結構時間がかかるんですよね。とくに専門的な領域になれば、パッと思いつくことはできないですし、それらの情報を調べてちょうど良い文章量に調整するなどはとても手間がかかります。ですがChatGPTだと、今回のようなワインの味や香りについて、文字数を制限して書くことができるため、そういった使いかたはとても実用的だと感じました。また今後はChatGPTを開くことなく、Figmaのプラグインから直接使用することも可能になってきているため、デザインのなかでよりシームレスにChatGPTが組み込まれていくのではないでしょうか。

富浦さんが実験で生成した、ワインECサイトにおける商品詳細情報のダミーテキスト(出典:note)
富浦さんが実験で生成した、ワインECサイトにおける商品詳細情報のダミーテキスト(出典:note

一方、ワイヤーや画面遷移も頑張って書いてくれたりするものの、実際のワイヤーとして使えるわけではありません。試したあともいろいろ調べ、「HTMLとCSSで画面遷移をフローチャートっぽく書いて」と指示してコードを書きだしてもらい、それをコードプレビューする、といった実験も行ってみました。ですがよくよく考えたら、絶対に手で書いたほうが早いなと思ったんですよね(笑)。そのためChatGPTに関しては、ワイヤーや画面遷移などの形式にとらわれず、「要素をリストアップして」のようにテキストの出力で価値が最大化するように利用するのが、現状はいちばん適しているのではないかと思いました。

――現時点で、デザイナーがChatGPTを上手く活用するために意識すると良いのではないかと感じるポイントはありますか?

大きく3つあると思います。ひとつめは、大原則にはなりますが「情報を鵜呑みにしない」です。ChatGPTにかぎらずマイクロソフトのBingAIなども、拾ってきた情報がそもそも誤っていることもありますし、すべてが正確な情報ではありません。まずは鵜呑みにしすぎないことが大切だと思います。そのため、真実かどうかはデザイナーが自分の知識で判断できる分野、またはファンタジー小説を書くなど、真実かどうかはどちらでも良い領域で使う以外は、活用する際に気を付けなければなりません。

富浦さんが「おでんのレシピを教えて」と尋ねた際のChatGPTの回答。
富浦さんが「おでんのレシピを教えて」と尋ねた際のChatGPTの回答。

ふたつめは、まずはとりあえず触ってみないとわからないので、「ChatGPTを使ったらもっと早く作れるかもしれない」と感じる小さいタスクから頼んでみて、どのような使いかたができるかを遊びながら実験していくのが良いのではないでしょうか。そのうちに「画面遷移はデザインツールで書いたほうがはやいな」といったことにも気づいていけると思うので、触ってみながら感覚を養っていくことも大切ではないかと思います。

ただ、今は1週間前にできなかったことがすぐにできるようになるなど、アップデートのスピードがあまりにも早すぎるため、今日できなかったことをしばらくはできないかと思ってしまうのはもったいない。日を追うごとに大きく進化していることは、今のAI関連サービスに触れるうえで忘れてはいけないポイントだと感じています。

3点目は、人間側がプロンプト作成スキルを身につけることができれば、効率的にChatGPTを使えるということです。noteのCXOである深津さんがChatGPTに関するイベントの中で「可能性空間の限定」という言葉を使い、いかに質問を限定するかが大切だとおっしゃっていました。「デザインシステムのガイドラインをつくって」ではなく、前提や目的などをなるべく細かく指定したうえで「デザインシステムのガイドラインに必要な要素を洗い出して」と伝えるなど、プロンプトを作成する技術や、欲しいアウトプットを鮮明にイメージする力は人間側のスキル。発信されている方の情報やプロンプトのフォーマットを使いながら、自分なりの工夫をしたり、チューニングをしていくことが大切だと思います。

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2023/02/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41504

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