「選びに行く所」から「勉強しに行く所」に方向転換
ただでさえ外出を控えているお客様に、店舗に足を運んでもらうためには何をすべきか。鹿毛氏は「お客様との“約束”であるブランディングを変え、店舗の役割を変えました。これまでは『保険商品を選びに行く所』でしたが、今後は『保険を勉強しに行く所』に方向転換したのです」と説明する。
ブランディングの方向転換にあたり、これまでとは異なるプロモーション活動を行った。メディアの露出度が高いタレントのアン ミカ氏を起用し、「保険、勉強しに行こか。」をキャッチフレーズにテレビ広告を展開。店頭にはアン ミカ氏の顔が大きく印刷されたのぼりを、「歩いていれば必ず目に入る」ように立てた。目指すのは買い物ついでにふらりと立ち寄れる店舗作りだ。


3,000名超の社員が一丸に 社長自らが全国行脚
しかし、自社ブランディングを方向転換することに対し、社内では衝撃が走り、心配する声も多かったという。
「『そもそも今までと全然違うことをやってよいのか』といった根本的な議論から、『保険を契約する場所に予約なしで来られても、かえってお客様にご迷惑がかかって現場が混乱するのでは』といった現場目線での懸念の声も上がりました」(中島氏)
こうした社内の懸念を払拭するため、中島氏は全国の店長を説得するために奔走した。大きな支えになってくれたのは、2022年4月に社長に就任した猪俣礼治氏だ。中島氏は当時の様子を以下のように説明する。
「社長はブランディングの方向転換について、『これしかないんだよな』といって腹をくくってくれました。そして社長自らが全国を行脚し、全国店長会議を開いたり、各店舗に訪問したりして店長を説得してくれました」(中島氏)
社長の力を借りながら従業員に対して説いたのは「今回の方向転換は大きなチャレンジであり、(会社のブランドを)変化させる必要がある。ただし、顧客と真摯に向き合う姿勢は変わらない」という姿勢だ。地道な声がけの結果、3,000名超の社員が一丸となって同じ方向を向いて進める雰囲気が醸成されたという。
