市場でシェア1位を誇る来店型保険代理店「ほけんの窓口」
1995年4月に設立された「ほけんの窓口」は、来店型の保険代理店を運営する企業。2000年に1号店を開店し、現在は52社、303商品を取り扱っている。全国に806店を擁し、従業員数は3,600名に上る(2022年6月時点)。
従来の「一社専属・訪問販売」という販売スタイルとは一線を画し、複数の保険商品を取り扱うのが大きな特長だ。来店者は「ほけんの窓口」スタッフの説明を受けながら、店舗で各種商品を比較検討できる。「来店型の保険代理店」というスタイルは、「ほけんの窓口」が最初に始めたものだ。
中島氏は、「我々はお客様のニーズに合った商品を提案できます。お客様はご自分の都合のよい時間を設定して来店されるので、今までの保険商品選びとは違った体験をご提供できていると自負しています」と語る。現在は複数の企業が同スタイルの店舗を展開しているが、来店型保険代理店市場における「ほけんの窓口」のシェアは1位となっている。
ヒアリングで気づいた「保険は面倒くさい」という顧客の気持ち
堅調にビジネスを成長させてきた「ほけんの窓口」だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で事態は一変した。政府は緊急事態措置として不要不急の外出を控えるよう要請し、街中からは人が消えた。中島氏は、「対面でのサービスを提供している我々にとっては大打撃でした。来店客数は減少し、とりわけ新規のお客様への影響が大きかったです」と当時を振り返る。
こうした事態を打開すべく、最初に実施したのが顧客に対するヒアリングである。「ほけんの窓口」に対する要望だけでなく、「消費者が保険をどのように捉えているか」までを理解するよう努めた。そこでわかったことは、「お客様は保険(加入)を“面倒くさい”と感じていること」だったという。
「(こちらが考えている以上に)お客様は保険の契約手続きなどに煩わしさを感じていらっしゃる。ただし、『(事故や火災などに備えて)入らないといけない』という気持ちでイヤイヤ加入していることがわかりました。そうしたお客様に対して『ほけんの窓口には50種類以上の商品があり、お客様に合った商品を選んで差し上げます』といっても響きません」(鹿毛氏)