コミュニケーション機能の強化とパーソナライズ化
ここまで紹介してきた以外にも、写真からメッセージ用のステッカーを作成したり、Facetimeの不在時に簡単なビデオやメッセージを残せる機能、セキュリティに関するものなど多数の機能がありますが、今回はiOS 17の新機能のなかから、「電話する」「メッセージを送る」などコミュニケーションに関連する機能をピックアップしました。
裏側の技術は別として、今回のアップデートでは革新的なテクノロジーやサービスの追加という印象ではありません。ただ、電話本来の機能であるコミュニケーション面で、個性を発揮しやすくなりさらにパーソナル化が進むことで、より愛着がわいたり、デバイスやユーザーとの関係性を深めることにつながっていくのではないでしょうか。
AndroidもiOSもパーソナル化が加速している
現在、Android OSでも採用されていているMaterial Designは、ユーザーのパーソナライズに寄り添ったデザインとなっています。アイコンカラーの変更や、壁紙から判別し、それが適切に行われるよう自動的にカラーを選択したり最適化してくれる「Material You(マテリアルユー)」 などがその例と言えるでしょう。
スマホなどプロダクトやOSの進化、AI技術の進歩によって、私たちの生活の利便性が急速に向上しています。便利な機能が快適さにつながり、利便性の高まりがユーザー体験の向上につながるのは理解に難くないことだと思いますし、日々の生活でスマートフォンから得られる体験は、不可欠なものになっています。
そんななか「iOS」や「Material You」のようなデザインシステムでもパーソナル化が進んでおり、「AI」は私たちを適切にサポートしてくれます。あらゆる状況や場所でもユーザーに寄り添ったUIUXが提供されているのです。
よりパーソナルで直感的になる
パーソナル化は人とデバイスとの関係をより深く結びつけることで個人の感情を呼び起こし、「愛着」や「自己表現」へと昇華していきます。AirDropの新機能ひとつをとっても、直感的で操作できたり、連絡先ポスターで自己表現ができたりする点に、より深い愛着を感じることができるでしょう。スマートフォンは、さらにパーソナライズされた愛着のあるUXプラットフォームとなり、ユーザー自身に寄り添っていく、いや、私たち自身に近づいていくのではないでしょうか。
今は「chatGPT」や「Bard」など高性能なAI・機械学習によって“限界”と思われていた壁は打ち壊され、新しく、かつ優れたユーザー体験が実現しつつあります。利便性が急速に高まるなか、より個人に寄り添っていること、そして直感的であることの重要性が増していくと考えています。
そのなかでデザイナーは、テクノロジーやニーズをより深く洞察しつつも、それ以外の方向性を探ってみる視点も大切になると感じています。なぜなら、人はとても複雑で多面的な生き物で、さまざまな要素を持ち合わせていますし、デザイナーは「人」のためにサービスやプロダクトを作っているからです。同時に自然が豊かな場所に出かけたり、新しい文化や人に触れるなど、「人」や「体験」にフォーカスすることも重要ではないでしょうか。
この記事がUIUXデザインを考えるひとつのヒントとなれば幸いです。それではまた次回の記事でお会いしましょう。
以上、新谷でした。ありがとうございました!