Amazon Ads4つの特長
Amazon Adsは広告主がブランドを築き上げ、そしてビジネスを成長させていくための、広告主にとっての戦略的パートナーとなることを目指している。
Advertising Week Asia 2023のキーノートセッションでは「お客様起点で設計するAmazon Adsとの広告体験」をテーマに、ブランドが実施するキャンペーンをAmazon Adsがどのようにサポートしていくか、カントリーマネージャーの石井哲氏が「チャネル」「インサイトに基づいたアプローチ」「ストーリーテリング」「効果測定と最適化」の4つの観点から解説した。
オンラインストアだけじゃない、Amazon Adsの多様なチャネル
セッションの冒頭、「皆さんはAmazon Adsと聞いてどのような広告を思い浮かべますか?」と石井氏は尋ねる。
Amazonの広告というと、Amazon内の検索結果や商品ページに表示される「スポンサープロダクト広告」を想像する人が多いかもしれない。しかし、Amazon AdsはAmazonストア内に限らず、幅広い広告チャネルを有している。
たとえば、Prime Videoが提供するスポーツのライブ配信「Prime Video Live Sports」では、インストリーム広告という広告枠を展開している。ライブ配信中の試合の前後やイニング、ラウンドの合間に自然な形で広告を展開するため、オーディエンスの視聴体験を損ねることなく広告体験を提供できる。
ある飲料メーカーでは、2023年3月に開催されたWBCのライブ配信で広告を出稿した結果、インストリーム広告から直接Amazonのオンラインストアへの導線はないにも関わらず、宣伝した商品の「Amazon内の商品ページの閲覧数+25%」「Amazon内の検索数+42%」「Amazonでの実売数+9%」という結果を残している。このことから、Amazon Adsのインストリーム広告は認知獲得のようなアッパーファネルだけでなく、興味関心から購入検討もしくは購買といったミドルファネルからローワーファネルにまで影響を及ぼすことがわかる。
ブランドキャンペーンがAmazonでの売り上げに寄与しているか、つまり認知目的の広告が興味喚起から購入意向、さらに実際の購入にまでどのような効果があったのかを計測する仕組みを実現した事例である。
また、Amazonが提供するライブストリーミングサービス「Twitch」を活用した事例も紹介する。Twitchは、世界で毎日3,100万人以上が視聴し、視聴者の約70%が18~34歳の若年層という特性を持つ(参照元:Twitch内部データ、2022年)。マリオットインターナショナルが手がける、次世代のライフスタイルホテルを掲げるモクシー・ホテルは、Z世代やミレニアル世代とのコミュニケーションを深めたいという目的から、日本で盛り上がりを見せるTwitchと、その若年層との親和性に着目した。
若年層との間で共感を生むために、Twitchの人気ストリーマーとコラボレーションして、ホテル施設やサービス内容を紹介するライブ配信と、動画広告などを組み合わせたキャンペーンを実施したところ、「ブランド認知度+10%」「ブランド好感度+21%」を実現した。
「このように、Amazon Adsは、生活者の日常に溶け込んだタッチポイントによる価値の高いリーチを実現、エンゲージメントを高めていくことができます」(石井氏)
広告に高い関連性をもたらすファーストパーティインサイト活用
サードパーティクッキーの利用が制限される昨今、いかにオーディエンスのインサイトを理解するかは広告主にとって大きな課題だ。Amazon Adsでは、広告主が持つファーストパーティのインサイトと、Amazon Adsの購買やストリーミングに関わるインサイトを掛け合わせたアプローチを可能にする方法がある。これらのインサイトを組み合わせてアプローチすることが、最終的に、オーディエンスが関連性の高い広告に出会うための鍵となるのだ。
キーノートでは、化粧品コミュニティサイト「@cosme」を運営するアイスタイルとの取り組みが紹介された。@cosmeのサイト閲覧などのファーストパーティのインサイトと、Amazonの購買にかかわるインサイトを組み合わせて、美容やビューティー分野を筆頭に、様々な業種で親和性が高いオーディエンスにリーチするという活用ができるのだという。
