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第106号(2024年10月号)
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ヒットの裏にマーケあり

選挙戦略家が語る「選挙に勝てる人」から考える、「競争に勝てる企業」とは?

 数々のヒット作の裏側には、どのようなマーケティングが潜んでいるのか――。デジタルマーケティングのコンサルティングでこれまで2,000社を超える企業を支援してきたナイル。その代表で起業家の高橋飛翔が、各界の著名人と対談を行い、ヒットの裏に隠されたマーケティングを深掘りしていく連載企画。ゲストは、通称「勝たせ屋」で知られる政治家のためのブランディング戦略家、InStyle代表取締役の鈴鹿久美子さん。勝たせ屋ならではのクライアントを見極める目と「勝てる人」に育てるブランディング戦略には、ビジネスに応用できるたくさんのヒントが隠れていました。

仕えたボスの敗北で、「勝つ人と負ける人の違い」を考えた

高橋 飛翔(以下、高橋):鈴鹿さんは赤がお好きなんですね。お召し物や持ち物の赤が印象的です。

鈴鹿 久美子(以下、鈴鹿):このボルドーは私自身をブランディングするための色なんです。なぜかと言うと、これは国会の赤じゅうたんの色だからです。選挙に勝ってクライアントを国会に送り出し、赤じゅうたんを踏んでもらうことは、「勝たせ屋」である私の使命。必ず皆さんの足元にこの色を映してみせる、その思いを表現するために使っています。

鈴鹿 久美子(すずか・くみこ)

 政治家のためのブランディング戦略家、InStyle代表取締役。政治家の育成、選挙コンサルティング、国会議員秘書の人材紹介会社を経営。15年で6人の政治家に仕え、勝つためのノウハウをブランディング戦略として体系化。通称「勝たせ屋」として素人から当選へ導いた政治家は60名を超え、勝率は88%を誇る。

高橋:確かに「勝たせ屋」としての鈴鹿さん自身が商品である以上、セルフブランディングは重要ですよね。色一つにもストーリーを持たせる重要性は、企業のブランディングにも同じことが言えます。ナイルは2022年にリブランディングをしたんですが、ロゴやカラーでこれまでとはまったく違ったストーリーを表現したことによって、新たなメッセージを発信することができました。人だけでなく企業にとっても、見せ方はとても重要ですね。

高橋:ちなみに、鈴鹿さんは、なぜブランディング戦略家になられたのでしょう? 元々は、政策秘書だったと伺いました。

鈴鹿:弁護士を目指して三度司法試験に挑むも叶わず、気晴らしになればと思って行った参議院選挙の手伝いがきっかけで議員秘書になりました。それがキャリアの始まりです。知らないことだらけの永田町で必死に働きながら勉強して、政策担当秘書資格試験を取得。そこから15年間で6人の政治家に仕えました。

高橋:6人もですか! 多くの国会議員の政策立案をサポートしてこられたんですね。

鈴鹿:数が多いのがいいわけではないんです。仕えていた政治家が負けると、政策秘書は職を失ってお給料がもらえなくなります。だから、ボスが負けるたびに就職先を探さなければならない。それを繰り返していた結果、6人もの政治家の政策を担当することになりました。次々に負け、新しい勤め先を探す。ボスが負けた悔しさを抱えながら仕事探しに奔走するうちに、勝つ人と負ける人の違いについて考えるようになりました。これが勝たせ屋の原点です。

敗北から学び、勝利の法則を見つけた

高橋:ボスが負けると自分の生活に直結する上に、心情的にかなり悔しい。ビジネスでも共通する部分があります。これだと思って世に出した事業やサービスが、もしも負けたら同じような思いになりますし、そこから敗因を分析して、次に勝つための方法を探します。

鈴鹿:そうですよね。ボスだって完璧ではないし、仕えていれば腹が立つことも多々あるけれど、それでも当選したあの人より良いじゃないか。なのにどうして負けるんだろう、勝つ人には何があるんだろう、と選挙に勝った人だけが残る永田町で突き詰めていきました。すると、だんだん「勝つ人」がわかるようになってきたんです。

 そのうちに、みんなが負けると噂していた候補者を私だけが勝つと予想するようなことが起き始めて、それがあまりに当たるので「鈴鹿ちゃん、霊感があるんだろう」なんて言われました(笑)。そこから、なぜ私は勝つ人がわかるんだろうと分析して、勝ちにつながるルールを見つけ出しました。

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41648

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