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ドワンゴが展開する、カルチャードリブンなマーケティングソリューション(AD)

BtoB企業がニコニコ超会議に参加し大反響⁉三井化学が語る、ドワンゴのソリューションを活用する利点は

 BtoB企業では、生活者との接点・コミュニケーション施策にどれだけの投資をするか、またはどんな施策を行うか、慎重な検討が求められる傾向にある。そんな中、三井化学はドワンゴのマーケティングソリューションを活用し、新たな手法で生活者との向き合い方やコミュニケーションを構築しているという。本記事ではドワンゴのマーケティングソリューション活用のメリット、それを踏まえた今後の展望などを、三井化学の西氏、緒方氏と、ドワンゴの大滝氏に聞いた。

「環境」を重視する風潮に合わせ、プロモーションを強化

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、BtoB企業におけるドワンゴのマーケティングソリューション活用について伺います。まず、自己紹介をお願いできますか。

西:私は三井化学コーポレートコミュニケーション部でメディアチームのリーダーを務めています。いわゆる広報の中で、業界紙や新聞やテレビ局とのリレーションが主な役割です(現・新事業開発センターロボットソリューション室)。

緒方:私は、取材対応やプレスリリース案内などの業務を担っています。加えて社長が記者会見で話した内容を社内向けに伝えるような業務を行っております。

大滝:私はニコニコ超会議(以下、超会議)というイベントなどの出展や協賛営業のほか、ドワンゴのプラットフォームを活用したマーケティング施策の企画営業を担っています。

MZ:三井化学様は現在、どのような戦略を立てているのでしょうか。

西:広報戦略として、ここ3年は、リリースや取材などで外部への露出を増やす活動をしてきました。BtoB企業ですし、プラスチック製品や化学品は開発スパンが長く、一般消費財を扱うBtoCの企業のように、毎年どんどん新製品が出ていくわけではないので、そのままでは露出は増えません。また現在、業界において「環境」を重視する風潮が高まりをみせ、その面でも発信強化が必要と考えていました。

 昨今、プラスチックそのものも、環境負荷の面からネガティブに捉えられることが多いです。しかしプラスチックは、我々の生活に深く根差しており全く無くせるわけではないですし、私たちもリサイクル含めて適切に利用していただくことをきちんと発信していかなければならないと思っています。

三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部<br />広報グループ 課長 メディアTL 西洋史氏
三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部
広報グループ 課長 メディアTL 西洋史氏(現・新事業開発センターロボットソリューション室)

CMやSNSではない、生活者との新たなタッチポイントを求めて

MZ:ドワンゴのマーケティングソリューションを検討しようと思ったきっかけを教えてください。

西:BtoB企業でも、テレビCMを打っている会社はありますが、当社はテレビCMを打っていません。テレビCMは、社名を浸透させる効果はあるかもしれませんが、若い世代はそもそもテレビをあまり見ていませんし。届けたい人に届けるための費用対効果で見ると、本当に良い手段なのかと疑問に感じていました。SNSやWebを使用した効果のある施策を模索していたところに、ご提案をいただいたのがドワンゴさんでした。

MZ:どんな提案が届いたのでしょうか。

西:大滝さんから「作家で科学監修もされている“くられ先生”と一緒に化学の実験ショーをやりたいのでご一緒できませんか」とご提案をいただきました。協賛して一緒にステージを作るだけでなく、展示もご自由にしてくださいと。直感的にイメージが湧きましたし、当社が求めている「化学に興味がある人、特に今後の潜在的な購買層・採用層であるZ世代の人たちに当社をアピールしたい」ということが実現できそうな感じがしました。

 私自身は、ニコニコ動画は知っていましたが、「超会議」も、さらにコラボさせていただいた、くられ先生も知りませんでした。しかし、家族は全員くられ先生のファンで動画も見ていましたし、社内で感度のいい若手たちに聞いても反応が良かったことも後押しになりました。

