「飲む習慣化」を促して継続率を向上
ここから若目田氏は、KARTEを活用した具体的な施策を紹介する。FUJIMIでは、プロテインの飲み忘れによって自宅に商品が溜まっている顧客の状態を課題としていたそうだ。詳細な分析の結果、商品を2、3回受け取った後に定期購入を解約している顧客が多いとわかった。
「2、3回目で離脱してしまうということは、初回から飲む習慣がついていないのでは? と考えました。そこで、お客様に飲む習慣をつけていただくために『プロテイン10日間チャレンジ』というキャンペーンを実施したのです」(若目田氏)
キャンペーンではLINEのID連携者を対象に10日間連続で通知を送り「飲んだ」「飲んでいない」のボタンを表示。ユーザーが押したボタンに応じて、コンシェルジュがアドバイスを送る仕組みだ。アドバイスの内容は毎日変え、飲用の有無によっても情報を出し分ける設計とした。この施策により、チャレンジに参加したユーザーへの翌月発送率は参加していないユーザーよりも18%高かったという。
本施策で活用したのは、KARTEの「ジャーニー機能」だ。対象顧客に合わせたカスタマージャーニーを描きながら、シナリオを設計することができる。参加したユーザーからは「飲めるようになりました」との声やコンシェルジュへの個別質問なども寄せられ「1to1のコミュニケーションが強化された」と若目田氏は振り返る。
ポップアップのCVRがメールやLINEよりも高いワケ
次に取り組んだのは、Webサイトのマイページに表示するポップアップの設計だ。クロスセルユーザーの少なさや解約率低減のほか、メールやLINE以外のタッチポイントを増やすことが実施の目的だったという。
ポップアップを設計するにあたり「セグメントを意識した」と話す若目田氏。購入商品や定期購入の契約状況、居住地や流入回数など、KARTEでは細かい粒度でセグメントを設定することが可能だ。
「『初購入のお客様はモチベーションが高い』という仮説の下、クロスセルを促すポップアップを表示したのです。逆に『定期購入2、3回目のお客様はモチベーションが下がる』という仮説も立て、他のお客様の成功体験談を掲載したポップアップを表示しました。一緒に頑張る機運を高める狙いです。」(若目田氏)
KARTE上の豊富なテンプレートを利用しながら数多くのポップアップを制作・設定した結果、メールやLINEと比較してポップアップ経由のCVRが最も高く出たという。さらにKARTEでは、遷移先でのA/Bテストや定期購入の回数別での数値比較などが実行できるため「振り返りが素早くできて助かった」と若目田氏は語る。
「施策の実行と振り返り、数値の抽出をすべてカスタマーサクセスの部署内で行えるため、PDCAが非常に速くなりました。そのこともポップアップ経由のCVRを高めた要因かもしれません」(若目田氏)