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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

D2C企業と探る、BX(ブランド体験)の可能性

「着用感がわかる安心で購買を後押し」ファッションブランド「COHINA」が小柄女性に愛される理由

誠実につながりを持ち続けることで信頼を得る

磯山:顧客との接触回数を増やすことが大事とのことでしたが、コミュニケーションする上で大切にしていることはありますか?

田中:365日、1日も欠かさずお客様とコミュニケーションを取り、つながりを持ち続けることです。ライブ配信や公式SNSアカウントでの発信はもちろん、私個人にDMをいただくこともあるので、少なくとも1日1通は絶対に返しています。また、CSへの問い合わせも毎日全件チェックしています。

磯山:問い合わせへの返答もご自身でなさるんですか?

田中:内容によっては私から返答しています。ライブ配信時にいただくコメントはある程度ポジティブなものが多いのですが、CSへの問い合わせは深刻度合いの高いリアルな不安や悩みが多いんです。そこからインサイトが見えてくることもあるので、CSへの声は全体会議で社内に共有しています。

磯山:コミュニケーションの内容についてはどうですか?

wevnal 代表取締役社長 磯山 博文氏
wevnal 代表取締役社長 磯山 博文氏

田中:当たり前のことですが、商品について嘘をつかないことは大切にしています。たとえば、140cm前半の人だと丈が少し長いかもしれないなら「150cmの人と同じように着られますよ」とは言わず、「このくらいの丈になります」としっかり説明する。その上で「この着用感が気に入っていただけるのならば、こういう組み合わせをすればより魅力的に見えると思います」のように提案します。

磯山:売上のことだけ考えるなら「問題ないですよ」と言ってしまうのは簡単ですよね。包み隠さず伝えるのは、売上以外に大切にするものがあるからでしょうか。

田中:ターゲットの絶対数が少ないブランドだからこそ、1人もがっかりさせたくはないんです。お客様一人ひとりに向き合って信頼を積み重ねていくことを大切にしています。

顧客と共創する製品作りのこだわり

磯山:製品作りでこだわっている点はどんなところですか?

田中:サイズ感は徹底してこだわっています。小柄さんのためにデザインをゼロから設計して、襟ぐりの開きや肩の傾斜、フレアの量など、小柄さんに合わせて調整しています。極端な話をすると、平均身長の人も着られる服にしたほうがブランドのユーザーが増えるよ、という話もありました。

磯山:一般的には「それはそうだ」となりそうですね。

田中:それはあり得ないと思ってますし、とにかく5年間やってもサイズにこだわり続けています。だから、転職してくるデザイナーには最初すごく驚かれます。「見たことない、あり得ない寸法です」と言われることもありますが、「小柄さんの場合はこうなんです」と説明して理解してもらっています。

磯山:これまでの業界的にはあり得ないかもしれないけど、ユーザー視点に立って考えたらそうなるということですよね。

田中:「小柄さんが何を欲しいか」「小柄さんがどう思うか」という視点、同じ立場で考える姿勢はブラさないようにしています。

磯山:連載で話を伺うと、皆さん「ユーザーのために」「顧客ファースト」というのは変わらないんだなと感じます。ユーザーインタビューにも力を入れている。その視点を失ってしまうと、ブランドの方向性がずれてしまうんですね。

田中:私たちは商品企画に関するライブ配信も定期的にやっています。お客様の生活スタイルや欲しい商品をヒアリングして、私たちがコンセプトを形にして、それに対してさらに意見をいただきながら商品を作り上げていく。お客様にもディレクターのようなポジションで商品企画に参加いただいています。

磯山:まさにプロセスエコノミーですね。自分ゴトだからファンになると。

田中:お客様と一緒に作る「共創」の姿勢は大事にしています。先日『148㎝ディレクターと学ぶ 小柄が輝くおしゃれの本』(主婦の友社)という書籍を出版した際も、お客様からいただいた小柄ならではのお悩みやおすすめの着こなしなどのアンケート回答を掲載して、スペシャルサンクスとしてお名前も掲載しました。

 選択式ではなく、自由回答だったので80件くらい集まればいいなと思っていましたが、1,000件くらいの回答が集まったんです。長文でびっしり思いをつづってくださる方が多くて、自分ゴトとして考えてくださっているんだなと感じました。

磯山:思いをぶつけたら受け止めてくれると感じているからこそ、それだけ書いてくれるということですよね。ユーザーとの強固な信頼関係を築けているんだと感じます。

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芯はブラさない、それ以外は柔軟に変えていい

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41828

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