たとえば、Amazonで化粧品を購入した人の中には購入前に@cosmeで商品について調べたり、購入後に口コミを投稿したりしている人もいるだろう。もしくはAmazonで情報をチェックしてから、@cosmeの実店舗で購入している人もいるかもしれない。Amazonとアイスタイルそれぞれのインサイトを掛け合わせることで、オンライン・オフラインにかかわらず、潜在的な生活者に広告、アプローチが実現する。このようなオーディエンスに有意義で最適な広告を配信することで、広告パフォーマンスだけでなく、カスタマーエクスペリエンスの向上、そして、その先の売上への貢献を期待できる。
「Amazon Adsはプロモーションも買い物体験も、オンライン・オフラインの垣根なく、より豊かなものにしていきたいと考えます」(石井氏)
価値観を共有するストーリーテリング
「チャネル」のパートで、消費者の生活に根差した、ユニークで多様なAmazonのタッチポイントでオーディエンスとつながることができる話をしたが、ブランドは、認知を獲得したその先で、ブランドの理解度をさらに高めたり、興味をもったオーディエンスが知りたい情報をしっかり伝えたりすることが求められる。
Amazonが重要視する「ストーリーテリング」とは、適切な場所やタイミングで関連性の高い情報を届けて、オーディエンスとの間で信頼関係を築くことを意図している。
Amazon Adsの独自調査では「自分の価値観と一致するブランドから商品やサービスを購入する」人が世界で79%、日本で81%という結果が出ている(参照元:Amazon AdsとEnvironics Research「2022 Higher Impact」調査、カナダ、ドイツ、日本、英国、米国)。選ばれるためには、ブランドが生活者の目線にいかに合わせられるかが鍵になる。
Amazon Adsは、ブランドがオーディエンスとつながり、ストーリーテリングのあるキャンペーンから購入へつなげる、「カスタム広告ソリューション」というサービスを提供する。Amazon AdsのクリエイティブチームであるBrand Innovation Lab(ブランドイノベーションラボ)と、営業やプランニングのチームがクリエイティブソリューションを広告主に提案、実装するものだ。Brand Innovation Labは、広告ソリューションとAmazon.co.jp内のランディングページ、Fire TV、ライブストリーミングサービス「Twitch」などのサービスを活用した、立体的なキャンペーンを提案している。
たとえば、アイリスプラザは、パックご飯を日常的に食べる新しい食習慣を創ることを目指し、このカスタム広告ソリューションを活用して「1分飯キャンペーン」を展開した。
「パックご飯」と聞くと非常食や保存食のイメージを持つ生活者に向け、新しい食習慣を創出し、それを広めていくために、手軽さや時短といった商品のメリットと美味しさを訴求するキャンペーンとしてカスタム広告ソリューションのうち、「カスタムランディングページ」を活用したものだ。
料理レシピサービスのクックパッドともコラボして開発したパックご飯のレシピや、調理に使える同社ブランドの家電を紹介するほか、Alexaを使ってレシピを教えてくれるコンテンツなども展開した。
単純なバナー広告のような点でのタッチポイントとしてだけではなく、バナーからさらにその先にあるブランドストーリーを通してオーディエンスに接触することで、オーディエンスにブランドのことをよく理解してもらうことができるだろう。
さらに、特徴的な事例が、韓国の自動車メーカー・ヒョンデだ。同社は2022年5月、10年ぶりにヒョンデブランドとして日本で展開を開始。
「Amazonでは自動車を売っていないのに、なぜAmazon Adsで広告を?」と思う人もいるだろう。Amazon Adsは、Amazonで販売している・いないにかかわらずブランドと生活者が接点を持つ機会を提供する。
ヒョンデは、日本の生活者と接点を持ち、その接点を通じてよりブランドへの興味関心を高め、さらにブランドストーリーと商品を知ってもらう。それを実現するためのパートナーとしてAmazon Adsを使ってキャンペーンを実施した。
Amazon内にヒョンデの世界観・魅力がしっかり伝わるカスタムランディングページを作成。ページ内ではブランドの考えや、商品ラインアップ等が紹介され、車体の360°閲覧や、カラーシミュレーションも用意されている。きちんとヒョンデを知った上で、自社サイトに移動する設計にした。さらに、Amazon DSPを利用して広告配信を組み合わせたキャンペーンを実施した結果、「カスタムランディングページの閲覧数は想定値の約6倍」「ヒョンデ自社サイトへの誘導は想定値の約3倍」を記録している。
「ブランドが抱えている課題を解決するため、Amazonのオンラインストア内外問わず、クリエイティブソリューションを提案、実装していきます」と石井氏は力強く語る。
AMCを活用した分析と最適化
