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時代や流行に左右されない!マーケティングの大原則を知れる1冊【お薦めの書籍】

 マーケティングトレンドは日々刻々と変化するため、今日のベストプラクティスが明日も通用するとは限りません。しかし、変わらない基本原理も存在します。そこで今回は、流行に左右されないマーケティングの本質を追求した1冊を紹介します。

施策失敗の原因はマーケティングへの理解不足

 今回紹介する書籍は『新マーケティング原論──「売れる戦略」のシンプルな本質』。著者は企業のコンサルティングを行っているAugust-a代表の津田久資氏です。

『新マーケティング原論──「売れる戦略」のシンプルな本質』 津田久資(著) ダイヤモンド社 1,980円(税込)

 津田氏は東京大学法学部を卒業後、カリフォルニア大学バークレー校で経営大学院を修了。その後、博報堂やボストンコンサルティンググループなどで新商品の開発やマーケティング業務に携わりました。

 本書の第1章では「なぜマーケティングの基本原理を理解すべきなのか」を詳しく説明しています。その内容を踏まえて、第2章ではマーケティングの定義と目指すべき目標を明確にし、第3章以降ではマーケティング戦略の策定時や施策の決定時に留意すべき要点を述べています。

 本書の冒頭において、津田氏は現代のマーケターたちが深い理解なしに4Pや3Cなどのフレームワークに依存し、その結果失敗に終わるケースが多いと指摘します。

やるべきことが明確になっていないマーケターは、いつのまにか思い込みにとらわれたり、その場の思いつきで選んだ行動に手を出してしまったりします。世のマーケティングの失敗要因は、ほぼこれだと言っていいでしょう。(p.42)

 なぜ思い込みや思いつきで打ち手を選んでしまうのでしょうか。津田氏は「マーケティングの定義が曖昧だからだ」と指摘。そこで、マーケティングを次のように定義します。

マーケティングとは「一定費用の下で、適切な買い手群にとってよりコストパフォーマンスの高い商品を生み出し、その存在を認知させ、その内容を理解させ、これを送り届けることによって、粗利を最大化する総合活動」である。

 本書では、この定義を「コストパフォーマンス」や「粗利」など、キーワードごとに分解し、各キーワードの意味を丁寧に解説しています。

コストパフォーマンスを“因数分解”する

 先の定義に基づくと、マーケティングでは「粗利の最大化」が目標です。そして、粗利の源泉は「商品の販売数量」にあり、販売数量を増やすためには買い手を増やす必要があります。

 では、買い手にとっての商品購入の決め手は何でしょうか。その答えは「コストパフォーマンス」です。コストパフォーマンスは「パフォーマンス÷コスト」で表すことができます。

 コストは、その多くが「代金」です。一方のパフォーマンスを、津田氏は次の三つに分類しています。

1.機能性パフォーマンス

2.情緒性パフォーマンス

3.効能を享受するまでにかかる時間の短さ

 津田氏は、1の機能性パフォーマンスと2の情緒性パフォーマンスに加えて「3.手に入れるまでの時間の短さ」も買い手を増やす上で重要だと指摘します。たとえば、機能・情緒・コストが同一の二つの商品AとBがあったとき、入手までの時間が早いAのほうが間違いなく選ばれるというのです。

買い手が商品購入に至るまでの三つのライン

 また津田氏は、買い手にコストパフォーマンスを考慮して「買う価値がある」と判断してもらうための三つのラインを示します。

1.「手に入れても良い」のライン

2.「買える」のライン

3.「買っても良い」のライン

 このうち3を、津田氏は「CP(コストパフォーマンス)ライン」と呼びます。このラインをクリアした買い手は「商品を購入できるだけの予算があり」かつ「代金を支払ってでも手に入れたいと思っている」状態です。

 商品のコストパフォーマンスを高め、極力多くの人に「買っても良いライン」をクリアしてもらう──これがマーケターの至上命題です。

 本書ではほかにも「なぜ3Pは“3”でなくてはならないのか」など、これまで不問とされてきたテーマを著者独自の視点から解明。これまでマーケティングの仕組みについてじっくりと考察する機会がなかったという人は、ぜひ手に取って読んでみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

宮田 浩平(編集部)(ミヤタ コウヘイ)

MarkeZine編集部。香川県出身。2016年に時事通信社入社、広島支社、岐阜支局で勤務。2019年から広告・マーケティングの専門メディアで編集者。主にPR・ブランディングやプロモーション領域の取材を担当。2022年5月から現職。企業のサステナブルやDE&Iを軸にした取り組みに興味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/25 08:30 https://markezine.jp/article/detail/42810

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