持ち物が予算決定の基準に 消耗品も資産と認識
では、Z世代は自身が保有しているもののうち、どういったジャンルのものを資産とみなしているのだろうか。
多い順に見ていくと、1位が金融商品、2位がゴールド・宝石、3位が不動産となっており、他の世代と比較しても大差のない結果となった。
しかし、他の世代と比較した時にZ世代が資産とみなしている傾向が高いものに着目したところ、1位が暗号資産、2位がアクセサリー、3位が靴・スニーカーという結果になった。

この結果をふまえて、これまでアパレル商品などの資産として認識されにくい消耗品がZ世代にとっては完全に資産の一部として認識されていることがわかる。
こういった考え方の変化は、Z世代の「予算」への考え方にも変化をおよぼしていると山本氏は語る。
「従来多くの人は、予算は持っているお金の量を基準にして決めることがほとんどでした。しかし、Z世代にとっては、お金に加えて“持ち物”も資産の一部として予算決定の基準に含まれています。フレキシブルに自身の資産を認識することで買い物の選択肢を広げ、アパレルや推し活グッズを買って楽しむ。こういう新しい購買行動が見えてきました」(山本氏)
メルカリの利用実態から見る 取引カテゴリーの変化
次にメルカリの執行役員でCXO Marketplaceを務める前川美穂氏が登壇し、2023年でサービスを開始してから10年を迎えるメルカリの「利用実態と今後の取り組みについて」について語った。
直近の10年間で「メルカリ」は、累計出品数は30億品超、月間利用者数は2,200万人を超えたという。また、10年前と比較して消費者によるフリマアプリの利用シーンにも大きな変化が見られると前川氏は語る。
「10年前はアプリ上での取引全体のうち、約半数が洋服などのアパレル商品でした。しかし、最近では推し活のようなエンタメホビーカテゴリーでの取引量が増加しています。加えて、ブランドの傾向を見ても、10年前は高価なハイブランドが取引量の上位に並んでいました。しかし、最近ではお手頃な価格帯のカジュアルブランドに置き換わっています。これらは「メルカリ」を使って簡単に不要品を売るという消費行動が、商品カテゴリーやブランドでも多様化しており、日常の様々なシーンで利用されている結果だと考えています」(前川氏)
日常利用が広がり、カテゴリーやブランドが多様化
また、先述のZ世代の約6割がリセールバリューを考慮して購買行動を行うという調査結果がメルカリで出品、購入の両方を体験したことがあるZ世代ユーザーの利用データからも見られたと前川氏は述べた。
「メルカリ」利用者は、不要品の出品により1ヵ月で平均約2万6,000円の売上を出しており、「メルカリ」での購入は月間平均で約1万5,000円となった。
売上金のほうが購入金額を上回っており、家にある不要品を出品することで得た売上金を利用し、「メルカリ」で欲しいものを購入するという行動が読み取れる。