マーケティングキャンペーンの効果検証においても、Amazon Adsは独自のソリューションを提供している。
クリーンルームソリューションのAmazon Marketing Cloud(AMC)では、プライバシーが守られた安全な環境の中で、Amazon Adsの広告シグナルやオーディエンス情報と、広告主が持つ匿名化された自社の会員情報や、ECサイトの販売情報等のファーストパーティシグナルとをアップロードし、そこからキャンペーンのオーディエンスを分析することができる。
またAMCは、トレジャーデータのようなカスタマーデータプラットフォーム(CDP)とも連携しているため、スムーズに簡単にアップロード・活用することが可能だ。
さらにAMCでは2つの新機能によって、AMCを使ったキャンペーンがより最適化されるようになる。それがAmazonショッピングインサイトとAMCオーディエンスである。通常、AMCで分析をする際、これまではAmazonの広告に接触したオーディエンスの分析のみに対応していたが、今後はAmazonで実施した広告に接触していなくても、Amazonの商品詳細ページの閲覧状況や商品購入の指標を分析できるようになる「Amazonショッピングインサイト」、そしてオーディエンスインサイトを導き出すだけでなく、Amazon DSPキャンペーンで使用するカスタムオーディエンスを作成し、スムーズに次のキャンペーンで活かすことができる「AMCオーディエンス」が加わる。
キーノートでは、日本に先行してこの機能を活用した米国の事例が紹介された。セキュリティ系の機材を販売するSimpliSafe(シンプリーセーフ)と、その代理店であるBuyBoxExpertsには、ホームセキュリティ機器を初めて検討・購入する生活者に対して、シンプリーセーフブランドの検討・購入をさらに促進したいというニーズがあったという。
彼らのサイトを訪れ、検索したり、カートに商品を入れたりしていても、まだ購入に至っていない人を対象にアプローチできるカスタムセグメントを作成、Amazon DSPで広告配信してキャンペーンを展開したところ、「広告費用対効果は+109%」「購入された商品の購入単価は-65%」「ブランド新規顧客による購入割合は+29%」という結果になった。
「広告主がリーチしたいオーディエンスの属性、解決したいビジネスの課題、オーディエンスのインサイトの深掘りをし、しっかりとそれをアプローチしたいオーディエンスセグメントに仕立て上げて配信まで持っていく。皆さんと一緒にAMCを使った分析やソリューション提案をしていきたいと思っています」(石井氏)
本セッションを通して語られたAmazon Adsならではの魅力をまとめると、1.Amazonの幅広いチャネルで広告を展開し、生活者にリーチできるということ、2. オーディエンスとの間で信頼を築くには、インサイトに基づいた関連性の高い広告アプローチが大切だということ、3.ブランドのストーリーテリングをサポートするということ、そして4.キャンペーンの効果測定と最適化にまとめられる。
最後に石井氏は「これからもAmazonは、技術革新やソリューション、プロダクト、チャネルの進化を進めていきます。再びここに立つときは、また新たな事例を通して皆さんに新たな機能やソリューションをお伝えできると思いますので、ぜひご期待ください」とセッションをまとめた。
Amazon Ads活用を加速させるパートナーネットワーク
Amazon Adsを活用し、さらにビジネスを拡大するためのヒントも併せてご紹介したい。
ブランドがパートナーを得る方法
Amazon Adsの知識・経験が豊富なパートナー(エージェンシーやツールプロバイダー)の存在は成果を出すために重要だ。広告主であるブランドは「パートナー検索ディレクトリ」を活用すると、商品や業種、予算と価格設定モデル、認定資格などのカテゴリーから自社に最適なパートナーを見つけることができる。
より多くのブランドを支援する方法
Amazon Adsを通して、多くのブランドを支援したいエージェンシーやプロバイダーも多いだろう。セルフセールスハブである「Amazon Adsパートナーネットワーク」に登録することで、学習リソースの利用や、認定・ステータスが取得できる。また、「パートナー検索ディレクトリ」に登録することで広告主へのアピールが可能だ。ぜひ、パートナーネットワークを活用し、Amazon Adsによるビジネスの拡大を実現していただきたい。
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事例一覧
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