500社以上の最適な「スイッチ」を創造
――御社サイトを見ると「スイッチデザインカンパニー」とあります。具体的に、コイルはどのようなことをする会社でしょうか?
篠原:コイルは「人を動かすスイッチをデザインする」コミュニケーションを創り出す会社です。どんなサービスでも商材でも、数ある中から「選択する」という行為が発生しています。そこには必ずと言っていいほど「選択した」理由があるはずです。私たちはその選択した理由=動機を「スイッチ」と呼び、意思をもってスイッチを創り出し、機能させる会社として、スイッチデザインカンパニーと標榜しております。
また、フィロソフィーとして「愛とユーモアと。」という言葉を掲げておりまして、愛ある戦略とユーモアあるコミュニケーションをモットーとしています。
企業様も愛をもって自社のサービス・商品を扱っていると思いますので、私たちも同様に愛をもって接し、あわせて企業様にとって耳が痛いお話も愛あればこそ、ユーモアと共にお伺いするように努めております。
企業様のお悩みは、扱う商材が仮に同じだとしても、業界や会社規模、市場シェア、予算、組織、担当者によってまったく異なるものだと思っています。すべてが別物ですから、パターンというものは存在しないので、いつも企業様の置かれている状況に合わせてオートクチュールでご提案をしています。
私たちの事業領域は非常に広く、マーケティングコミュニケーション全般を取り扱っており、戦略立案から企画、実行、改善までを一気通貫できるのが当社の強みです。感覚値ではありますが、企業様もコスト圧縮のために分離発注をしているところも多くなってきていますが、マーケティングをトータルで考えるということの重要性を私たちは大切にしています。
――これまでどのような企業の支援をしてきたのでしょうか?
木ノ根:企業様のマーケティング活動支援が多いですね。特に企画立案や制作などのクリエイティブ領域に力を発揮します。ご支援させていただいている企業様は、スーパー、GMS、コンビニ、ドラッグストア、ECなどに販路を持つメーカー様が多く、業種としては飲料、食品、化粧品、日用品、通信だけでなく、アパレルやペット、保険会社等まで幅広くご支援させていただいております。
末廣:今までの取引社数は500社を超え、年間100社ほどの企業様とお付き合いがあります。BtoC商材の取り扱いが多いですが、最近はBtoBやインナーブランディング施策も活発です。
木ノ根:BtoCでもBtoBでも、施策の先で消費者や顧客企業の認識や行動の変容を起こすが重要で、当社が入ることで、伝えたい意図がより伝わりやすいようにすることもご支援の範疇であり、企業様の先に対して響くコミュニケーションのアウトプットが当社の魅力です。
出会う前から思いを巡らせる『妄想力』が企画を深くする
――スイッチをデザインする方法論として『Switch Design 7 Journey』を掲げていらっしゃいますが、どんな特徴があるのでしょうか。
篠原:率直に申し上げれば、Step2~7は目新しいものではないと思っています。私たちの特徴は、Step1の「妄想」フェーズです。当然ながら初めてお客様企業を訪問する前には、必ずコーポレイトサイトや商品サイト、IR等をすべて拝見して、競合や市場のことも調べます。ただ、調べて終わりではなく、その情報を元に企業様の状況やお悩みについて、妄想をふくらませ、想像を巡らせます。そして、初めてお会いする時にクライアント様に、妄想に基づいた仮説を提案します。もちろん私たちが勝手に妄想したことなので違う場合もありますが、これにより、より深い対話が可能になり、ブリーフィングの内容以上のお話を聞かせていただけることが多いです。
余談ですが、これを私たちのフィロソフィーの「愛」に掛けまして、「おはなし愛」と呼んでいます。
課題を取り扱う際は過去・現在・未来の状態把握と予測が非常に重要だと思っています。今までどんなことをやってきて、今はどんな計画で、未来はどうなりたいのか?ビジネス上で言うと、“課題解決をします”なんて当たり前ですし、課題は解決しても次の課題が出てきます。ですので、将来的な先のビジネスをどう考えるかまで私たちは支援させていただきます。
その後、Step2~7で実際に企業様のお話をうかがい、ディスカッションを通して課題を抽出、細分化し、解決策の設計や優先順位の決定をします。
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認知度を上げるだけでは商品は売れない? その先を見据えた解決策
――企業の要望から課題を見つけていくアプローチについて、具体的な例をうかがえますか?
