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UA計測終了直前!GA4移行でつまずきやすい三つのポイントを小川卓さんに聞いてみた

 目前に迫るユニバーサルアナリティクス(以下、UA)のデータ計測終了。Google アナリティクス 4(以下、GA4)への移行がまだの企業や、移行したものの使い慣れたUAを利用し続けている担当者もいるのではないでしょうか。本稿ではアクセス解析のスペシャリストである小川卓さんに、GA4移行が意味することと、移行時に気を付けるべきポイントをうかがいました。

GA4移行は「家の建て替え」

──そもそもGoogle アナリティクス(以下、GA)は、なぜUAからGA4へバージョン移行することになったのでしょうか。

 Google アナリティクスは2006年にリリースされたツールです。2006年といえばアプリも動画もない時代。自社でECサイトを構築することも難しく、ネット販売は「Amazon」や「楽天市場」への出店が基本でした。そこから十数年が経ち、Webの世界は大きく進化しました。Googleはバージョンアップを重ねながら進化に対応してきましたが、時代により即したツールを目指してGA4への移行に至ったのではないでしょうか。

HAPPY ANALYTICS 代表取締役社長 小川卓さん
HAPPY ANALYTICS 代表取締役社長 小川卓さん
Webアナリストとしてリクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。Google アナリティクスに関する著作を多数刊行している。

 家の建て替えにたとえるとわかりやすいかもしれません。GAは2006年に建てた家を十数年間に亘って増改築し続けてきたようなものです。「書斎が必要だけど、スペースが足りないから屋根の上に部屋をつくろう」という具合に、工夫しながら機能を拡張させてきました。しかしながら、一度家を取り壊して使い勝手の良い家を新たに建てたほうが早い──つまりデータをわかりやすく活用できるツールを新たにつくるべきだと考えたわけです。

──家の例は非常にわかりやすいです。UAからの変更点の一つに、ユーザーがサイトやアプリで起こしたアクションを全て「イベント」に統一する仕様が挙げられます。これは一体どういうことなのでしょうか。

 GAでは機能の拡張を重ねた結果、データの種類によって計測ルールがバラバラになってしまっていました。「このデータとこのデータは計測ルールが違うから、分析の際に組み合わせにくい」などの不都合を回避するため、どの種類のデータでも同じルールに基づいて計測するようにしたのがGA4のイベント統一です。

 データの取り方を整理した先には、Googleが見据える自動分析の未来があると考えられます。なぜなら、統一されたルールで集めたデータは機械学習の精度を向上させるからです。現行のGA4でも「先月と比べてこの数値が伸びました」「この商品の売上が下がっています」などの簡単な示唆を与えてくれますが、今後はこの自動分析が高度化していくでしょう。「このままでは売上目標を達成できないため、この数値を改善したほうが良いです」という高度な分析が自動で行われる将来もそう遠くないはずです。

──現時点(2023年4月時点)でのGA4への移行状況を教えてください。

 上場企業におけるGAの導入率は約8割と言われています。私の体感ではそのうちの約7割、つまり全上場企業の5割強がGA4への移行を完了している状況です。非上場企業の中にはそもそもGAを導入していないところや、導入したものの放置しているところも多いため、上場企業に比べると移行完了率は下がるのではないでしょうか。

三つのつまずきポイントとは?

──マーケターが独学でGA4をマスターする際に、つまずきやすいポイントはありますか。

 つまずくポイントは大きく三つあります。一つ目が設定の棚卸しです。GAを長い間使い続けている企業では、過去の設定が残ったままになっていることがあります。家の建て替えに際してベランダの要不要を検討するように、GA4への移行を機に「コンバージョン設定していたページが今は存在しない」などの問題点を洗い出し、分析の要件を整理することが重要です。

 二つ目は、レポート画面の操作です。計測ルールの変更にともないレポート画面が変わったのですが、UAの操作に慣れている人ほどGA4の新しいレポート画面を「わかりづらい」と感じてしまいます。ただ、いずれもできることは同じです。操作の方法をなるべく早く覚えましょう。

 三つ目が運用方法の移行です。元々GAを利用していた人は、何かしらの目的を持って運用しています。たとえば前月の数字を社内に報告するレポートの作成や、記事をPV順にまとめたランキングの生成などです。制作会社や広告代理店であれば、クライアント向けのレポートを作るためにGAを利用しているケースもあります。ところがGA4で同じ作業をしようとすると、今まで出していたデータをGA4でどう出すのかがわからず、つまずくパターンが多いのです。

──たとえばどのようなつまずきが想定されますか?

