投資回数を重ねるごとにひらけていった可能性
――番組の内容はどのようにして考えられているのでしょうか?
まずは、動画を配信する時期に訴求したい金融商品やサービスなど、企業として発信したい要素をピックアップします。そこに付随して、お客様にお伝えしたい金融に関する知識を組み合わせ、ストーリーを作り上げます。セミナーの構成を考えていたときのノウハウを、動画でも活用しているんです。
もちろん、動画ならではの編集や企画が必要になるので、直接ディレクターさんや作家さんにそのストーリーを共有して番組の内容について議論します。描いたストーリーが脚本となっていく過程で「この話題であれば投資家の目線が欲しい」「この話が出るならアナリストに出てもらわないと」という話し合いが行われ、キャスティングが決定していくんです。
基本的には私とマヂカルラブリーの野田クリスタルさんと村上さん、フリーアナウンサーの佐田志歩さん、シーズン2からレギュラーとなった個人投資家のテスタさんが出演しています。そして話題に応じて金融関連のアナリストや専門家の方に出演依頼を行っています。

――シーズンを重ねて企画・制作を繰り返す中で、どのように内容を改善していったのでしょうか。
「資産運用!学べるラブリー」のシーズン1を始めた当初は、金融機関が芸人を起用してYouTube動画を配信することが未知の領域で、企画としてヒットするかどうか、まったく読めませんでした。
番組の構成も現在とは異なり、前半にマヂカルラブリーによるコント、後半に座学パートと前後半で異なる内容の構成にしていました。しかし、掛け合い次第ではコントを入れずとも、座学パートだけでもおもしろくできることがわかってきたので、今のような形式に落ち着きました。
動画に必要なのは、おもしろさと有用性のバランス
――企業として発信したいことと金融商品に関する課題を組み合わせてストーリーを作っているとのことでしたが、その際に気を付けていることはありますか。
動画のテーマを決める際は、会社の各部署が持つ悩みを解決するように心掛けています。私はこれまで、VOC(顧客の声)を分析する部署と商品開発の部署、そしてマーケティングの部署と3つの部署に在籍してきました。そして、各部署によって悩んでいる点が異なることがわかっていました。
「お客様はここがわからないと言っている」「こんなに良い商品がなぜ伝わらないのか」など、これまでの経験から見えた悩みが番組作りのアイデアの源泉となっています。
たとえば、株主優待に便利な優待クロス取引という取引方法に関して紹介した動画は、各部署の悩みをうまく解決する動画にできたと思います。「信用取引は過度に恐れなくて良い」というメッセージを伝えられ、マヂカルラブリーのお2人も「そんなことして良いんですか?」という、素のリアクションをしてくださいました。金融知識としても、お笑いとしても良いコンテンツになったと思っています。
――その他に番組作りや企画で重視していたことはありますか。

企画を進めていく中で、野田さんとテスタさんの良さをうまく活かしていくことが重要だと思うようになりました。「資産運用!学べるラブリー」の良さは、お笑いのおもしろさと投資の有用性のバランスが取れている点だと感じているので、おもしろさの軸となる野田さんと、投資の有用性を支えるテスタさん、この2人の良さが引き立つ構成にすることが大切だと思っています。
そして、2人のおもしろさや知識を引き出す役割を担っているのが、佐田さんや村上さん、私などの他の出演者です。打ち合わせなどを重ね、2人の良さを引き出す掛け合いを行っています。
――公開した動画は、どのようにして視聴者にリーチしているのでしょうか。
YouTubeでの自然流入はもちろん、お客様向けのメール配信や公式Twitter、Webサイトなどで告知を行っています。