藤田社長から突然届いたメッセージ
MarkeZine編集部(以下、MZ):まずはお二人の自己紹介をお願いします。
佐藤:サイバーエージェントでクリエイティブ領域の執行役員を務めています。現在は主にメディア事業を担当しており、関わっているプロジェクトの約8割がABEMAです。クリエイターの採用・育成や、アウトプットのクオリティコントロールに携わっています。
武田:私はサイバーエージェントのプロレス事業会社CyberFightで「プロレスリング・ノア(以下、NOAH)」の代表を務めています。
武田:NOAHは2000年に三沢光晴氏が立ち上げたプロレス団体です。2020年1月にサイバーエージェントグループへ参画し、同年7月にCyberFight系列となりました。
武田:NOAHのファン層は幅広いです。たとえば後楽園ホールなどに来られる方の約半数は女性ですが、東京ドームクラスになると40代・50代の男性が多く、大会によって客層が大きく変わります。
MZ:2022年12月、CyberFightはNOAHのブランドガイドラインおよびタグライン(ブランドの意志を込めた強く短いメッセージ)を策定しました。背景をお話しいただけますか。
佐藤:2021年のある日、サイバーエージェント代表の藤田からいきなりメッセージが届いたのです。「NOAHをグッズが最も売れるプロレス団体にしてほしい」と。「今は想像できないかもしれないが、NOAHにはそのポテンシャルがある」と彼は言っていました。ABEMAで放送しているNOAHの番組クリエイティブをはじめ、NOAHというブランドをヴァリューアップできないかと相談されたわけです。
クリエイティブにはモノの価値を変える力がある
MZ:ブランドの価値向上を目指すにあたって、クリエイティブにフォーカスしたのはなぜですか。
佐藤:サイバーエージェントでは「クリエイティブ=会社の重要な競争力」だと捉えています。また、ブランディングにおいては“希少性”を重視しているため、たとえロゴ一つであっても社員が使用する際は私のチームまで一報が入るようになっているのです。そのくらい会社全体でクリエイティブを大事にしていますし、クリエイティブにはモノの価値を変える力があると考えています。
佐藤:藤田はクリエイティブでプロレスの価値を変えたかったのだと思います。コアな客層が多いプロレスを今の時代らしくメジャー化させるためには、クリエイティブによるブランド価値向上が不可欠であり、ABEMAでNOAHを見ながら「クリエイティブでもう少しジャンプできそうだな」と考えたのではないでしょうか。
私自身、NOAHの選手たちから閉塞的な今の時代を打破し得るパワーを感じたのです。「プロレスがもっと世間に広まってほしい」と強く思いました。