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マーケティングモデルの基本解説

【前編】CEP=カテゴリーエントリーポイントの基本解説~ビジネス成長の源泉を戦略的に導き出す方法~

 ビジネス成長の源泉となる「市場シェアの拡大」と「カテゴリーの成長」。これを戦略的に導き出すには、カテゴリーエントリーポイントが有用です。カテゴリーエントリーポイントとは、ブランド想起に関わる概念で、商品・サービスを思い出すきっかけのことを指しています。具体的に、カテゴリーエントリーポイントをどのように活用できるのか? マクロミルのリサーチプランナーである原拓也氏が前後編にわたって解説します。

CEPが「市場シェアの拡大」と「カテゴリーの成長」の糸口に

 はじめに、カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Point、以下CEP)の重要性を捉えるために、「ビジネス成長を支える2つの源泉」について解説します。

 ビジネス成長、言い換えると、売上成長を左右する大きな変数は「市場シェアの拡大」「カテゴリーの成長」の2つに分けることができます。ご存知の通り、「市場シェアの拡大」は、商品が市場を占める割合の増加=その市場の中での占有率の拡大を指します。他方、「カテゴリー」の成長は、言わば市場そのものの拡大であり、市場の成長の恩恵を受けて自社商品の売上も高まることを指します。

 ある研究では、市場でシェアが大きいブランドほどカテゴリーの成長および衰退が売上に大きな影響を及ぼし、シェアが小さいブランドほどその市場でのシェア拡大が売上に大きな影響を及ぼすことが検証されています。

参照:Tanusondjaja, A., Graham, C., Dunn, S., Nenycz-Thiel, M., & McColl, B. (2021). A rising tide lifts all boats: the role of share and category changes in managing organic sales growth. Journal of Strategic Marketing, 1-18.
参照:Tanusondjaja, A., Graham, C., Dunn, S., Nenycz-Thiel, M., & McColl, B. (2021). A rising tide lifts all boats: the role of share and category changes in managing organic sales growth. Journal of Strategic Marketing, 1-18.

 市場シェア拡大を狙う場合、市場シェアの相対的に小さい企業やブランドが、相対的に大きな企業やブランドに戦いを挑むことになりますから、勝ち目のある戦いに持ち込むためには、シェアが大きなブランドに勝てる筋を見つけなければならないわけです。

 一方で、カテゴリーの成長を狙う時は、多くの場合、別カテゴリーとの競争になります。たとえば、「風邪予防」という観点で、ヨーグルトとマスクが競合することもあるかもしれません。そもそも複数カテゴリーを横断した関係性が消費者の頭の中でどのように構成されているかを把握するところから始める必要があるでしょう。

 ご想像の通り、「市場シェアの拡大」と「カテゴリーの成長」のどちらを狙うにしても、戦略的な方向性を見出すのは、簡単なことではありません。この時、CEPがその切り口を見出す糸口となります。

そもそもCEPとは何か?

 CEPとは、ひとことで言うと、「ある商品を購買または利用する際に、それを検討するきっかけとなる状況」を指す言葉です。たとえば、清涼飲料水なら「朝食時にパンと一緒に」「昼食時におにぎりと一緒に」「仕事のスイッチを入れたい時に」などがCEPとして考えられます。

 なお、重要な前提として、上記で例に挙げた3つのCEPと最も結びつきが強いブランドは、それぞれ異なる可能性があることを押さえておきましょう。

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この記事の著者

原 拓也(ハラ タクヤ)

株式会社マクロミル プロダクト統括本部 リサーチプランナー。2021年、マクロミル入社。クライアントワークに携わる傍ら、「キレイごとをまじめに考え続ける方法を考える」を行動指針に、購買意向や想起率などのマーケティング指標と、自己受容感や人生の意味などのオルタナティブな指標とを融和するためのマーケティングモデルとその...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/22 07:30 https://markezine.jp/article/detail/42077

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