Z世代の約6割が購入時にリセールバリューを意識
まず、慶應義塾大学商学部で教授を務め、消費者間相互作用の研究に従事する山本晶氏が登壇。今回の調査はZ世代(18~24歳)、ミレニアル世代(28~43歳)のほか、バブル世代(54~58歳)を定義し、これら三つの世代間にあるフリマアプリ利用方法の違いを明らかにするために行ったと説明。その上でまず、山本氏は各世代のフリマアプリの利用経験から説明を行った。
その結果、全体では56.6%が利用経験ありと回答。特にZ世代は、64.1%が利用経験ありと最も高い結果となった。
さらにフリマアプリの利用者を対象に、新品の商品を購入時に売却時の金額(リセールバリュー)を意識するか調査を行ったところ、全体でも半数以上だったが、Z世代が約60%と最も多い結果になった。
この結果をふまえて山本氏は、「Z世代の多くの人は新品購入時に売ることを前提にしており、いくらで売れるかまで考えながら購買行動を行っている」と述べた。
加えて、出品で利用した人に対して理由を聞いたところ、「使わなくなったので、欲しいと思う人に使ってもらいたい」という自分の余剰資源を誰かに役立てたいという意見が全体では多かったと山本氏は説明した。
一方、世代別では、傾向が異なると山本氏は指摘。Z世代では、「売ったお金で欲しいものを買うため」という理由を1番に挙げている人が他の世代に比べて多いという。
持ち物を売ることを想定して、売る前に欲しいものを買うZ世代
次に山本氏は、世代別に見た所有意識や消費行動の違いについての説明を行った。
各年代と比較すると、Z世代の約2人に1人は自分が保有・利用しているものを「手軽に売れて現金化しやすいもの」と回答。その数は、バブル世代の約2.8倍にもなる。
この現象について、山本氏は次のように説明した。
「この結果は、Z世代がそもそも現金化しやすいものを所有しているという特性と、売るという行為が選択肢としてあるかどうかという消費者サイドとしてのリテラシーの特性、両方が関係していると思っています。Z世代には売るという選択肢があり、それが日常になっているということから、自分たちの所有物は手軽に現金化がしやすいと認識していることがわかります」(山本氏)
さらに、予算への考え方でもZ世代ならではの特徴が見られた。
今回の調査によると、Z世代にはまだ商品を売っていないにも関わらず、持ち物を売れば買えると想定して、売る前に欲しいものを買うといった行動があったという。このような行動は全世代で見ると約26%であるのに対して、Z世代は約43%の人が該当すると回答していることがわかった。
さらに、年代によって購入する商品のジャンルも大きく異なると山本氏は指摘。
バブル世代では、日用品や家電が他の世代よりも多く購入される傾向で、ミレニアル世代では書籍の割合が他の世代と比較して高いことがわかる。
Z世代に着目すると、大きく違いが出ているのは推し活関連グッズで、他の世代と比較して際立って高いことが見てとれる。