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デジマ人材育成 5つの落とし穴と回避術

脱「学んで満足症候群」 デジマ人材の育成に欠かせない “小さな成功体験”の促し方


「一つひとつの成功体験は小さくても良い」チーム内の共有で積み重ねを促進

 チーム内でここまで行えるようになったら、あとはメンバーが研修内容を実務に活かすことができたという成功体験を待つのみです。ただ、「成功体験」といっても「プレゼンで競合に勝った」「新規顧客を開拓した」などの売上に直結する大きな成功は必要ありません。たとえば、次のようなレベルで良いのです。

  • 研修からコロナ禍を経て情報収集方法や意思決定プロセスが変化していることを学び、社内でセールスシナリオを見直すプロジェクトを立ち上げた
  • 研修で学んだ「CX改善の成功の秘訣」について事業部会で共有したら、たまたま参加していた他部署から「うちで勉強会をやってよ」と頼まれた
  • 業務効率化のためのBIツール活用事例をチーム内に共有したら、社内で導入する方向で検討会が始まった

 とにかくまずは、実務に結びつく一歩手前の小さなことで良いので、成功体験をいくつも重ね、「確実に1歩前進した体験」をチーム内に都度共有することが大切です。

 そうすることで本人の自己肯定感がさらに高まる上に、他のメンバーも「これくらいのことなら、自分もできるかも。挑戦したら周りに共有しよう」と感じるようになるため、周囲の活性化にもつながります。

 こうすることで、10~20人程度のチームであれば小さな成功体験が大体毎月10個前後は溜めていけるでしょう。1年間続ければ、単純計算で120個が溜まることになります。

 こうなれば、研修やセミナーで得た知見が実務のKPIにも影響するようになり、たとえば、「セールスシナリオの見直しにより月間のウェブサイトのトラフィックが20%増加し、見込み客の問い合わせが15%増加」「自社に合ったBIツールを導入することで、毎日のレポート業務が2時間から10分に短縮。これにより、広告の運用は短時間になり、以前よりも品質が最適化された」といった具合に元は小さな成功体験だったできごとが事業としての成果にもつながるようになっていきます

©k_yu - stock.adobe.com

好循環を作り出すために必要な記録と評価

 このように小さな成功体験を持続的に育て上げるためには、ノウハウをチームに共有して小さな成功体験を生み出した社員をリーダーが評価することが重要です。日常的に「誰がどういうノウハウを共有して、どういう成功体験をしたか」を必ず記録するようにします。そして、事業成果を出す手前の活動評価として評価点をつけ、フィードバックをする際にもその旨を伝えて労をねぎらうようにします。

 こうすることで、取り組みを評価された社員達は、主体的に研修を受け、実務に活かそうとすることが自分やチームに良い効果をもたらすということを理解するようになります。そして、次の年も新たな研修やセミナーに意欲的に参加するようになり、そこで得たノウハウを再びチームに共有して実務に活かし、小さな成功体験を新たに積み重ねることができるようになっていきます。この好循環ができるようになったら、メンバーが自らの頭で考える組織へと変革していきます。

 これらの取り組みが定着するまでには、最低でも3ヵ月かかってしまいます。一見遠回りで面倒な取り組みに見えるかもしれませんが、一度このプロセスをチーム全員が体感すれば、「学んで満足症候群」を回避して研修やセミナーの成果を社員が実務に存分に活かしてくれるようになります。ぜひ、これを機会に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

髙岡 直人(タカオカ ナオト)

株式会社Growthing 代表取締役

29年間電通グループのプロモーション専業会社である株式会社電通テック(現:電通プロモーションプラス)で統合プロモーションのプランニングから実装まで数百件の案件に従事。大手メーカーのオウンドメディア立ち上げやPDCAサイクルの構築などの経験があり、前職での実績として、デジタルマーケティング...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/22 14:16 https://markezine.jp/article/detail/43911

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