篠原:では、2つのケースをご紹介させてください。まずは『商品認知度を上げたい』というウイスキー販売会社様の場合です。
お客様のご要望は「キャンペーンで商品認知度を上げてウイスキーコアファン以外のユーザーを獲得したい」というものです。しかし、お話していくと様々なハードルがあることがわかりました。
一つ目としてウイスキーコアファン以外の認知がほぼないこと。二つ目はチャネルが基本Barに限定されていることです。「ユーザー獲得」ということは飲んでもらうということですが、知っただけで飲んでもらえるユーザーは基本ウイスキーに興味が高い方のみで、今回のターゲットとは一致しない。また、投下量でのパワーゲームで勝負するほどの予算もない。かつBarは初見では入りづらいという事実もあります。Barに頻繁に通うユーザーのみを狙うことも考えましたが、それだとパイが小さい。
そこで今回のご提案の前提条件として設定したのは、「認知だけでなくBarに行くハードルを下げ、体験までのルートを創出すること」としました。商品とBarとユーザーを巻き込んだ三つ巴の構造とし、施策アイデアはあえてリアルの部分を強く残し、それがデジタルに波及する仕組みとしてご提案しました。
さらにビジネス面に踏み込むと、「飲めるBarが少ない」のは、卸や店舗への営業活動不足というもう1つの課題も存在します。そこで、施策用に制作するクリエイティブを営業ツールとして活用できるようにします。結果、Barとのリレーション強化、新規取り扱い店舗増加というBtoBの側面でもポジティブな変化が生まれます。
―― 最初の「とりあえず知ってほしい、飲んでほしい」とは、ゴールも狙いも異なりますね。
篠原:そうですね。当社は、クライアント要望の先の先まで考えて、企業のビジネスがどこに向かうか、どう続くのかまで提案をしたくなる人間が多いかもしれないです。企業課題は無限大で、1つを解決しても次々に新しい課題がでてきます。であれば、課題解決が最終的に企業のなりたいゴールにつながっていないと意味がありませんよね。
一過性のキャンペーンで終わらせず、次につながる予算活用を
末廣:もう1つ、アプローチの異なる例をご紹介します。こちらは元の依頼とは大きく提案内容が変わるケースです。
元々は自社商材の販売促進キャンペーンの案件で、「8ブランドの各商品(8商品)の年間キャンペーンのテーマや、仕組みの提案をしてほしい」という依頼でした。ですが、お話から「個々の予算の割り振りに理由はないし、変更もできる」「今はスポットのみの連続で、個々のキャンペーン参加者は活用できていない」、「CRM的観点を取り入れる気はあり、やっていくべきだと思っている」などの情報を得られたのです。
これらの声を加味すると、商品ごとのブランド愛好者や購入者を有機的につなげて、相乗効果としてクロスセルが狙える施策が必要であることが見えてきました。そこで、個々のキャンペーンを一元管理化し、CDPとして運用することで、各ブランドの顧客を効率的に、他ブランドへも送客できる仕組みからご提案しました。
もちろん担当者様とは、こんなプレゼン内容にしたいという事前共有をして認識を合わせた上でのご提案です。アプローチ数やコンバージョン数、認知拡大率などの根拠となるデータも用意します。
――ちなみに、このようなシステム開発も関わる提案の場合、御社はどこまで関わっていただけるのでしょうか?
末廣:当然、企画して終わりではありません。最終的なアウトプットまでが我々の責任範囲です。戦略立案・企画提案・クリエイティブ制作は社内のみで完結し、その他システムやデータベースの製作は、信頼できるシステム開発のパートナーがいます。システム開発においても、もちろん弊社内の担当者が最後まで伴走します。
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バラエティー豊かなプランナーが対応
――最適な一手を考えてほしい企業が、コイルの力を最大限に活用するためのコツがあれば教えてください。
木ノ根:繰り返しになりますが、我々の強みは企業様の状況に合わせた、設計を戦略からきちんと練るところです。オリエンシートに本音と建前が見え隠れする社内事情があることは、こちらも理解しています。しかし、できるだけ早い段階から本音や背景をうかがえると、本質的なディスカッションや的確なご提案が可能になります。
木ノ根:当社のプランナーはバラエティーに富んでいます。役員に対してボールを投げるのが得意なプランナーも、担当者に伴走しながら進めるプランナーでしたり、戦略系や派手なPR系が得意なプランナーもいます。提案案件は、ご相談の内容次第で適切な人材が担当しますので、まずはお話をうかがえればと思います。
末廣:当社の前身となる会社まで入れると約30年前から店頭販促の支援をしてきました。ですからリアル店舗で商品を販売していて、マス広告や店頭イベントなどのタッチポイントを多数お持ちのメーカー様のセールスプロモーションには定評があります。特に施策を複数の会社に発注していて統制が取れていない、または戦略全体が混乱しているという企業様や、今までの施策について懐疑的・マンネリを感じていて状況を変えたいお客様のお力になれるかと思います。
これからも愛とユーモアで世の中を明るく
――最後に、今後の展望や、強化したい領域をうかがえますか。
篠原:正直、とにかく今はいろいろと濁っている感じというか、世の中の潮流に遠慮しているという気がしています。もっと日本を元気にしたい、勢いが欲しいと切に願っていますので、よりチャレンジャブルな企画を提案していきたいと思っています。当社は対外的な販促や広告施策だけでなく、インナーブランディングも手掛けていますので、社内を元気にする取り組みも、より積極的にサポートできればと思いますね。
末廣:そうですね。サービスや商品など、世の中にたくさんある「いいもの」を、もっと多くの人に届ける仕事をし続けたいですね。縁の下の力持ちとしてコイルが裏側でスイッチを創ることで希望を生み、ひいては日本を元気にしていければと思います。
木ノ根:クライアント様の商品やサービスを、スムーズにお客様に届けられる方法を世の中に広めて、篠原や末廣の言うように、良い世の中を作れるといいなと思っています。
篠原:私たちの方法論は“おはなし愛”が中心です。ブリーフシートではニュアンスまで伝えきれない、行間のような部分に課題解決、課題発見のヒントがあると考えています。状況理解と、未来への希望を互いに “おはなし”することで、最適なコミュニケーションをご提案し、ともに良い未来を作っていければと思います。
――クライアントと様々な可能性を話し合い、お客様に商品やサービスを届けるスイッチを裏方として作り、最終的には日本を元気にしていく、コイルのあり方が非常によくわかりました。本日はありがとうございました。
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