MZ:ドワンゴ様の、提案内容を伺えますか。

大滝:BtoBの企業様はリクルーティング文脈で若年層への訴求に課題をお持ちでいらっしゃることは頭にあり、「理科」をテーマに企画を立てました。

 「超会議」には様々な企画ブースがあるのですが、超会議に協賛いただき、一緒に「超アリエナイ理科ノ実験」というステージ企画を作りませんか、というものです。三井化学さんとクリエイターさん合同のステージとし、そこに隣接する形で三井化学さんの展示物、体験コーナーを設ける提案をしました。

社名を知ってもらうことは社員にとって大きな意味がある

MZ:提案を通して、三井化学様はどのように思いましたか。

緒方:最初の時点でしっかりと企画が作り込まれていたので、私は非常にポジティブでした。提案いただいたくられ先生は漫画『Dr.STONE(集英社)』で化学を監修している方だと知っていましたし、この方と一緒にイベントに出ることでいいアピールができそうだと感じました。

三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部<br />広報グループ 緒方萌珠氏
三井化学株式会社 コーポレートコミュニケーション部
広報グループ 緒方萌珠氏

緒方:やはりBtoC企業に比べると知名度が低いことは、そこで働く人間として私も歯がゆい部分はありましたし、近い年代の人も少し寂しさのようなものは持っていました。それが、有名な方と共演することで社員のモチベーションが上がればいいなとも感じました。

 実際、参加した若手の研究員にはかなり好評でした。学生時代にくられ先生をきっかけに理系を目指し、最終的に研究職に就いたというメンバーもいて、本人が喜んでいるのを見ると、やって良かったなと思いましたね。

大滝:初めて打ち合わせしたときに、その研究員の方が涙を流されていたのが印象的でした。

MZ:経営陣への説明は大変ではありませんでしたか。

西:当社らしからぬ新企画ですので、心配しましたが、社内の反応は思っていたより好意的でした。

 まず、DX推進を行う役員や人事部長や、若年層の気持ちがわかる数名に先んじてこの話をしてみたところ、本企画を是非にと推すコメントを貰えました。

 経営陣への説明は、本件が当社のアプローチできていない、今後の潜在的な購買層・採用層であるZ世代に向けた施策であること、また費用対効果でテレビCMより良いと考えていること、さらにBtoBのお堅いイメージの三井化学が出るからこそ違和感があって面白いというところは強調しました。

 何より初年度の、2022年は当社の長期経営計画VISION2030の見直し始動の年であり、トップを含めて新しい取り組みを応援していたタイミングだったのも大きかったと思います。

MZ:具体的にどのように形にしていったのでしょうか。

大滝:初年度はゼロからのスタートだったので、三井化学の研究者、そして超アリエナイ理科ノ実験出演者の方にご調整いただいて、見せ方や内容を議論しました。化学は見せ方というか、エンタメ化するのが非常に難しいのです。「やわらかく面白くする」部分は、かなり話し合いました。

緒方:初年度はタイトなスケジュールだったので、当社の研究部門に協力をお願いし、研究員が短期間で何とか頑張ってくれて当日を迎えました。最後まで熱意を持ってやってくれたことが本当にありがたかったです。

熱気と盛況ぶりに経営陣も感動。社内でも好印象が作れた

MZ:取り組みの手ごたえを教えてください。

緒方:当社ブースには2日間で約2,000名が来場し、化学実験ショーのネットでの視聴者数は2日間合計で14.3万人と、想定以上の集客となりました。

 来場者はくられ先生のファンの方も含めて、純粋に化学が好きな人が集まっています。ステージ上には大きく社名とロゴを掲示させたことで、その層に対して、当社のアピールができたと思いますし、後日SNSを見てみるとかなり話題になっており、「三井化学ってこんな技術を持ってるんだ」とか「面白い研究者がいる」とか、好意的に捉えてくださっている様子も見受けられたので、良かったと思います。

イベントの様子
イベントの様子

西:当社も10万人規模のイベントに参加するのは初めてであり、せひ経営陣も含めて多くの人に生で見てほしいと思いました。

 そこで初年度はCFOをはじめ役員の皆さんを現場に招待しました。現場で視聴した役員は、当社ブースに多数のお客さんが押し寄せて凄い熱気だったこと、またそれだけの大観衆の前で、若手の研究員がくられ先生らと一緒に堂々と頑張っている姿に感動していました。ちなみに、社長も海外出張のフライト直前まで空港ラウンジで配信を見てくれたと聞いています。

