SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2023 Autumn(AD)

「ファンの声には売上アップのヒントあり」顧客インサイト発掘に重要なコミュニティ活用の方程式

 “何となく”分析をして、顧客を理解したつもりになっていないだろうか。今後は取得したデータを顧客が真に望む施策に反映できるかが鍵を握る。その方法として注目されているのが顧客コミュニティだ。しかし、コミュニティの立ち上げや運営がうまくいかないケースも多いのでは。MarkeZine Day 2023 Autumnでは、CS Technologies 代表取締役社長の田中一真氏が「デジタルコミュニティ活用の方程式」を解説。コミュニティの作り方や顧客インサイトの分析方法を共有した。

“顧客ファースト”になっていない体験とは

 CS Technologiesは、企業のデジタルコミュニティ活用の支援を手掛ける企業だ。独自のフレームワークでマーケティングやカスタマーサクセスの戦略を提案するコンサルティングに加えて、自社のデジタルコミュニティを簡単に作成できるSaaS「CSエリート」を提供している。

 田中氏は冒頭、「その体験、顧客ファーストで考えられていますか?」と問いかけた。そして、同社のクライアントが過去に実施し、顧客評価が低かった施策を3つ紹介した。

株式会社CS Technologies 代表取締役社長 田中 一真氏
株式会社CS Technologies 代表取締役社長 田中 一真氏

 まずは「ECの全会員にGPSプッシュ通知で来店を促進」。これは店舗の近くを通りかかった会員にプッシュ通知でクーポンを配布する施策で、店舗の来店率やECとの相互送客率の向上を狙ったものだ。しかし、来店率の増加には寄与せず、クレームだけが増えてしまった。

 2つ目は「様々な部署から一人のユーザーに毎日届く大量のシナリオメール」。各部署がそれぞれKPIの最大化を目指すあまり、一人のユーザーに毎日大量のメールを送っていた。顧客からは不評で、全体のメール開封率は低下した。

 3つ目が「1時間に1回の無料ガチャ機能」だ。スマホゲームのアプリを提供する企業が、翌日起動率や再ログイン率を高めるために高頻度でユーザーに特典を提供。ある顧客は「寝る間も惜しんでガチャを引いていたが、生活リズムを崩してやめてしまった」と言う。初月の継続率は向上したが、2ヵ月目以降は低下。全体の継続率も下がってしまった。

 田中氏はこれらの共通点として、「顧客の状況やそれに応じたニーズを捉えておらず、企業側の都合のみで設計されている」と指摘。同社ではこのような事象を「デジタル化の誤作動」と呼ぶ。

 「デジタルツールを導入することで、様々な体験の提供や施策の実施ができるようになりました。しかし、誤った使い方をすると顧客からの信頼を失い、いずれ淘汰されてしまいます」(田中氏)

デジタル時代の競合優位性とは

 そうならないために、時代背景を正しく捉えた適切なデジタル活用が必要になる。田中氏が最初に挙げたポイントが「デジタル時代の競合優位性」だ。

 これまで企業はリアルでの顧客体験(UX)を中心に構築し、その付加価値としてデジタルの活用を推進してきた。しかし、昨今その主従関係が逆転。デジタルがリアルを包含し、リアルの接点でも常にデジタルの活用が可能になっている。

 また、プロダクトライフサイクル(製品の寿命)もどんどん短縮化。商品やサービスがどれだけ優れていても、模倣されたり、顧客ニーズの変化で飽きられたりする。

 このことから田中氏は「事業や商品・サービスは競合優位になり得ない」と指摘する。では何が競合優位性となるのか。それは「データ」と「UX」だ。この2つは模倣されにくい。

 私たちは日々の生活の中で、状況やニーズに応じて、最適で質の高いUXを提供するサービスを選ぶ。そのため、企業同士が「UX競争」を行うことで、人々の生活や社会がアップデートされていく。顧客は、企業が提供する体験が快適である限り使い続けるのだ。

 「企業はタッチポイントから得られるデータをもとに顧客の状況を正しく捉え、適切な人に適切なタイミングで最適なコンテンツを提供し、より良い体験を提供し続けるのが責務です」(田中氏)

 ここまでの話について田中氏は、「デジタル化の目的は、単なる自動化やデータ取得ではなく、『取得したデータのUXへの還元』と捉えることができる」とまとめた。

次のページ
優れたUX作りに必要な3つのプロセスとは?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
MarkeZine Day 2023 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社CS Technologies

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/11/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/43930

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング