botの即時性×コンシェルジュの温かみ
若目田氏はLINEで実施した施策「コンシェルジュ相談室」の取り組みも紹介。FUJIMIでは、美容やライフスタイルの相談を無料で受けるサービスとして「FUJIMIコンシェルジュ」を運営している。1to1コミュニケーションの場である同サービスはパーソナライズの要とも言えるが、利用者の少なさに課題を抱えていたそうだ。
「かつては商品の同梱物として紙のチェックシートを封入していたため、お客様は回答済みのシートを撮影してLINEにアップする必要がありました。アナログなサービス設計も利用率の低さにつながっていたと思います」(若目田氏)
そこで、LINEのbotを活用したコンシェルジュ相談室をスタート。ユーザーがLINEに送信したキーワードに応じ、botが現在の悩みや理想の姿などをヒアリングする。その回答内容に加えて、問い合わせ履歴や過去に受けたパーソナライズ分析の結果なども活用しながら、コンシェルジュが顧客の状況を把握する仕組みだ。
botによるクイックな対応でヒアリングの稼働率を上げつつ、人が1to1の丁寧な対応を引き取るハイブリッド型のサービスを実現。その結果、FUJIMIコンシェルジュの利用割合は相談室導入前から8.22%増加した。数値の振り返りはKARTE上で行っているとのことだ。
「botによる対応だけでは温かみが不足します。担当制を敷いてコンシェルジュがお客様に名乗ることで、身近さが生まれてご相談も増えました。食生活からスキンケアの方法まで、お客様のお悩みに合わせてトータルでサポートしています。利用されたお客さまからは『こんなにしっかり回答してもらえると思わなかった』というお声を頂戴し、嬉しい限りです」(若目田氏)
開発工数の削減でPDCAを全社的に高速化
KARTEの導入は二つの大きな変化をもたらしたという。一つはタッチポイントの増加だ。メール、LINE、ポップアップ、Webサイトのコンテンツエリアなど、多彩なチャネルをそれぞれの特性を活かして使い分けることにより、パーソナライズされた体験を提供できるようになった。
もう一つは開発工数の削減。カスタマーサクセスがSQLを学んだり、開発に依頼したりせずともセグメントに沿ったメールやLINEを送れるようになった。「空いたリソースを他の業務に充てることで、全社的にPDCAを高速化できた」と若目田氏は語る。
若目田氏は、今後KARTEを活用して「パーソナライズされたコミュニケーションをさらに強化したい」と話す。セグメントや顧客体験に基づき、よりニーズに合った情報を提供していくつもりだ。
「KARTEを活用すれば、サイト内の回遊データや購入履歴、診断結果などを基に、顧客の追加購入が完了したタイミングや新作を公開するタイミングで、パーソナルメッセージを即時送ることができます」(島田氏)
実施した施策の詳細分析でも「さらなる高度化を目指す」と若目田氏。1通目のメールを開封して2通目のメールは開封しなかった要因を探るなど、顧客のジャーニーまで踏み込んだ深掘りに取り組む考えだ。「それができれば、お客様の体験を全体的により良いものにできると思います」と若目田氏は話す。
最後に島田氏は、顧客体験の向上に日々向き合い、仮説を立てながら改善を進めるトリコの取り組みを称賛しつつ「KARTEの機能を使って引き続きサポートしたい」と語り、セッションを締めくくった。