 UAでは50件だったコンバージョンがGA4では40件とカウントされていても、この差が仕様によるものなのか設定ミスによるものなのかがわからないわけです。設定担当者以外にもGA4を操作するメンバーがいる場合は社内での教育が必要ですし、上長にも説明が求められるでしょう。場合によってはKPIの目標値をGA4基準に調整する必要も発生します。これらの確認と調整を経て初めて「GA4に移行できた」と言えるのですが、実はこのプロセスに最も時間がかかるのです。

──なるほど。だからこそ早めの対応が叫ばれていたのですね。

 2023年6月末までにこのプロセスを完了している状態が最も理想的です。たとえば2023年6月にGAで計測したコンバージョンが20件で、同年7月に導入したGA4ではコンバージョンが15件だったとしましょう。マイナス5件の要因が時期にあるのかGA4移行にあるのかを正確に特定することは難しいです。もし前年6月にGA4を導入していれば、条件が揃った状態で同月比較ができます。この理由から2022年6月はGA4の導入率が大きく伸びました。

データ読解力はビジネスパーソンの必須スキル

──お話をうかがっていると、GA4への移行は業務の棚卸しや設定の見直し、属人化の解消などを一気に進められるまたとないチャンスに思えてきました。

 家を建て替える機会は一生のうち何回もありませんよね。そう考えると、GA4への移行はまさに大きなチャンスと言えます。裏を返せば、ここで業務・設定・目標値を整理しておかなければ次の機会はなかなか訪れません。引っ越しの際に前の家の荷物をそのまま持ち込んでも全部は使わないはずです。必要な荷物を見極めて“断捨離”することをおすすめします。

──最後に小川さんから読者に向けてメッセージをお願いします。

 大前提として、データを取得するに越したことはありません。せっかくリソースを割いてサイトを改善するなら、勘や思いつきで進めるよりはデータを見ながら効率良く確実に取り組みたいですよね。データの魅力は、ユーザーの動きが率直に出るところだと私は考えています。興味があればリンクを押し、なければ押さない。わざとデータを壊そうと思って不自然な動きをするユーザーはいませんから、ユーザーヒアリングよりも素直な反応が得られるのです。

 データを正しく見られるようになると、サイト改善の精度は上がります。アクセス解析を専門にする人だけでなく、集客やコンテンツ制作の担当者、エンジニアやデザイナーもGA4に関する知識を持っておくと、ご自身のスキルアップにつながるため、ぜひ講座で詳しい利用方法を覚えていただきたいです。

──素敵なメッセージをありがとうございます!

MarkeZine Academyの「手を動かしながら学ぶGoogleアナリティクス4実践講座」では、小川さんがマーケターに必要な知識を厳選した上で使い方をレクチャー。GA4を触りながら、3時間で基本的な使い方を習得できます。初心者には「基本編」が、実務者には「分析編」がおすすめです。

■開催日時
<基本編>
6月7日(水)13:00~16:00
8月2日(水)13:00~16:00
※講義動画はいずれの開催日も同じ内容となります。質疑応答は開催日により内容が異なります。

<分析編>
6月21日(水)13:00~16:00
8月23日(水)13:00~16:00
※講義動画はいずれの開催日も同じ内容となります。質疑応答は開催日により内容が異なります。

■開催形式
基本編/分析編いずれもオンライン

■参加料
基本編/分析編いずれも59,400円(税込)/回

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/31 07:30 https://markezine.jp/article/detail/42336

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