 社内アンケートでも、好意的な反応は多く、初回に参加していなかった若手研究者からは、「参加したかった」という声もありました。

大滝:超会議の後の来場者アンケートの「全体の中で一番面白かった企画」では、全体で約100企画ある中、6位に入りました。初年度、しかも初めて「理科」を扱った中では好成績ですし、2年目は4位に上がっていました。初めてで手探りでもありましたが、みんなから愛されるブースができたことは大成功と言えると思います。

株式会社ドワンゴ 企画営業部 大滝惇平氏
株式会社ドワンゴ 企画営業部 大滝惇平氏

MZ:2年連続で協賛されていらっしゃいますが、魅力を伺えますか。

西:BtoBの三井化学が出ることによる違和感が、当社のイメージ向上につながると面白いなと思っています。競合他社に先駆けて一歩踏み出したことは大きな価値があると感じています。

普段のアプローチ先以外にも知ってもらうことの意義

MZ:BtoB企業から見て、ニコニコのイメージを伺えますか。

緒方:BtoB企業から見ると、怪しいイメージや、縁が遠い印象があると思います。

 また通常の展示会では、堅いスーツを着た人が集まるのですが、超会議ではコスプレやガンダムの格好をした人たちが興味津々に化学の説明を聞いている、なかなかシュールな光景が見られて面白かったです。

 ニコニコやサブカルが好きなお医者様が偶然ブースにいらして、当社の製品に興味を持ってくださるということも起こりました。思わぬところからビジネスチャンスが生まれることもあるので、普段アプローチしているビジネスの人以外にも知っていただくことは有意義だと思いますね。

大滝:実験やモノ作りをして動画を上げている人が多数いらっしゃいますし、世間一般的に「オタク」や「理系」と言われる人たちは近しい存在だという感覚があるので、間違いなく成功するだろうと思っていました。ふたを開けてみたら、いい結果になり安堵しています。

一歩踏み出したことで、他社にない色が出せた

MZ:改めて、BtoB企業がニコニコ超会議に出て、生活者に寄り添う意義や必要性をお話しいただけますでしょうか。

緒方:BtoB企業が生活者からすれば遠い存在で、何をしているのかわからない方が大半だと思います。しかし、プラスチックは生活者と関わる部分はありますよね。超会議のようなイベントに出ることで、BtoB企業である当社が生活者の人と直接触れ合うことは重要なことかなと思います。

 私たちは自社について正しく伝えていきたいと思っているので、協賛することでプラスチックの誤解を解き、プラスの印象に変えるきっかけになったのが一番良かったところです。

西:社内的な意義としては、今回一緒に作り上げてくれた研究員たちのモチベーションアップにつながっています。彼らは、普段は研究所の中で仕事をしていることが多く、リアルな最終ユーザーに会う機会はあまりありません。今回参加することで「こういう人たちが実際に製品を使っているのだ」と感じ、リアルな交流を持てることは、プラスの刺激であり、貴重な機会になったと思います。

MZ:今後の展望や展開について、それぞれお話しください。

西:2023年の超会議の打ち上げの挨拶で「ニコニコ超会議への参加は10年続けよう」と話しました。そうすれば、三井化学という会社は変わると思っています。一歩踏み出したことで他社にない色が出てきたと思いますし、いいご縁ができたので、これを続けていきたいというのが願いです。

緒方:若手の立場からすると、なるべく自由な発想でやりたいこと、いいなと思ったものはどんどん伝えて、どんどん外に出していこうと考えています。

大滝:もっとこういう面白い企画を広げて、理系分野に興味を持つ人を増やすことにつながる取り組みをこれからもご一緒できればなと思っています。

 BtoBのメーカーさんは、なかなか表には出てこられないけれども生活を支えてくださっている陰の立役者です。そこで働いている方はかっこいいですし、社会的にも意義あるお仕事なので、そういうところにも興味関心を持って広がってくれたらうれしいですし、寄与できればいいなと思います。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社ドワンゴ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/31 11:00 https://markezine.jp/article/detail/43696