実りある「共創型研修」を生み出す四つのステップ
これまでは、共創型研修にするための三つのポイントを説明しました。
デジマ人材を育成する上で必要なのは、自ら考え行動する人材です。マネージャー視点と現場社員の両方のマインドセットが整った「共創型」の育成をすることが鍵になります。

ここからは、実際に主旨ズレ研修を防いで、「共創型で意味のある研修」を組み立てていくための具体的な四つのステップをご紹介します。
ステップ1.マネージャー側がメンバーの課題とあってほしい姿を言語化する
マネージャーとメンバーの間には、「あるべき人物像」のギャップがあります。まず、マネージャーは自分の部下にどうあってほしいかを言語化して規定する必要があります。

ステップ2.研修を受ける側のニーズも把握する
次に、メンバーに対して、アンケートやディスカッションを通じて「自分たちがどうなりたいか」を考えてもらい、解決すべき課題やあるべき人物像を考えてもらいます。
ステップ3.1と2を融合させてあるべき人物像を規定する
これまでの過程でマネージャーとメンバーから挙がってきた人物像をすり合わせ、「あるべき人物像」を設定します。この段階ではオフラインでMTGを設定し、マネージャーとメンバーで一緒に作り上げるというプロセスを大切にしましょう。これにより、両者にとっても自分たちの意見を基にすり合わせた人物像を作り上げることができます。
ステップ4.あるべき人物像から逆算して研修を設計する

目標となる人物像が決まれば、あとは逆算してあるべき人物像になるためのシナリオを作成します。それに沿って、研修を設計していきましょう。
売上前年比120%に貢献した共創型研修に見る「丁寧な目線合わせ」の方法
最後に、共創型研修の成功事例を紹介します。とある総合デジタルファームのマネージャーは来期の売上拡大に向けて、自身のチームを従来のプル型営業からプッシュ型営業に変革する必要があると考えていました。そこで、「目指すべき営業像」を設定し、理想と現在のチームメンバーとのスキルの差分を可視化。必要なスキルをインストールできる研修を設計していきました。
研修を考える上で、チームの中で既にプッシュ型営業を行っているメンバーをモデルケースにしました。この人物とディスカッションを重ね、共通認識の理想の営業像を言語化することで、必要な研修を明確化しました。
次に、メンバーにアンケートを行い、「あるべき営業像の明確化」「現在の自分たちとのギャップの可視化」「新たな提供価値とコンセプトの設定」により、自身に足りないスキルを各々に考えさせたのです。
これにより、「デジタルテクノロジーのトレンドや最新のツールに関する知識」と「データ分析と洞察力」が足りないことがわかり、これらのスキル習得に向けて人材育成プログラムを策定していくことになりました。
特に、「データ分析と洞察力」は、「社内のデータアナリティクス専門部署と連携し、ベストプラクティス共有会」を定期的に実施。さらに、外部研修で「データの統合とダッシュボードを活用した分析ワークショップ」に参加しました。その後、ダッシュボード活用をセールスフックとすることで売上前年比120%の結果につながりました。
このチームの成功要因は二つあります。一つは、「理想の人物像を明確に定めた」こと。二つ目はそのうえで、「マネージャーがメンバーと目線合わせをした」ことです。メンバー全員が学ぶ目的を納得した上で学習したため、研修を自分ごととして捉えられました。
マネージャーと現場メンバーの双方が納得できる「あるべき人物像」を紡ぎあげるためには、手間を惜しむことなく、丁寧にコミュニケーションを取ることが大切です。ぜひ、実践してみてください。