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デジマ人材育成 5つの落とし穴と回避術

脱「学んで満足症候群」 デジマ人材の育成に欠かせない “小さな成功体験”の促し方


短期的な成果を求める組織では「学んで満足症候群」が蔓延する

 この「学んで満足症候群」が蔓延し、抜け出せない原因は大きく三つあります。

 一つ目が、企業や組織が短期的な成果を優先する文化であることです。現在、多くの組織やチームは、日々の業務の中で短期間での成果を求められます。この速度感は時間を圧迫し、学びや継続的なスキルアップに向けた学習を難しくさせる要因となっています。舞い込んでくるタスクをこなすことに夢中で、学んだスキルや知識を社内共有することもおざなりになりますし、挑戦的に実務に活かすマインドは醸成されません。

 二つ目が、メンバーから組織内での研修や学びの取り組みが「義務」や「必須タスク」として捉えられてしまうことです。こうなると研修参加の動機が、「出席しなければいけない義務」となってしまい、内容を深く吸収しようとする姿勢は薄れてしまいます。これにより、研修や学びの場が形骸化してしまい、スキルアップや知識の実践へのステップが欠けてしまうことにつながってしまいます。

 三つ目が、業務に直結する有益な情報を見極める難しさです。多種多様な情報に誰もが容易に触れられるようになったからこそ、真に必要な知識やスキルを獲得するためには、情報の選別や優先順位の設定が不可欠になります。

©Ticha - stock.adobe.com

学びを自分ごと化・共有させる「呼びかけ」の方法一体感を持ってチームで小さな成功体験を100個積む

 ここまで、研修やセミナー参加でありがちな落とし穴をご紹介しました。ですが、人材育成のためにはやはり、研修やセミナーへの参加は欠かせません。

 では、学びを組織の成果・成長にも結びつけるには、どうすればよいのでしょうか。それは、「チームで小さな成功体験を100個積むこと」です。そのポイントを二つお教えします。

ポイント1.チームをほめて自己肯定感の下地を作る

 「学んで満足症候群」を回避するには、研修やセミナーに参加する社員が新しい知識やスキルを習得する意欲や、それを業務に活かそうという意識を持っていることが必要です。このマインドを持つことで、研修の内容を現場に落とし込む機会が増えます(第一回参照)。

 また、これまで多くの研修を行ってきた中で得た傾向として、デジマに関わる人はポテンシャルがとても高い人が多いです。そこで、ポテンシャルを引き出すための声がけがカギになると私は考えています。小さなポイントでも良いので、メンバーをできるだけ沢山ほめてください。メンバーに自信がつくことで効果が目に見えて現れるはずです。

 実際に私も、デジタルマーケティングの事業部長を行っていたころ、1ヵ月に一度行う定例会で、メンバーに向けて「皆さんは優秀です。自分に自信を持とう」と言い続けたところ、研修やセミナーに積極的に参加し、学んだことを実務に活かして成長したいという社員が続々と現れるようになりました。このように、自己肯定感を高める声掛けは、非常に有効だと言えます。

ポイント2.学びの「共有」でチームの底力をアップする風土を作る

 研修やセミナーの参加者に、学んだことをチームに共有してもらうようにすることも重要です。そのためにも、「学んだノウハウを共有する人は評価を得る」ということをチームのメンバーにしっかりと伝えていきます。

 私が100人余りのチームをマネジメントしていたときは、ビジネスの競争力をつけるためにみんなで成長することが重要であるとメンバーにしっかりと伝えました。しかし、「共有しよう」といっても最初のうちはなかなかできません。研修やセミナーの終了後に参加者全員と面談することで、こちらから学びの中で実務にフィードバックできそうなことを引き出すようにします

 その後、チーム全員が集まる定例会議で、「研修で学んだ新たな視点や取り組みをチームに取り入れてはどうだろう」「こんな課題感を持ったクライアントには研修で学んだことが活かせそう」と、研修参加者自ら定例会議の参加メンバーに呼びかけてもらうようにします。こうすることで、学んだ知識を共有する土壌が醸成されます。

次のページ
「一つひとつの成功体験は小さくても良い」チーム内の共有で積み重ねを促進

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この記事の著者

髙岡 直人(タカオカ ナオト)

株式会社Growthing 代表取締役

29年間電通グループのプロモーション専業会社である株式会社電通テック(現:電通プロモーションプラス)で統合プロモーションのプランニングから実装まで数百件の案件に従事。大手メーカーのオウンドメディア立ち上げやPDCAサイクルの構築などの経験があり、前職での実績として、デジタルマーケティング...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/22 14:16 https://markezine.jp/article/detail/43911

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