テレビCMでは届きにくい層にアプローチするために動画広告を
MarkeZine編集部(以下、MZ):近年、プロトコーポレーションでは動画プラットフォームに対する広告配信に注力していると聞いています。その背景から教えてください。
山﨑:グーネットは、全国の中古車販売店の在庫を検索できるサイトです。自動車という高価格帯の商品の性質上、購入の検討期間が長いため、ファネル別に合わせた施策を行う必要があります。
これまで、長年テレビCMがマーケティング施策のメインとなっていましたが、テレビCMでは届きにくい層にアプローチしていきたい、Webサービスへの導線を強めていきたい思いがありました。そのため、弊社ではデジタル広告の活用を推進し、中古車選びの初心者層をターゲットにした新たなリーチ先として、TikTokをはじめとした動画広告に注力し始めました。
認知・利用意向の向上を目的にTikTok広告を活用
MZ:様々な動画プラットフォームがある中で、TikTokを活用している理由を教えてください。
山﨑:動画広告に関してはこれまで、別の動画プラットフォームで6年ほど配信してきました。しかし、そのプラットフォームだけではアプローチできる層が限られてきたので、さらなる層へのアプローチを目指し、昨今流行する縦型のショート動画プラットフォームとして人気を集めるTikTokに着目しました。
以前、ユーザー獲得を目的としてTikTok広告を試したところ、セッション単価は他のプラットフォームの平均の7分の1程度に抑えることができ、高い広告効果が得られました。この成功体験から新たな挑戦として、認知・利用意向の向上を目的とした施策に取り組み始めました。
MZ:「ブランディング目的で動画広告を活用する際、前例がない新しい取り組みのため、社内に対し稟議を通すのが難しい」という声を聞くことがあります。TikTok広告を新しい目的で活用しようとする際、苦労した点などはありましたか。
山﨑:過去の実績からもTikTok広告の効果が高いことはよく理解していますし、TikTokのコンテンツをユーザーとして普段からよく視聴しているのでどういうコンテンツがユーザーに受け入れられやすいのかという知見も持っていたので、社内でも一任してもらえました。
クリエイター起用でユーザーに寄り添った動画を制作
MZ:今回、プロトコミュニケーションの取り組みについて、TikTok for Businessからどのような提案を行ったのでしょうか。
桑原:今回の取り組みでは、クリエイターを起用したクリエイティブの活用を提案させていただきました。「グーネット」の利用意向の向上を目的にしている分、前回行った“獲得”が目的だったときよりも、サービスを詳しく知らない潜在層にアプローチすることが求められるためです。
日々様々な広告に触れていて、グーネットのことをよく知らないユーザーに注目してもらうには、企業目線の一方通行な動画ではなく、クリエイターがユーザーに寄り添って作った動画のほうが広告効果も高まるのではと考えました。
川口:施策として、テレビCMをリサイズした動画と、クリエイターを起用した動画を2種類、計3種類の縦型動画のクリエイティブを作成し、今年1月~3月に広告を配信しました。
MZ:クリエイティブを作る上で、TikTok for Businessからサポートはありましたか。
山﨑:紺野さんや桑原さんからは、クリエイティブの必要性やフォーマットなどをこと細かくレクチャーしていただき、動画制作のポイントなども、日々進めていく中で疑問点が出た場合は逐次連携をしてくださいました。
MZ:なるほど。手厚いレクチャーがあったのですね。では、その流れで今回採用した2組のクリエイターの選定について、どこがポイントになったか教えてください。
川口 :今回のプロモーションにおいては、訴求違いで3つのクリエイティブを用意しました。1つはブランド認知を訴求しているテレビCM動画、残りの2つは販促キャンペーンの訴求とサービスの情緒価値の訴求、それぞれの目的に対応したクリエイターを起用した動画です。
販促キャンペーンの訴求動画は、インパクトがあり広告感をあまり出さずに発信していただけそうな、エンターテインメント系の動画に強い藤田真澄さんにお願いしました。
サービスの情緒価値の訴求動画は、カーライフの何気ない1コマを自然に表現できるようなVlog動画を配信している、ぽてとかっぷるさんを起用させていただきました。
紺野:TikTokで効果の良いフォーマットを紹介しつつ、流行りの動画や他社の事例などをお伝えした上で、プロトコーポレーション様にブランドとの相性などを加味してクリエイターの方を選定いただきました。
山﨑:動画作成に関しては、最低限の訴求ポイントはお伝えしつつ、2人のクリエイターの方に自由に作っていただいています。それを私たちが最終チェックして、問題なければ配信をするという流れです。
CPMは2分の1、CPCは7分の1と圧倒的なコスト減で認知と利用意向を獲得
MZ:TikTok広告を活用したプロモーションの効果について教えてください。
山﨑:施策の実行後、第三者機関に調査を依頼したところ、TikTok広告は他の動画プラットフォームと比べ、CPMが2分の1、CPCが7分の1程度だったことがわかり、大変驚きました。安価にユーザーにリーチすることができ、認知や利用意向の向上効果も非常に高かったので、投資対効果がとても高いプラットフォームであることが実感できました。
桑原:我々としても、そうした効果を実感いただけて非常に嬉しく思います。他の動画プラットフォームと比較し、TikTokはユーザー目線のクリエイティブが成果に直結するプラットフォームだと考えております。今回のキャンペーンはそのことが如実に成果にも現れました。
川口:山﨑が申し上げた、数値的な効果はもちろん、エンゲージメントの面でも非常に反響がありました。クリエイターのファンの方にコメントをいただいたり、ユーザー同士でコミュニケーションが生まれたりしたので、そうした認知の面でも効果があったのも良い点だと思います。
若年層だけでなく、30代~50代まで幅広いユーザーにリーチ
MZ:今回、 TikTok広告を活用して得られた学びや気づきはありましたか。
川口:そうですね。リーチ層の広さにも驚きました。施策後に行った調査結果を見ると、30代から50代にもリーチできており、幅広い年齢層に利用促進効果があることがわかりました。これは非常にポジティブな気づきになりました。
MZ:TikTok for Business側では、何か気づきはありましたか。
紺野:今回クリエイターの作った動画が1分近くの尺だったにもかかわらず、テレビCMのクリエイティブと比べて2秒、6秒視聴率が6~7倍もあったことです。
スキップされたか否かを示す2秒視聴率や、興味を持ってもらえたかについての指標である6秒視聴率などでも、それぞれ良い結果が得られていました。クリエイティブの重要性について改めて気づきかされましたね。
高い投資対効果を実感、長期的な活用を検討
MZ:最後に今後の展望について教えてください。
山﨑:私たちのチーム内では、高い投資対効果が発揮できるTikTok広告に対する信用度は高まっています。ただ、その一方で、他部署の人の中にはTikTokがどのようなプラットフォームか理解していない方もいるので、今後は他部署の方にもTikTokについてアピールしていきたいと考えています。
そのような認知啓蒙を進めることで、マスメディアとデジタル広告の最適な配分を目指していきます。
紺野:私たちも、「広告エンターテインメント」という概念が非常に重要だと考えています。
TikTokは、広告がコンテンツの間に違和感なく存在するので、ユーザーに受け入れられやすいです。特に、エンターテインメント要素を重視したクリエイティブだと、広告の存在が自然なものとして視聴されます。
さらに、TikTok広告をより効果的に活用するには、ブランドリフト調査を通じて検証を行い、その結果をもとに改善することが重要です。今後も、クライアント企業様に対して、TikTok広告の効果的な活用方法について、様々なプロダクトを駆使しながらサポートし続けていきたいと思います。